Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

近況報告:2020年春のロックダウンから2022年4月までの日々

2020年3月以前の卒業生から「コロナで大学はどうなったの?」とか,私については「いまどんなふうに生活してるの?」をきかれるので,この2年間がどうだったのかを書いておきます.
大学生活については主に1年生の場合についてです.2年生以上や大学院生については状況が違っていたところもあります.

●相模原キャンパスはどんな2年間だったのか

2020年度前期

2020年4月に入学した世代 (いまの3年生) は,入学式が中止,例年4月第1週におこなわれていた新入生オリエンテーションも中止となりました.総合体育館での北里会活動紹介もありませんでした.この世代には大学から連絡があるまで登校しないようにとの指示がありました.結局,1年生が相模原キャンパスに初めて登校したのは,8月下旬でした (一部の学部で6月頃に登校日があったようです).
1年生が主に学ぶ相模原キャンパスL1号館の場合,5月6日まで学生の立入禁止となりました.学生食堂もファミリーマートも臨時休業となりました.

5月の連休が終わってから,オンラインで新入生オリエンテーションがおこなわれ,5月18日(月)から全科目オンラインでの2020年度授業が始まりました.
授業形式は担当教員によってさまざまで,ZoomやGoogleMeetによるリアルタイムのオンライン授業,動画配信,資料配付による自学自習などがありました.
どの場合も,本来の時間割のなかで「双方向」コミュニケーション可能であることが求められたため,動画配信や資料配付などの場合も,本来の時間割の時間帯はメールやチャットなどで連絡がとれる状態になっていました.
講義だけでなく,演習も実験もすべてこの形式になりました.実験の場合は動画を見たり配布資料を読んで実験操作をイメージしたりしながら実験を進めたものと考え,そのうえでレポートを書く,という形式になりました.体育実技もこれと似たやり方をしていたようです.
例年6月におこなわれていた球技大会は,中止になりました.
試験はオンラインでおこなわれました.MoodleやGoogleフォームなどを使って解答していく方法や,答案用紙をGoogleクラスルームで提出する方法などがありました.


2020年度後期

2020年度後期は9月14日(月)から始まりました.
教室でおこなわれることになった科目もありましたが,3密回避のため,履修登録人数の多い科目はオンライン授業となりました.

履修者にアンケートをとり,多数がオンライン受講を希望する科目ではオンラインとなりました.私の担当した火曜3限 (1ML) と水曜1限 (1CEと1RT) の化学も,履修者の大多数がオンライン授業を希望したので,後期もオンラインで進めました.

感染拡大防止のために,学生には「集わない」ことが求められました.講義時間中の窓を開けての教室換気や,講義時間の短縮がおこなわれました.履修している授業終了後は速やかに帰宅することが求められました.

実験科目も実験室の実習に戻り始めましたが,実習室での3密回避のために一部の実習テーマがオンラインでおこなわれました.
感染拡大防止のため,大学に集う人々の数を抑制する必要があり,オンライン科目は原則として自宅で受講する決まりになりました.
このため,すべてのオンライン科目は双方向コミュニケーションを必要としない形式で開講されました (みんな一緒にzoomにログイン,みたいなのはダメ).
1日の時間割の中にオンライン科目と大学で受講する科目とが混在している場合に,大学で1コマ受講して自宅に瞬間移動して次の科目をオンライン受講,などということは不可能だからです.

学生食堂は椅子の数が半分に減らされ,向かい合わせの席に透明アクリル板が設置されました.黙食・個食を求める案内放送が流れました (現在も継続中).



人々が集うことがないよう,エレベータホールに並んでいたテーブルやイスの多くが片付けられました.

春の新歓がなかったので,L1号館玄関に部活のチラシが置かれました.これは2022年度まで続くことになりました.

例年11月におこなわれていた北里祭は,中止になりました.また,L1号館前のモミの木の下でおこなわれていたクリスマスツリー点灯式も,中止になりました (電飾はおこなわれました).
3月の学位記授与式も中止になりました.
2020年度,オープンキャンパスはほとんどが中止となり,一部がオンライン開催されました.

