Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

実験レポートの書き方(4)参考文献はどう書くのか?/提出前に何をチェックするのか?

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「参考文献」には何を書くのか

さて,次は最後のセクション,「参考文献」です.
f:id:takahikonojima:20130604183258p:plain
実験レポートを書くにあたって,実験テキスト以外の資料を参考にしたことでしょう.

その際に参考にした情報をすべてリストにしたものが「参考文献」です.

f:id:takahikonojima:20130604183310p:plain
自分で発見した情報でない限り,それはどこかの情報源から見いだしてきた情報です.

その情報がどこに記されているものであるのかを明記した上でレポートに記載する行為は「引用」であり,正当な行為です.

一方,明記しなかった場合,レポートを読む第三者には,その情報が「あなたのアイデア」なのか「別の人のもっていた情報」なのか区別できません.

このように,自分のアイデアではないものを,情報源を明記せずに報告する行為は「剽窃(ひょうせつ)」と呼ばれ,窃盗と同等の扱いを受けます.

不正行為として処罰の対象にもなり得るので,注意が必要です.

f:id:takahikonojima:20130604183319p:plain
参考文献を記載するにあたっては,「それを見た第三者が,その情報源にたどりつける書き方」をしなければなりません.

著者名,書籍名,出版社,出版年,といった情報があれば,図書館なり書店なりに行って情報源にアクセスできますね.

学術専門誌などの定期刊行物に記載されている情報を引用する場合には,巻号,該当ページ,も記載する必要があります.

レポートを書き上げたら・・・

f:id:takahikonojima:20130604183329p:plain

  • 指定された項目はすべて記されているか?
  • 図表番号に重複・欠落はないか?
  • 図表番号と本文とは対応しているか?
  • 単位に誤りはないか?
  • 計算間違いをしていないか

というような基本事項を確認します.

〆切厳守

f:id:takahikonojima:20130604183337p:plain
〆切に間に合わせることが重要です.

どんなにクオリティの高いすばらしいレポートでも,〆切過ぎたら減点.注意せよ.

お礼

ここに書かれている内容は,私自身が大学時代にティーチングアシスタントの大学院生とか,要領のいい生産性の高い先輩から教わった内容をもとにして,2010年度前期の「教養演習B『大学生としての学び方』」に向けて準備したものが元になっています.

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誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)

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実験レポートの書き方(3)考察ネタはどのように探すのか?

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● ソレ,考察ではありませんから

f:id:takahikonojima:20130604181935p:plain
実験レポートでもっとも苦労するのが「考察」です.

ここは得られた結果から何が言えるのか,「あなたの考えを述べるところです」.

なんですが,

そもそも考察って,何でしょうか?

これを考えるにあたって,「考察ではないもの」を例に挙げておくと参考になるかもしれません.

f:id:takahikonojima:20130604181954p:plain
「とてもおもしろい実験テーマでした.」とか「炎が緑色に光ってきれいでした.」というようなのは考察ではなくて「感想」です.

「溶液をこぼしてしまったことが悔やまれる.」とか「今回学んだことを将来に活かしたい.」というのは「反省文」とか「決意表明文」であって,考察の欄に書くものではありません.

家に帰って日記にでも書いて下さい.

というあたりで,「考察をどうするか問題」にとりくみましょう.


● 考察ネタ探しはツラくない

f:id:takahikonojima:20130604182006p:plain
実は大学の実験実習で扱われる実験の考察は,難しくありません.

そのことを理解するために,そもそも大学ではどんな実験実習が行われているのかを考えてみましょう.

まず,開講されている講義科目の内容を実体験することが目的として実験科目が開講されている場合がほとんどなので,講義関連のトピックから実験テーマが選定されています.

どんなテーマでもよいのかというと,そういうわけにも行きません.

大学の設備を使って,何十人もの学生が,時間内に,安全に,そして,ソコソコの成功率でできる実験,が選ばれているのです.

