おことわり *1
この記事では実験実習科目を履修する大学1年生を読者として想定しています.
実験レポートでは「目的」,「方法」,「結果」,「考察」,「参考文献」を分けて書くのが「おやくそく」になっています.
ここで,実験テーマによっては「方法」と「結果」を分けて書くのが難しく感じる場合があります.
2つの例を挙げてみます.
1 もしもこうなったらこうする/ああなったらああする
実験書にはこう書かれている↓
箱のフタを開けて,中にネコがいれば魚を,イヌがいれば肉をエサとして与える.エサを与えた後の動物の反応を観察する.
実際に進めた実験はこんな具合だった↓
- あなたは箱のフタを開けた
- あなたは箱の中にイヌがいることを見いだした
- あなたはイヌに肉を与えた
- あなたから肉をもらったイヌはワンワンワンと吠えた.
- あなたは「イヌがワンワンワンと吠えた」と実験ノートに記録した.
ここで実験書を丸写ししたヒトがレポートにこういうことを書いてくることがあります.
コレはダメな例.
[方法] 箱のフタを開けて,中にネコがいれば魚を,イヌがいれば肉を与えた.
なんでダメかっていうと,あなたはネコには会っていないのだから,「中にネコがいれば魚を」やった,と書いたら,やってもいない「ウソ」を書くことになっちゃうからです.
「あなたがやった方法」にはネコは登場しないのです.登場するのはイヌだけ.
っていうわけで,こんな書き方をする人が出て来るわけです↓
[方法] 箱のフタを開けたら,中にイヌがいた.イヌに肉を与えた.
コレもダメです.
なんでダメかっていうと,「何をやったらどうだった」ってのは「方法」じゃなくて「結果」に書くのが「おやくそく」だからです.
「中にイヌがいた.」っていうのは,フタを開けるっていう操作をやってみた「結果」としてわかったことですよね?
だったら「方法」に書いたらダメで,書くとしたら「結果」になるのです.
じゃ,どのように書けばいいのかっていうと,たとえばこんな感じ↓
[方法] フタを開けて箱の中の動物がイヌかネコなのかを判別した.箱の中にいたイヌに肉を与えた.
[結果] フタを開けたところ,箱の中にいた動物がイヌであることがわかった.イヌに肉を与えたところイヌは〜
もっと簡潔に書くとしたらこんな感じ↓
[方法] フタを開け,箱の中にいたイヌに肉を与えた.
[結果] イヌに肉を与えたところイヌは〜
実験書を読んで「こうなった場合にはコレ,そうなった場合にはソレ」っていうパターンに出会った時には,その実験についてレポートに書くとき,こんな調子に対応してください.
2 こうなったらこうする
実験書にはこう書かれている↓
箱のフタを開けて中にいるイヌに肉をエサとして与える.エサを与えた後のイヌの反応を観察する.
この場合,箱の中にイヌがいることは実験前からわかっていることなので,「箱の中にはイヌがいた.」などとレポートにわざわざ書く必要はありません.
こう書けばOK↓
[方法] フタを開けて箱の中のイヌに肉を与えた.
[結果] 肉を与えられたイヌは〜
実験書を読んで「こうなることがわかっている.その次はソレ」っていうパターンに出会った時には,こんな調子に対応してください.
これで例えば「A液をB液に加えたときに沈殿が生じたらこうする.」と「A液をB液に加えたときに沈殿が生じるかどうかを確かめる.」のそれぞれについて,方法と結果の書き方が違うの,わかったよね?
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*1:追記:2014-09-05