Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工2019

医療工学科の化学講義(29)2029年の化学〜あなたが医療従事者として活躍している時代の化学〜

人類の願いと思いが優れた技術を実現し,未来の社会を建設して行く.願いは常に叶うとは限らない.しかし,願っていなければ叶うことはない.Mutating matter,SNP,一塩基多型,遺伝子診断,温度応答性ポリマー,個人ゲノムシーケンシング,生体適応性ポリ…

医療工学科の化学講義(28)バイオテクノロジーを支援する有機化学

ノーベル化学賞が授与されてきた生命現象に関係するさまざまな研究テーマ/ペプチドの化学合成(液相法)/ペプチドシンセサイザーを用いておこなうメリフィールド法によるペプチドの化学合成(固相法)/DNAシンセサイザーを用いておこなうDNA化学合成(固相法)/PCR…

医療工学科の化学講義(27)合成ポリマーの化学

医療の仕事に関連するさまざまな合成ポリマー/重合方法いろいろ/合成ポリマーの分子量/熱可塑性樹脂の分子構造と物性/可塑剤と移行/共重合で合成ポリマーに新しい性質をもたせる/GFRPとCFRP/ポリエチレングリコールの医療への応用/人工繊維開発物語

医療工学科の化学講義(26)生体を構成する有機化合物

4大生体分子: 糖質 (炭水化物),タンパク質(およびアミノ酸,ペプチド),脂質,核酸/親水性と疎水性 (親油性)/グルコースとでんぷん (アミロースとアミロペクチン) とセルロースの関係/タンパク質の立体構造が保たれるしくみ/糖やリン酸基が結合してはじめて…

医療工学科の化学講義(25)窒素を含む有機化合物

アミン・アミド・ニトリル・ニトロ化合物/アミンは塩基/窒素を含む有機化合物の中には水素結合するものもある:DNA二重らせんとか,生体高分子どうしの相互作用だとかの基礎になっている/アミン性の医薬品に水溶性をもたせるために,酸との塩にする方法がとら…

医療工学科の化学講義(24)ベンゼン環を含む有機化合物

あちらこちらに組み込まれているベンゼン環/ベンゼン環の構造/ベンゼンの置換反応/先に入った官能基が2個目の入る場所を決める/薬品の合成ルートを決めるときの考え方/配向性を共鳴から考える/クメン法のくわしいしくみ/薬品合成の険しい道のり

医療工学科の化学講義(23)酸素を含む有機化合物その2

フィッシャーのエステル合成反応/エステル交換反応/酸無水物/油脂とセッケン/生分解性ポリエステルの医療への応用/酸素を含む有機化合物の水素結合/エステル結合をもつプロドラッグ/フルーツの香りとエステル/バイオディーゼル/PETボトルリサイクル

医療工学科の化学講義(22)酸素を含む有機化合物その1

ジエチルエーテルの麻酔作用/酸素を含む有機化合物の構造パターン/医療に関係するアルコールの製造/酸素を含む有機化合物の反応/共鳴の概念/ケト-エノール互変異性/ヘミアセタール/世界史を変えた有機化合物

医療工学科の化学講義(21)アルケンとアルキン

アルカン,アルケン,アルキンの構造比較/π電子が正電荷をもつ粒子と作用して付加反応を引き起こす/アルケンへのアンチ付加とシン付加/マルコウニコフ則で付加生成物の構造を予測する/ハロゲン化アルキルの脱離反応で抜ける原子はどれとどれか?/付加重合で役…

医療工学科の化学講義(20)有機化合物の世界

医療と生命現象と有機化合物/構成元素/基本骨格/4種類の反応パターン/分子の描き方/立体異性体と構造異性体/アルカンの置換反応/すべては石油から

医療工学科の化学講義(19)緩衝作用のしくみ

1価の弱酸の[H+]を濃度とKaとKwの関係式であわわす/近似を用いて1価の弱酸の[H+]を濃度とKaとKwの関係式であらわす/炭酸水素緩衝系,呼吸,排尿が連携して血液のpHを一定範囲に保つしくみ/緩衝溶液を希釈してもpHが一定範囲に保たれるしくみ/緩衝溶液に酸を…

医療工学科の化学講義(18)酸および塩基とpH

水の電離平衡/Kw/pH/近似計算を用いたpHの計算/近似計算が有効な範囲とそうでない範囲/中和反応の応用

医療工学科の化学講義(17)透析と浸透圧

浸透圧が生じるしくみ/ファントホッフの法則と高分子の分子量測定/生理食塩水,等張液,高張液,低張液/浸透圧と生命現象/混ざりものの液体:血液の場合/コロイドの世界特有の現象いろいろ/透析と医療