多くの場合は何年も前から続いているテーマで,他の大学でも行われているテーマが選ばれています.

だから,考察するためのネタはすでに世の中にストックされているのです.

いきなり高度にクリエイティブな論を立てる必要はないのです.

● 考察ネタ探し:3大考察ネタ

学生実験実習の考察には,実は,よく使われるネタがあります.
f:id:takahikonojima:20130604182047p:plain

1 誤差と精度と信頼性に関するもの

「誤差と精度と信頼性に関するもの」は,たとえば「理論上は100 gの目的物が得られるはずのところで50 gしか得られなかった.なんでだろう?」というようなものです.

この場合は,自分の実験操作をふりかえってみて,こぼさなかったか,というようなあたりからチェックすると,何か思い当たるフシがあったりするものです.

まずは「誤差と精度と信頼性に関するもの」を攻めるのがストレートな戦略です.

2 実験方法の妥当性に関するもの

「実験方法の妥当性に関するもの」は,たとえば「理論上は100 gの目的物が得られるはずのところで50 gしか得られなかった.でも別の方法を使ったら80 gになるかもしれない」というようなものです.

実験に関する書物を何冊かめくっていると,同じテーマでも異なる器具や試薬を用いている場合があります.

そういうのが参考になります.

3 実験の発展案に関するもの

「実験の発展案に関するもの」は,「今回のやりかたでは80 gあたりが限度だが,○○○装置を用いれば90 gくらいになるだろう」というようなものです.

レポートを採点する側が,「おぬし,やるな」となるのはこういうパターンです.

それなりに下調べが必要だし.

● 考察のやりかた

というわけで,今回は学部実験実習レポート考察の定番である「理論値と差異を論じる」場合を例に,考察のやりかたを考えてみましょう.

1 実験が順調に進んで,理論値に近い値が得られた場合の考察

f:id:takahikonojima:20130604182233p:plain
どのような場合に上手く「いかない」かを調べてみて,それを自分(たちのグループ)が避けたことを述べます.

そして,そのことが成功につながったこと,その要素が実験を進めるために重要であること,を述べます.

実験テキストや実験書を読むと,実験を行ううえで注意しなければならない点が書かれているものです.

そういった点を「実験前に」調べておくと,実験がうまく行くし考察も楽ですね.

2 実験操作に対する制約条件をネタにする考察

f:id:takahikonojima:20130604182245p:plain
たとえば実験テキストどおりに操作を進めてみても,やりにくい操作とか,判定しづらい判断基準とかにぶつかることがあります.

そういった点があったために,理論値から外れた結果になった,という論理展開です.

実際に実験をやりながら気づいた点をノートに記録していれば,この手のネタがいくつかみつかるものです.

3 自分が犯したミスをネタにする考察

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「もうちょっとしっかりやっていれば,もうちょっと理論値に近い値になっただろう」という内容を,反省文ではなく考察文として書くのです.

理由は3つくらい挙げておくことをおすすめします.

そうすれば「それだけの理由でこんなに低い値になるのか?」というツッコミを防ぐことができるかもしれません.

● 考察は実験の予習をするときに始まる

f:id:takahikonojima:20130604182310p:plain
というようなことを考えると,考察で苦しまないためには,実験にとりかかる前からどのあたりで考察するかを決めておく必要があることに気づきます.

まず実験操作の原理と操作と,それらに関する歴史的経緯,というようなあたりを関連書籍などで調べておくと,注意を要する点や,成功の秘訣といったものが見えてくるものです.

そういった点をアタマの片隅に置いておきながら,実際に手を動かして操作をやってみると,前もって調べておいたものごとの意味がよくわかります.

そこで気づいた点を考察のテーマとして選びましょう.
f:id:takahikonojima:20130604182321p:plain
考察は実験予習時にはじまるのです.

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実験レポートの書き方(2)それぞれの項目には何を書くのか?

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「目的」には何を書くのか

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「目的」には,「何のために何をやったのか」を書きます.