2021年度

2021年度に入学した世代 (いまの2年生) も,入学式はありませんでした.
新入生オリエンテーションは,登校して受講するものとオンライン視聴するものとが混在していました.
北里大学では,原則として2022年度の授業を対面 (2019年度までの通常の授業形式) でおこなうという方針を定めたので,一部の科目がオンライン開講された他は,学生は登校して授業を受けるようになりました.


東京都 and/or 神奈川県に緊急事態宣言期間中や,まん延防止等重点措置期間中は,部活動の活動が禁止となりました.結局,部活動解禁日は前期が4月1日(木)から11日(日)までの11日間だけ,その次に解禁になったのは10月1日(月)以降でした.
北里祭も中止となる予定でしたが,11月6日(土)にYoutubeで1日だけのオンライン開催という形でおこなわれました.


2022年3月23日(水)の学位授与式は,卒業生だけが出席するかたちでおこなわれました.
2021年度,オープンキャンパスはオンライン開催されました.

そして2022年度へ

2022年度は入学式がおこなわれました.ただし,人数を制限しておこなわれたため,私は会場に行くことができませんでした.例年だと #キャンナビ の誰かがマイク片手に当日の模様をビデオに収録するので,そのお手伝いをしつつ,会場の奥のほうから式の様子を眺めたりしていたのですが,今年はそういうのは一切ありませんでした.
新入生対象のオリエンテーションはオンラインと教室開催とが混在していました.
2022年度前期は,4月8日(金)から始まりました.昨年度と同様,一部の科目がオンライン開講となっていますが,基本的に学生はキャンパスに登校しています.
部活動やこれに類する学生の活動も許可されており,過去2年間にわたって新人獲得が進んでいなかった団体に,1年生だけでなく2年生や3年生から参加するケースも例年より多いようです.
2019年度までに戻ったというよりは,静かな2年間が過ぎて,キャンパスが賑やかに変わってきた,という感じです.
今年度は球技大会も北里祭もオープンキャンパスも開催予定です (4月25日時点の予定).

●私はどんな日々を過ごしていた・いるのか

主軸を在宅勤務に移した

2022年度前期の担当科目は上記時間割のとおりです.
火曜の午後と水曜の午前は大学で仕事をしています.
他に,会議とか,学内で誰かに会うとか,図書館で調べたいものがあるとか,そういうときは大学に行きます.
あとはすべて在宅勤務です.
木金午後の化学実験は,オンライン化されている2テーマについてGoogleクラスルーム経由でのリアルタイムチャット対応です.
これも自宅からログインして担当しています.

木金午後はコレをやりつつ,全履修者のレポート添削を進めています.大学への移動時間が節約できるようになったのと,添削作業に専念できるのと,大学よりも作業スペースが広く確保できるのと,1人で全員分をチェックできるのとで,2019年度までと比べて丁寧な添削ができるようになりました.これは在宅勤務に移行して初めて可能になったものごとの一つです.
化学教育担当専任教員7名で作業分担を交換し,全体として生産性を高める最適解として,このようなやり方をすることになりました.

動画教材制作とオンライン会議

この2年間で学内外ともにビデオ会議の機会が増えました.
大学には教員個室がなく,第三者の目に触れない環境が求められるタイプのビデオ会議参加が不可能なので,自宅の一室を密室にしてオンライン会議に出席しています.
この場所では自習用のオンライン教材制作も進めており,たとえば2021年度から公開している化学要習全12回 + 科目説明の合計12本の動画は,ここで制作したものです.
2022年度も担当科目のオンライン教材づくりを進めており,私の担当する化学の講義では,予習も復習も動画でじゅうぶんに可能なしくみにしてあります.
こうした教材が提供できるようになったのも,在宅勤務に移行したからです.大学には動画教材を制作する環境がありません.

