Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(24)ベンゼン環を含む有機化合物

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さまざまな薬品が分子内にベンゼン環を含んでいます.

キーワード

o-,p-配向性,m-配向性,置換基効果,転位反応,ニトロ化,配向性

事前配布資料

前回の講義終了時に予習用の資料を配付しました.コレがテキストになってます.

講義内容要約

  • 医薬品,体内,日常生活用品のあちらこちらに組み込まれているベンゼン環
  • ベンゼン分子の構造
  • ベンゼン分子の置換反応
  • 一置換ベンゼンの配向性:先に入った官能基が2個目の入る場所を決める
  • フェノールおよび安息香酸エステルの配向性に関する有機電子論
  • 薬品の合成ルートを決めるときの考え方

関連トピック

人類は複雑な構造をもつ医薬品の合成に取り組んできました.その一例として,抗がん剤「タキソール」を紹介しました.

質問

  • ベンゼンの正六角形はどのように測定できるのですか?

赤外分光法.くわしいこと省略.

  • 柳の樹皮の話は,たまたま頭が痛い人が たまたま柳の木を見つけて皮をかじってみたから発見できたのでしょうか? (すごい偶然だと思いました)

日本では柳の木からつくった爪楊枝を使っていると歯痛が収まることが知られていました.12世紀には柳の葉の鎮痛作用が記録されています.西洋ではヒポクラテスが柳の鎮痛作用を記しています.人類で最初に柳の鎮痛作用を発見した人物は不明です.

コメント

  • 柳の木を口に入れるなんて すごいチャレンジ精神だなと思いました.とてもマネできません.
  • タキソールの話が面白かった!
  • 医薬品 合成するのにとても手間がかかっているんですね.
  • 腰が痛いです.
  • 高校でやってきた有機の内容,忘れているところが多いので,復習しておきます.
  • 高校でやったことを忘れてしまっているので,またしっかり覚えたいです.
  • 受験の時以来の有機で懐かしかった.割と時間を使って勉強していたが半年間ほぼ見ていないと結構忘れてしまっていた.
  • 忘れてる・・・
  • やばすぎてやばいです.
  • まだ無遅刻・無欠席.配向性から反応の順がわかることに感動した.
  • スーパー遅刻しました.
  • 部活動の話ですが,勝ちたい試合には勝つことができました!良い結果が得られました.今まではほっておいた勉強がやばすぎます・・・

出席者数推移

(1)103→(2)99→(3)94→(4)91→(5)98→(6)98→(7)93→
(8)81→(9)88→(10)83→(11)80→(12)80→(13)87→(14)82→
(16)72→(17)61→(18)56→(19)42→(20)49→(21)53→(22)47→
(23)53→(24)46.

次回予告と自宅学習

www.tnojima.net
窒素を含む有機化合物について学びます.配布物で予習して来ること.

参考書籍

マクマリー有機化学(中)第9版

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  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2017/02/12
  • メディア: 単行本
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↑「15 ベンゼンと芳香族性」,「16 ベンゼンの化学:芳香族求電子置換」,「17 アルコールとフェノール」
有機電子論解説―有機化学の基礎

有機電子論解説―有機化学の基礎

↑「16章 ベンゼンの構造と芳香族性」,「17章 芳香族の反応 (I).求電子置換反応」,「18章 芳香族の反応 (II).いろいろの反応」
炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)

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↑「第3章 大航海時代を生んだ香り 芳香族化合物」
新化学読本―化ける、変わるを学ぶ

新化学読本―化ける、変わるを学ぶ

↑「第9章 建築家の夢が扉をあけた芳香族-ベンゼン」,「第10章 柳の樹皮から生まれた解熱剤-アスピリン」
世界史を変えた薬 (講談社現代新書)

世界史を変えた薬 (講談社現代新書)

↑「第6章 消毒薬/ゼンメルワイスとリスターの物語」,「第10章 アスピリン/三つの世紀に君臨した医薬の王者」
スパイス、爆薬、医薬品 - 世界史を変えた17の化学物質

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  • 作者: ジェイ・バーレサン,ペニー・ルクーター,小林力
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/11/24
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 128回
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↑「七章 フェノール/医療現場の革命とプラスチックの時代」,「十章 医学の革命/アスピリン、サルファ剤、ペニシリン」

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