これは実験テキストに書かれている内容を要約して書けばOK.

「原理」には何を書くのか

f:id:takahikonojima:20130604181101p:plain
「原理」には,「どのような手段で実験目的を果たすのか」を書きます.

実験で用いられる手法の原理に関して説明します.

ここも実験テキストに説明が載っているものですが,教科書なり実験書(実験テキストとは別の書籍)をめくって内容を充実させましょう.

ここで参考にした書籍は,レポート最後の「参考文献」リストに加えておくことを忘れずに.

「実験方法」には何を書くのか

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「実験方法」には,「どのような装置・試薬・技術を用いたのか」を記載します.

これも実験テキストの内容をもとに,参考文献を見ながら内容を充実させましょう.

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「実験方法」では「過去形」で記述します.実験書には「これからやる方法」が記されているので現在形が使われています.

実験レポートには,「すでにやったこと」を書くので過去形になります.

「実験結果」には何を書くのか.

f:id:takahikonojima:20130604181121p:plain
「実験結果」には,「どのような結果が得られたのか」を記載します.

数値データとか観察記録といった,「具体的な情報」です.

その情報から推定されるものごととか,その結果の解釈については「考察」で述べます.「実験結果」には,中立な結果だけを記載します.

f:id:takahikonojima:20130604181126p:plain
実験結果は具体的に記述します.

化学実験で反応にともなって試料の色が変わったことを記録するのであれば,単に「色が変わった」ではなく,「薄い黄色から青緑に徐々に変化した」というように,第三者が読んでイメージできるよう,具体的に書きます.

図表を書くときの注意

f:id:takahikonojima:20130604181132p:plain
表や図を使って説明するのもおすすめです.

このとき,表や図の通し番号を飛ばしたり重複させたりしないようチェックしましょう.

また,本文中の番号と実際の番号がズレていないかも要チェック項目です.

改訂作業のときにズレることがあります.

図ではタイトルを下に,表では上に書く,という決まりを忘れずに.

計算式を書くときの注意

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計算式を記す際には,数値だけでなく単位も常に記しておくこと.

こうすることによって計算ミスや単位の間違いを防ぐことができます.

数値だけで計算を進めて,最後に単位を付け足すというやりかたは,ミスの元になりますので,やめ!

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数値と単位の間にはスペースを入れます.国際的な決まりです.

数値と単位の間には通常1字分の空白(スペース)を挿入する.


国際単位系(SI)の要約日本語版/独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合センター

「15 m」は「じゅうごめーとる」,「15m」は「じゅうごえむ」と読みます.

たとえば「15 cmの鉛筆一本の長さをmとした場合,この鉛筆を縦に10本つないだ際の長さ」は「10m」(じゅうえむ)になります.

「10 m」(じゅうめーとる)と書いたら間違いです.

一方,その時のながさをメートルで表すなら,「1.5 m」(いちてんごめーとる)になります.

「1.5m」(いちてんごえむ)ではありませんね.

半角スペースを入れないと減点される場合があります(特にワードプロセッサで印字するとき).

温度をあらわす場合は,「37 °C」が正しく,「37° C」や「37°C」は国際ルール違反です.

スペースは数値と「°C」の間に入れます.

「パーセント」の場合も,数値と「%」の間にスペースを入れます.

「15 %」は正しく,「15%」はダメ.

ただし,°Cと%についてはわざとスペースを入れない書き方にしている専門書もあります.

習慣でそうなっちゃってるわけです.

単位のルールについての日本語によるわかりやすい解説→日置 昭治:量の表しかた,ぶんせき,2011年2月号,p66-71

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実験レポートの書き方(1)実験レポートって何でしょう?

おことわり

この記事で主な読者として想定しているのは,実験実習科目を履修する大学1年生です.

実験レポートって何でしょう?

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実験レポート提出は,実験実習の最終段階です.

