Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

小学校で理科実験(2010)・その後

先週,地元の公立小学校で6年生の理科の時間に,化学の授業をやりました.

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ボランティアとして毎年やっている授業で,ムラサキキャベツの葉やパンジーの花に含まれる色素が,水溶液のpHに依存して色を変えるのを見せてから,アンモニア噴水(化学マジックの定番)を見せ,自然界の構成要素である分子についての話をする,という内容です*1

今回,この授業を受けた6年生が,お礼のお手紙と手作りのお菓子を届けにきてくれました*2

手紙には,もともと理科が好きだったこと,将来は獣医になりたいこと,今回の授業で化学に興味をもったこと,などがしっかりとした字で書かれていました.

とても嬉しいできごとでした.

北里大学にも獣医学部があります.私も獣医学部1年生の化学実験実習を分担担当しています*3

実験実習をみる限り,全般にまじめで熱心な学生が多く感じられます*4.獣医への夢をあきらめられず,他大学を卒業してから獣医学部に入学しなおし,1年生として勉強しなおす学生もいます.

あこがれの職業としても人気の高い獣医.

今回お手紙をくれた6年生も,ぜひ夢をかなえてほしいと思います.

さっそく返事を書きました.

****さん

お手紙どうもありがとうございました.

化学の世界に興味をもってもらえて,とても嬉しく思っています.

おいしいお菓子もありがとうございました.

ほんのり甘い ひなまつりの味がしました.

私もこれまでに,たくさんの人から,たくさんのものごとを教えてもらってきました.

今,そうやって教わってきたものごとを,次の世代に伝えることができることに感謝しています.

感謝の気持ちをバトンタッチしているのかもしれません.

さて,生き物の体のなかでは,ふだん意識することはなくても,たくさんの化学反応が進んでいます.

そういう化学反応について学ぶと,生き物のしくみがわかったり,生き物を病気やけがから救うことができるようになったりします.

そのため,獣医さんになる人はみな,必ず化学を学びます.

****さんがこれから先,化学について学んだり,化学の実験をやったりするとき,今回の実験のことを思い出してもらえたら,とても嬉しく思います.

獣医さんになるという夢を,ぜひかなえてください.

野島 高彦

私の母方の祖父が獣医でした.

私が生まれたときにはすでに引退していたのですが,祖父の家の風呂場の扉の前には,獣医だった頃に着ていたという白衣がぶらさがっていたのを覚えています.

生き物の話をしたことはほとんどなく,動物好きという印象もなかったのですが,晩年は家にやってくる半野良状態の猫をかわいがり,その猫がケガして帰ってきたときには手当をしながら,自分は獣医である,というようなことをポソっと口にしていました.

生涯,誇りをもち続けられる職業はいいですね.

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*1:細かいところは毎年変えています.

*2:残念ながら私は留守にしていたので家内が受け取ってくれました.

*3:それと,高校化学未習得者対象の化学要習で私が担当したコースにも獣医学科の学生がいました.

*4:大学のカラーかもしれませんが,1年生は全学的にまじめな学生が揃っています.2年以降はほとんど接点がないので何とも言えません