Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

2020年:巣ごもり生活の日々

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北里大学に赴任してまもなく12年になります.前所属の東京大学生産技術研究所(駒場)から移ってきたのは,2009年4月のことでした.十二支が一回りしました.

●静かなキャンパス

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今年2020年は新型コロナの影響で,これまでとはずいぶん違った日々を過ごしました.
大学ではさまざまな行事が取りやめになりました.
3月の卒業式も,4月の入学式も,秋の北里祭も,すべて中止になりました.
年に数回おこなわれてきたオープンキャンパスも中止になったり,オンライン開催になったりして,キャンパスが賑わう光景を見ることはありませんでした.

●急に決まったオンライン授業

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新入生が履修する科目は,すべてがオンラインでおこなわれることになりました.
私は,自分が担当する週に2回の講義については,動画をつくって提供することにしました.その結果,自宅で教材づくり自転車操業の日々を送ることになりました.昨年度まで講義室でおこなってきたものごとをオンラインに移植するのではなく,オンライン用にすべてを作り直して提供したので,新しいことを進めていると考えて取り組みました.

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前期の授業評価アンケートの結果をみると,私が想像していたよりも好評だったようで,後期も同じような動画で講義を続けて欲しいという声が強かったのは皮肉でした(講義室での講義希望が18 %,動画継続希望が47 %).結局,1年間で60本の講義動画をつくることになりました.

●化学実験の思い出づくりもできなかった前期

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木金午後の化学実験もオンライン化されました.説明資料や動画をつくって提供し,本来なら実験室に集まって操作をおこなうはずの時間帯にチャットや掲示板でのリアルタイムな通信ができる状況を確保して,実験の代わりとしました.1年生の化学実験を学生時代の楽しい思い出として覚えていてくれる卒業生も多く,その思い出づくりができなかったことが残念です.

●担任をうけもったクラスとの交流もできず

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今年度は獣医学科1年生のクラス主任(ようするに担任)を担当することになっており,当初の予定では4月の第1週に全員と顔会わせをして,親睦を深めて,集合写真を撮影して,それから一人ずつ面談を進めて行く,となるはずでしたが,すべて延期となりました.初めて全員が集まったのは8月下旬でした.
感染症対策で「集う」ことができない状況では交流を深める機会を設けることもできず.1年間だけの相模原キャンパス生活の思い出づくりに貢献することもできず,とても残念です.集合写真の1枚も残せませんでした(3密回避で集合する行為が不可).

●新しい日常

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後期からは2019年度までと同様に通常の対面での授業が再開するはずでしたが,主に3密回避のために制約が生じ,私の講義は引き続き動画で提供,化学実験は全6テーマのうち2テーマを実験室での実験に戻し,残り4テーマをオンラインで継続,前期から後期に先送りした初年次教育の「大学基礎演習」は講義室での対面授業,というミックス状態になりました.

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前期と比べて大学に出かけて行く頻度は高くなりましたが,私自身の実験研究設備以外のすべての仕事環境を自宅に整備したため,自宅が仕事場で,大学には日帰り出張で出かけていく,という感覚になっています.これも「新しい日常」なのかもしれません.

●次の世代

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こうした状況のなか,秋に,遠く離れて暮らしている長女夫婦のところに男の子が生まれ,私は52才でおじいさんになりました.孫は予定よりも数ヶ月前倒しで生まれたため,春頃まで入院する予定です.まだ会いに行っていません.
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●2021年へ

2020年のテーマは「再発見の旅は続く」でした.これまで毎年おこなっていたさまざまな物事が延期になったり中止になったりしたからこそ再発見したものごともありました.
2021年のテーマは「未来へのスイッチを入れる」です.
新型コロナがどうなるかはまだわかりませんが,世の中が2019年までの世界に戻ることはありません.ものごとの考え方も行動も,これまでとは大きく異なったものに変わっていきます.それによって消えていくものもあるかもしれませんが,新しく登場するものもあることでしょう.
ここから未来に向かっていく,ということを忘れないために,私は2021年のテーマを「未来へのスイッチを入れる」としました.

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