そして実験レポートは,あなたが実験を行ったことを宣言する書類です.

だから,実験レポートを提出しなければ,実験実習をやったことにならないのです.

やってはいけないこと

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絶対にやってはいけないことがあります.

やってもいない操作をやったと書いたり,数値をごまかしたりしてはいけません*1

こういう行為は試験中のカンニングと同等の行為として,処罰の対象になります.

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誰かが書いた実験レポートを丸写ししてもいけません.

過去のレポートのコピーだとか,友達のレポートだとかを丸写しする行為は,カンニングと同等の行為です.

特に,友達にレポートを見せてもらって,そっくりそのまま提出した,というような場合には,レポートを写した方も,写させてやった方も処罰の対象になります.

試験時間内に答案を見せてやった方も罰せられるのと同じです.

実験レポートは「あなたの課題」です.だれかの丸写しはダメです.

実験レポートの形式

f:id:takahikonojima:20130604180643p:plain
実験レポートには万国共通の形式というものがありません.

実験科目ごとにイロイロと違いがあります.

用紙のサイズだとか,書式だとか,枚数だとか,そういったことは各実験担当教員の指示に従って下さい.

ここでは,そういう細かい違いは考えず,世間いっぱんに「実験レポート」と言われたときに想定される平均的なレポートを想定してハナシを進めます.

だから,ここで述べられて行く内容と,自分が履修している実験実習科目の担当者からの指示とが違った場合には,後者に従って下さい.

実験レポートの文体

f:id:takahikonojima:20130604180656p:plain
ですます調ではなく,断定調で書きます.

実験実習レポートに限らず,大学でのレポートとか論文とかは断定調で書くものです.

実験レポートの構成

f:id:takahikonojima:20130604180704p:plain
実験レポートの構成は,だいたい決まっています.

  1. 目的
  2. 原理
  3. 実験方法
  4. 実験結果
  5. 考察
  6. 参考文献

です.

「原理」と「実験操作」はいっしょになっている場合もあります.

「参考文献」は厳密には「参考文献と引用文献」に分かれているはずなのですが,学部実習実験レポートではこのふたつはごちゃまぜになっていることが珍しくありません.

それぞれの項目に何を書いて行けばよいのか,ひとつずつ見て行きましょう.次の記事に続きます↓
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誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)

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はじめて学ぶ化学

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*1:実験ノートも同様です.

実験ノートには何を記録するのか?

おことわり

この記事の読者として想定しているのは,実験実習科目を履修する大学1年生です*1

実験ノートの書き方について「とりあえずこんなふうに考えておけばOK」というレベルのものであって,「これだけが絶対に正しい!」ではありません

実験ノートには何を記録するのか?

f:id:takahikonojima:20130604183803p:plain
実験ノートは,実験者が実際にその実験を行ったことを示す唯一の物的証拠となるものです.

また,実験レポートを書くために必要な,全実験結果*2が記された記録です.

f:id:takahikonojima:20130604183811p:plain
実験ノートには,その実験に関係する全てのものごとを積極的に記載します.

実験テーマ,実験年月日,天候,気温,気圧,湿度,といった基本情報にはじまり,実験から得られた数値,観察結果,実験をやりながら思いついたこと,考えたこと,その他,なんでも記録します.

グループ実験なら共同実験者の氏名と学籍コードも*3

f:id:takahikonojima:20130604183947p:plain
実験ノートには特に指定の無い限り,一冊の綴じ込み式ノートを使います.

こうすることにより,実験日誌としても経時記録を残すことができます.

また,ページの差し替えを物理的に困難にし,信頼できる記録を残すことができるようになります.

そして,ページ紛失による実験記録の消滅というリスクを減らすことが可能になります.

f:id:takahikonojima:20130604183818p:plain
実験ノートに記録する際には,「レポートを書くときに必要となる項目」を意識している必要があります.

そのためにはレポートに何を書くのかを前もって理解しておかなければなりません.