医療工学科の化学講義(16)水と溶液

「溶ける」とは/人体や医療に関わるさまざまな物質は水にどれくらい溶けるか/結石ができると痛い(らしい)/水和水と医療/何が溶けているかではなく何個溶けているかで決まる性質/生命現象や日常生活と凝固点降下

医療工学科の化学講義(14)放射線と放射能

原子核の崩壊 / α線とβ線とγ線 / 原子力発電と原子爆弾のしくみ / 原子核の崩壊速度(Bq),物体が受けるエネルギー(Gy),人体への影響度(Sv) / 放射線の人体への影響 / 自然放射線を基準に診療放射線を考える / 未来の社会をどうするかを決めるのは あなた / …

医療工学科の化学講義(13)化学反応と化学平衡

混ぜただけで反応が進むとは限らないのはなぜか? / 反応速度にはどのような因子が影響するのか? / 2次反応の反応速度論 / 律速段階とは / 逆向きの反応も進む場合 / 化学平衡の法則と濃度平衡定数 / ルシャトリエの原理 / ハーバー・ボッシュ法の意義と,開発…

医療工学科の化学講義(12)化学反応と熱エネルギー

状態変化および化学変化に伴う熱の出入り / ΔHを用いて熱の出入りを表記する方法 / ヘスの法則を用いて,測定不能な反応熱を測定可能な反応熱の組み合わせから求める / カロリーと脂肪生産:食べて獲得したエネルギーと材料のうち,余ったぶんは脂肪生産に使…

医療工学科の化学講義(11)気体の性質

圧力をあらわす単位イロイロ/理想気体の状態方程式/分圧の法則/ヘンリーの法則/人体との関わり/炭酸飲料/潜水病/真空中に放り出されたら/身の回りの圧力イロイロ

医療工学科の化学講義(10)物質の性質と状態

状態変化とエネルギーの出入り / 状態変化を利用した体温調節機構 / 加熱曲線 / エアコンや冷蔵庫のしくみ / 打ち水と氷のう

医療工学科の化学講義(9)酸化と還元

血糖値センサーの仕組み/酸化防止剤の化学/オキシドール殺菌の化学/毛髪パーマの化学/遺伝子工学によるインスリンの製造/飲酒の化学

医療工学科の化学講義(8)濃度の表し方

溶液濃度4種類 / 計算問題4題 / 昨年度前期試験問題 / 地域によって異なる濃度の単位 / 人々はこうやってだまされる(のかもしれない)

医療工学科の化学講義(7)モルと化学反応式:特に新しいmolについて

「物質量」という次元,「mol」というSI単位/2019年5月20日,SI基本単位はどのように変わったのか/モルの定義変更が影響するものごとと影響しないものごと/1円玉が1モルあったらなにができるか? 富士山,海水,国家予算との比較

医療工学科の化学講義(6)原子軌道と分子の形

電子はどこにいるのか?/ハイゼンベルクの不確定性原理/古典的な考え方と量子論的な考えを比較してみる/s軌道とp軌道とそれらから成る混成軌道/混成軌道から理解する6種類の分子の形:メタン,アンモニア,水,エチレン,アセチレン,二酸化炭素

医療工学科の化学講義(5)原子と原子のつながり

固体状態の物体を粒子が構築するしくみの比較/結合に用いられる電子と用いられない電子/分子の極性と電気陰性度/生命現象を組み立てるさまざまな化学結合:ヘモグロビンを例に/医療材料の中に存在する水素結合/水素結合と水の特性/ #メディケム

医療工学科の化学講義(4)元素と周期表

エネルギーの視点から周期表をとらえる/食物や身体を構成する元素/113番元素ニホニウムNh/貴ガスの化合物をムリヤリつくる/医療に用いられている意外な元素/取り扱い要注意な元素:アルカリ金属とハロゲン/ #メディケム

医療工学科の化学講義(3)化学と医療とエネルギー

物理量の表し方/有効数字の処理/エネルギーとは何なのか/熱エネルギー計算/エネルギー保存則/エントロピー/医療と電磁波/色が「見える」しくみ/電子レンジ

医療工学科の化学講義(2)原子〜この世界をかたちづくっている材料〜

国際単位系(SI)/物理量と次元と単位/楽勝☆換算計算/原子のしくみ

医療工学科の化学講義(1)医療・生命科学における化学

工学は人類の願いと思いを実現する学問体系です.医療工学を修めることに決めて大学入学してきた1年生のみなさまには,未来の社会を建設することに貢献する,信頼される技術者となることを目標に,4年間を過ごしてもらいたいと願ってます.

講義録・配布物・関連情報: 2019年度北里大学医療衛生学部医療工学科「化学『メディカル指向のケミストリー #メディケム 』」

2019年度北里大学医療衛生学部医療工学科「化学『メディカル指向のケミストリー #メディケム 』」の講義録・配布物・関連情報