担当科目のしくみを変えた

火曜3限 (1ML) と水曜1限 (1CEと1RT) の化学では,予習動画と復習動画を公開しておき,ここで詳しく解説をおこない,講義室では動画の内容の簡略版をスライドショーで解説する,というスタイルにしました.スライドの内容はすべて動画の中に組み込まれているので,講義室でスクリーンを見ながら高速写経する必要がなくなりました.私も,書き写すために待ち時間を作る必要がなくなりました.2009年度に北里大学に来てから続けていた,黒板を使っての講義からは卒業しました.
化学要習は動画を,大学基礎演習はスライドを履修者に提供しているので,講義室でスクリーンを見ながら高速写経する必要がなくなりました.

執筆の仕事が増えた

これまでに2冊の書籍を単著で出版していますが,さらにその次の執筆を進めたり,出版に向けて企画進めたりしています.
また,ちょっとした文章を依頼されることも増え,毎日必ず何かを執筆している状況です.
私自身は執筆能力にじゅうぶんな自信を持っているわけではありませんが,高く評価してくださる方もいらっしゃることに感謝しており,良いものが残せるよう最善を尽くしています.

●学生とのアレコレ

#キャンナビ

大学業務として正式に担当している #キャンナビ について,最近どうなっているのかについてきかれることがあるので,これについては別記事で説明します.
2020年3月に急に活動停止となり (部活や北里祭実行委員会などと同様の扱い),その後の2年間はオンライン企画がいくつかあっただけでしたが,今月,4名のアクティブな幹部(2年生と3年生)を中心に活動開始しました.


#北里つながろう

www.tnojima.net

例年,#春から北里 タグのついたツイートをみつけては,北里つながろうプロジェクトを紹介する,というのをやってきましたが,今年度はこれをやらないとどうなるのかを試しています.#春から北里 タグをみつけると反応する上級生もたくさんいるし,2019年度までなら #北里つながろう 関連イベントとして学内でお花見やったりお菓子食べたりしていましたが,コロナでそれもできないし,ちょっと試しに例年とは違ったやり方をしてみることにしました.

獣医学科の新入生

2020年度と2021年度は,獣医学科1年C組のクラス主任でした.
しかし「集う」機会を可能な限り減らさなければならないという状況にあり,クラス全員と共に過ごす機会があったのは,2020年度も2021年度も,それぞれ1回だけでした.
クラス会のようなイベントは開催できませんでした.集合写真さえ撮影することができませんでした.
受け持ったクラスの一人ずつと面談はおこないつつ,相模原キャンパスで一緒に思い出をつくれないことを寂しく思っていました.

残念だったものごと

卒業式と入学式に出席できなかったのはとても残念です.
たくさんの人々に「卒後式に行くよ!」とか「卒業式で会おう!」と言っていたので,その機会が消えてしまったことをとても寂しく思っています.
北里祭やオープンキャンパスが(来場型で)開催されなかったことも残念です.どちらもキャンパスが賑やかになるイベントなので,2022年度は無事に開催されることを願っています.
2019年度まで.1年間に何回も学内BBQ場でBBQや関連イベントをおこなってきましたが,このBBQ場も2年以上にわたって使用禁止となっています.



BBQ場の流しは故障中です.近くの桜並木で倒木事故があったため,桜並木周辺が立入禁止となっており,現在,MB号館側からはBBQ場に立ち入ることができません.

●身内のできごと

2020年秋に孫が生まれました.昨年の春に会いに行って,昨年の冬に会いに来ました.

www.takahikonojima.net

●未来をつくる

コロナ前の大学を知っている学生は4年生以上となりました.コロナ前に「戻す」という考えをもたない世代が1年生から3年生までを占めています.2019年までの大学の姿を説明してそこに向かうよりは,これから先の未来を作って行くことを考えるほうが建設的です.私もイロイロと企んでおります.お楽しみに☆

●このブログを書いている人

www.tnojima.net

●もう一つのブログ

www.takahikonojima.net