実験の前に実験テキストをよく読んで予習しておかなければならない理由のひとつです.

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f:id:takahikonojima:20130604183841p:plain
実験ノートへの記入は,実験時間内に限られません.

実験の予習をする段階で調査して得た情報や,作業をスムーズに進めるための操作手順(フローチャートみたいなもの)*4,注意点,などを前もって記入しておくこともできます.

また,実験終了後には,考察のために調べた情報を記入することもできます.

感想を残しておくこともできます*5

実験テキストや実習書には詳しく細かく実験操作が書かれていますが,ソレを見ながら実験をやるのはタイヘンだし,ミスのもとです.

自分にわかるように作業工程表をノートに書いておくのがオススメです.

また,実験時間内にはイロイロな測定を行うことがあるので,やり忘れを防ぐために測定項目一覧表をノートに書いておくと便利です.

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実験中には「何をやったか」,「そうしたらどうなったか」,「それはどれくらいか」を簡潔に記して行きます.

ここに記された内容に基づいてレポートを書くことになるので,記入漏れがあったり,あいまいな記載があったりすると,自分が困ったことになります.

f:id:takahikonojima:20130604181126p:plain
記録を残すときには,具体的に記述します.

化学実験で反応にともなって試料の色が変わったことを記録するのであれば,単に「色が変わった」ではなく,「薄い黄色から青緑に徐々に変化した」とか,これを簡略化して「薄黄→青緑,徐々に」など,具体的に書きます.

「少し」とか「多く」とか「適切な」といった記述は,実験記録を残す場合には適していません.

「驚くべき効果」などというのは論外です*6

一定時間続けたり待ったりする操作では,開始時刻と終了時刻を書いておくと便利です.

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実験ノートには,その場で記入することが大切です.

メモ用紙や下書き用紙に記録しておいて,あとから実験ノートに清書しようとする人がいますが,それでは実験ノートになりません.

薬包紙だとか 手のひらだとかに記録しておく,などというのは論外です*7

すべての記録に関して最初に記入されるのが実験ノートです*8*9

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実験ノートをとるときの注意として

  • ケシゴムをつかわない
  • 美しく記載しなくてよい

を忘れてはいけません.

書き間違えたところは二重線を引いて訂正し,どのように書き間違えたのかが分かるようにしておきます.

エンピツで書いてケシゴムで消す,という操作をすると,データの改ざんを疑われることがあるので*10,エンピツでなくペンで記入するのがオススメです*11

ときどき実験操作そっちのけで,丁寧に丁寧に丁寧に丁寧に字や表やイラストをノートに書いている人がいます.はっきり言ってムダです.

そこまで美しく書いても,成績プラスにはなりません.

体裁に気を付けるのは実験ノートではなくてレポートの方です.

実験ノートは本人にわかればOKです*12

f:id:takahikonojima:20130604184152p:plain
ちょっとした配慮も実験をうまくやるために大切です.

あなたが右利きなら,ノートは実験台の右前方に置くと記録しやすいでしょう.

ノートの上に液体の入った器具を載せると,こぼしてノートを使用できなくなるかもしれません.

f:id:takahikonojima:20160209141750p:plain
実験ノートにウソを書いてはいけません.

数字をごまかしたり,やってもいない操作をやったかのように書く行為は,試験中のカンニングと同等の「罪」です.

不正行為として処罰の対象となります*13

f:id:takahikonojima:20130604184223p:plain
実験書に書かれたとおりの結果が得られない場合があります.

そのようなときは「失敗」で片付けず,どうしてそうなったのかを考えます.

それが考察のネタにもなったりします.

f:id:takahikonojima:20130604184230p:plain
学生実験では,予想通りの結果が出なかったことが減点対象になったり,処罰の対象になったり,進級に影響したり,ということはありません.

実際に得られた結果をノートに記し,その結果に基づいてレポートを書きます.

