Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工学科2013年度後期試験問題と解答

1月10日(金)4限に行われた医療工学科後期試験問題と解答を公開します.

[1]〜[8]の中から,5問を選んで解答用紙に解答せよ.いずれも20点の配点である.5問を超えて解答した場合,正答した場合には通年成績に加算する.

[1] 以下の有機化合物(1)〜(28)の中から,石油化学基礎製品をすべて選び,その記号と名称を答えよ.解答欄を全て使うとは限らない.
f:id:takahikonojima:20140113215029p:plain

(5) エチレン,(6) プロピレン,(8) 1,3-ブタジエン,(17) ベンゼン,(18) トルエン,(21) o-キシレン,(22) m-キシレン,(23) p-キシレン
今年度模擬問題の類似問題.

[2] 三大合成繊維である(a)アクリル,(b)ポリエステル,(c)ナイロンについて,主成分となっているポリマーの化合物名を挙げ,それぞれについて繰り返し構造の化学式を記せ.(c)に関しては複数の化合物が当てはまるので,それらの内の一種類を解答せよ.

(a) ポリアクリロニトリル,(b) ポリエチレンテレフタラート,(c) 6,6-ナイロンあるいは6-ナイロン.
化学式は省略.
今年度模擬問題の類似問題.

[3] 以下の有機化合物(1)〜(4)に対して加水分解を行った際に生じる化合物の構造式をすべて記せ.加水分解反応は完全に進行するものとする.
f:id:takahikonojima:20140113215054p:plain

f:id:takahikonojima:20140113215102p:plain

[4] 氷1.0 kgが -10 °Cにある.ここに25 mLのエタノールが完全燃焼する際に生じる熱を与えて氷をすべて温水に変える操作を考える.燃焼熱が全てこの過程に用いられた場合,最終的に得られる温水の温度は何°Cになるか.氷のモル比熱は38 J mol-1 K-1,液体の水のモル比熱は75 J K-1 mol-1,氷のモル融解熱は6.0 kJ mol-1,1 molのエタノールが燃焼熱する際に生じる熱は1.4×106 J,エタノールのモル質量は46 g mol-1,エタノールの密度は0.79 g cm-3 とせよ.

59 ℃.

[5] スクロースの0.100 mol L-1の水溶液が示す浸透圧と同じ大きさの浸透圧を,同じ温度で示す塩化カルシウムCaCl2水溶液を500 mL調製するためには,何gのCaCl2が必要か.CaCl2は水中で完全に電離するものとする.CaCl2のモル質量は111 g mol-1とせよ.

1.85 g.
教科書160ページ章末問題2と同一問題.

[6] 1.0×10-2 mol L-1 酢酸水溶液のpHを測定したところ,3.5であった.この水溶液中における酢酸の電離度は何%か.有効数字2桁で答えよ.

3.2 %.
第19回の確認問題と同一問題.

[7] 14Cは生命科学研究においても用いられるラジオアイソトープであり,その半減期は5730年である.いま14Cが10 mg存在するとして,これが1.0 mgになるのは何年後か.解答欄の□内に数字を一文字ずつ記入せよ.なお,14Cの崩壊速度は以下の微分方程式であらわされるものとする.
dC/dt = -kC
ここでCは時間tにおける14Cの存在量,kは速度定数である.計算を進めるにあたって,半減期t1/2とkとの間にk1/2 = ln2の関係が成り立つことを用いてもよい.

1万9千年後.
第20回の確認問題の類似問題.

[8] 弱酸と弱酸の強塩基塩から成る緩衝溶液において,pH = pKaのときに弱酸の電離度が50 %となることを証明せよ.

省略.
第19回に配布した「緩衝溶液のしくみ」計算問題第5問と同一問題.

教科書(講義第1回目〜第20回目の内容)

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

2013年度講義録