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参考書籍

補遺1

ここでは主に大学1年生から3年生までの,学生実験実習でのノートのとりかた,について説明しました.

卒業研究以降,大学院に進学したり,実験を行う職業に就いたりといった場合には,実験ノートの取り方に対する考え方が変わってきます.

実験ノートは「研究記録」としての側面を持つようになります.

そこでは,いつ,どのようなことがきっかけで,どのようなアイデアが生まれ,それにもとづく実験研究がどのように進められて行ったのか,を記録する物的証拠として,実験ノートが取り扱われるようになります.

大学1年生の頃から,実験実習のノート記録という作業が,卒業後にそういった仕事をするときのトレーニングも兼ねているということを認識しつつ,実験実習にとりくみましょう.

補遺2

ここに書かれている内容は,私自身が大学時代にティーチングアシスタントの大学院生とか,要領のいい生産性の高い先輩から教わった内容をもとにして,2010年度前期の「教養演習B『大学生としての学び方』」に向けて準備したものが元になっています.

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現在は,1年生の選択科目 「大学基礎演習『理系スタイルのスタディスキル #リケスタ 』」 で扱っています.

この記事引用しているページ

これは北里大学の野島先生が新入生向けに実験ノートを解説したもので、解り易く文系や高校生まで使用をしているノートの違いが書かれています。
-小保方のノートが如何に杜撰で落書きレベルか理解ができていない方へ。(2014-05-31)

北里大学准教授の野島高彦さんによると、実験ノートは通常、ページの抜き差しができないように、ルーズリーフなどではなく「糸とじ」などの「とじこみ式ノート」のノートを使うとされており、
-理研、実験ノートを945円で発売 Amazonなら同様のノートが523円(2014-04-21)

実験ノートの何を書くかについては、北里大学の野島先生が上手にまとめられているので、これを参考にさせてもらっている。
-実験ノートとは/ゆみろぐ(2014-04-04)

実験ノートの取り方については、北里大学准教授の野島高彦さんのブログに詳しい。
-小保方さん 実験ノートには日付も詳細もなく要件を満たさず(2014-04-03)

私が教えこまれた実験ノートの取り方とほぼ同じ内容を、分かりやすくまとめたサイトがあったのでご紹介。
今見てみると、手帳の使い方にも通じるところがありそう。
-【随時更新】実験ノートをこのご時世にPC上ではなくあえて紙に残す意義(2014-04-02)

現役の大学教員による、大学1年生向けの「実験ノートの書き方」 。たいへんわかりやすいです。
-研究について:「実験ノートを書く」という訓練/猫と食事と西荻窪、ときどき旅する車椅子(2014-03-26)

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*1:なんでこんなことをわざわざ書くのかって言うと,こういう記事を公開すると「俺は違うやりかたをしている」とか「こういう場合もある」とか「ウチのラボではどうのこうの」とか言ってくる人がいて対応がタイヘンだからなんです.

*2:測定機からデータシートが出て来るタイプとか,結果が電子化されている場合とかは別です.そういうのをぜんぶプリントアウトして貼り付けておかなければならない実験科目もあれば,そこまでしなくても構わないっていう実験科目もあります.そういう例外が世の中にはたくさんあるので,この記事ではいちいち説明しません.

*3:共同実験者のメアドとか電話番号とかSNSアカウントとかを聞いておくのオススメ.記録し忘れを問い合わせるときに役立つから.

*4:ここでは「フローチャート」とは書かず,敢えて「作業工程表」と書いています.「フローチャート」には書き方のルールがあって,ソレはたとえば情報処理関係の科目で教わるのですが,そのとおりに書かないものを「フローチャート」と呼ぶと「ダメ!」って言ってくる人たちがいるのと,情報工学系の人々にきいてみると「正しいフローチャートの書き方なんて,誰もやってないよー」なので.

*5:自然科学においては「感じる」ことよりも「考える」ことのほうが重要ですが,あとから記憶の糸をたどって行くとき,「感じた」ことが記憶を蘇らせるために役立つことがあります.そこからネタ探しができることがあります.

*6:具体的に記載した情報に併記するかたちで「驚くべき効果」って書くんだったらご自由に.

*7:「そんなやついねぇよ!」っていうツッコミが不定期に来るのですが,あなたは やらなくても,世の中にはイロイロなヒトがいるから,わざわざココで書いてるんです.

*8:データ記入用のシートが別に用意されている場合を除く.

*9:物理的にノートに直接記入できない場合に,いったん別の手段で記録しておくっていうこともあります.

*10:ケシゴムのカスが実験のジャマになることもある.

*11:筆記用具については実験担当者の指示に従ってください.科目ごとにルールがあります.たとえば化学実験で有機溶媒を使う実験では,こぼれた溶媒がインクをにじませるため,エンピツで記入するキマリになっている場合あります.

*12:卒業研究以降,自分以外の誰かにもノートが引き継がれて行くシステムになっている場合には,他の人が見ても判別できる文字で記録します.

*13:実験レポートも同じ.

実験科目の「過去レポート」や「過去ノート」が手に入ったときにはどうすればいいのでしょうか?

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おことわり

  • この記事では実験実習科目を履修する大学1年生を読者として想定しています.
  • この記事では大学としての考え方を説明しているわけではなく,私の考え方を説明しています.

過去問ゲットは試験勉強の基本

試験勉強をする際には,過去に出題された問題,いわゆる「過去問」が役立ちます.大学入試でも,大学が公式ウェブサイトで入試問題過去問を公開しています.大学の定期試験においても,過去問が公開されている科目があるし*1,公開されていなくても,上級生がまとめた過去問のコピーが出回って来ることがあります*2

実験科目でも過去の資料が手に入る場合がある

実験科目においても,上級生から「過去レポート」やそのコピーが回ってくることがあって,ときどき「過去ノート」まで出回ってくることがあります.こういうものが入手できる場合,どうすればいいものでしょうか?

私の考えは,「入手できる資料は利用せよ!」です.過去レポートの場合,考察ネタ探しのヒントが得られるし,「だいたいどのような実験結果が得られる」という情報がわかるので,実験中に集中して取り組まなければならないポイントを絞れるからです.

丸写しダメ

過去レポートを丸写しして提出するのはダメです.レポートを丸写しして提出する行為は,試験時間内に隣の席の受験生の答案を盗み見して解答するカンニングと同等の不正行為だからです.大学によっては処罰される場合があります.「参考にする」のはOKで,「丸写しする」のはダメ.「参考にする」のと「丸写しする」のとを厳密に区別することはできません.ここはあなた自身の良心で決めてくださいな.

過去ノート

「過去ノート」も役に立つ場合があります.上手にまとまったノートが入手できた場合には,実験記録の取り方のお手本になるし,観察記録や測定結果からは,これから自分が取り組む実験においてどのようなことが起きるのかをイメージしやすくなるからです.失敗例が記録されている場合もあって,どのような点に注意して操作に取り組むべきかのヒントが得られることもあります.

おまえはどうだったのか?

私も大学1年生から3年生まで,ほとんどの実験テーマについて過去レポートのコピーを集めていました.中にはコピーが繰り返されて字がつぶれて読みにくいものもありましたが,何年もコピーされて続けてきたレポートは良く出来たものである場合が多く,そういうものを複数ルートから手に入れて見比べて参考にして,さらによいレポートづくりを目指したものです.

注意

以上は私の考え方です.実験科目の担当者から「過去の資料を参考にしてはいけない」と指示されている場合には,そっちの指示に従ってください.また,禁止されていなくても,この世の中には,過去レポートの入手を快く思わない担当教員もいることをお忘れなく!

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はじめて学ぶ化学

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*1:私は定期試験の過去問と解答をセットにして自由にダウンロードできる状態にしてあります.講義初回に前年度の試験問題を配付している科目もあります.

*2:良くできた過去問と解答例が回ってくるかどうかが勝負の分かれ道,などという科目もあります.日頃の努力ではなく,人脈で成績に差が付く場合があり,それが問題だという意見もある一方,情報入手ルートの開拓も含めて大学での学びであるという主張もあります.どれが正しくどれが正しくないという性質の問題ではありません.

実験科目の「予習」って具体的に何をすればいいんでしょうか?

おことわり *1

  • この記事では実験実習科目を履修する大学1年生を読者として想定しています.
  • この記事に書いてあることと,実験担当者の言ってることとが違ったら,後者に従ってください.

(1) 実習書を読んでどこがわかんないのかハッキリさせておく

まず実習書を読みます.読んでみて知らない用語が出てきたら,ソレが何なのか調べます.
すでにそのテーマをやった班があれば,その人々に聞きます.そういう班がなければ,Web検索します.
Web検索してわからなければ,実験当日の説明が終わってから,担当者に質問します.

(2) とるべきテータの一覧表をノートに書いておく

その日に行う測定や観測の一覧表を実験ノートに書いておきます*2
実習書を読めば,その実験で具体的に何を測定するのか,何を観察するのかわかります.
たとえばこんな感じにまとめておくと,記録し忘れを防げるでしょう.
f:id:takahikonojima:20140527153636p:plain

(3) 操作手順をノートに書いておく

その日にやる操作の操作手順を箇条書きとかフローチャートっぽいの*3とかにしてノートに書いておきます*4
実験室では実習書ではなく,こっちを見れば自動的に実験が進む状態にしておきます.
たとえばこんな感じに書いておくと,間違えずに操作が進められるでしょう.
f:id:takahikonojima:20140527154134p:plain

チェックリストにするのもオススメします.
f:id:takahikonojima:20140527154140p:plain

1ページを左右に分割して,左側に操作手順,右側に結果を書く,とか,見開きページの左側に操作手順,右側に結果を書く,というやり方をすると便利です.

(4) 自分で書いた操作手順を読みながら実験操作をイメージする

具体的にどうやるのかイメージできないところがあったら,実習書を読み直して操作手順に追記します.実習書を読んでわからなければ(1)に戻ります.

(5) よく寝ておく

寝不足で説明が頭に入らなくて操作を間違えて最初からやり直しになったりケガをしたりっていうことがあるし,いったん始めると休めないテーマもあるから,前の晩には よく寝ておくこと.

(6) 実験前の説明を聞くときのポイント

実験前の説明はミスやケガを防ぐためにも,実験前の説明を聞くことは重要です.
でも,長い説明を集中して聞き続けるのはムリです.だから集中して聞くポイントの選択と集中が必要になります.

具体的には以下の2点.

(a) 注意点

「実習書に書いてあるコレはこういうことを意味する」とか,「ココでこうやると失敗する」とか,「やり忘れる人が多いのはココ」っていうポイントはメモしておきます.

(b) 予習してわかんなかったところ

みんながわかんない点については説明があります.説明をきいてもわからなかったら必ず質問すること.早期解決重要.

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*1:ここに書いた内容は学生実験の予習について「よくあるパターン」であって,「世の中の全ての実験科目に対して こうやるのが正しい」と主張するものではありません.こういうガイドをオンライン公開すると,「いや,そうじゃない場合だってある」とか「俺は こう教わった」とか「そうやってない科目もある」とか「そのとおりにやって問題が生じたときにオマエは責任をとるのか」などとわざわざコメントして来るヒトがいるので,先にそのことをお断りしておきます.

*2:実験ノートではなく別のシートに書いてくる決まりになっている実験科目もあります.

*3:「フローチャート」っていうのには「書き方の決まり」があって,ここでは「フローチャート」って言わないで「フローチャートっぽい」って書いてます.

*4:実験ノートではなく別のシートに書いてくる決まりになっている実験科目もあります.