[演習]30秒トーク
自分で選んだテーマについて調査レポートを書いて来ることが本日までの課題でした.そのレポートでテーマとなっている物事について,30秒間の持ち時間で自由に話すのが今回の演習でした.最終的に以下のようなテーマに収まりました.3名が欠席したので25名が発表しました.
- 3Dプリンターについて
- CERN
- Hello Kitty
- 椅子の歴史とこれから
- 印刷技術の発展
- インスタントラーメンについて
- 傘の過去と未来
- 傘の歴史と発展
- 家庭用掃除ロボットについて
- 携帯今昔物語
- シャーペンの歴史と今
- 水耕栽培を用いる植物工場
- 水上兵器の今後
- 地球を救うミドリムシ
- チョコレートについて
- 電子マネー
- 電子レンジ
- 「電線のない待ち」構想
- 電卓について
- 日本語と語種
- ネコ界のダックスフンド
- バッグクロージャー
- プロジェクションマッピング〜幻想的な光の世界〜
- ペットボトルの歴史と今後
- マスクについて
- 洋式便座について
- 予防接種
- ロボット掃除機
30秒トークのパターンがいくつかあったので,ここで振り返っておきます.異なるパターンで構成しなおしてみるのもおすすめです.重要なのは,最初の一言をどうするか? です.
- 何について話すのかを最初に言っておく
- 「○○について話します」から始めるパターン.興味を持ってる人には熱心に,そうでもない人にはそれなりに聞いてもらえます.興味の無い人は耳を傾けないでしょう. 何の話なのか最初にわかるので,安心して聞くことができます.
- みんながそれなりに知っているものごとについて,みんなが知らない点を紹介する
- 「○○が最初に登場したのは500年も昔のことだったんです」みたいなパターン.「へぇ〜,そうだったんだ!」と思わせて話に引きずり込みます.「だから何?」って思われない情報を選ぶのがポイント.
- みんなが考えているのとは異なる事例を紹介する
- 「○○には△△が使われていますが,実は,◇◇の方が広く使われているんです」みたいなパターン.△△についてみんなが知っていることが前提.
- 質問から始めるパターン
- 「みなさんは○○を使ってみたことがありますか?」みたいなパターン.YesかNoかで答えさせる質問にすること.WhatとかHowだと答えが見つからなくて空気が凍る場合あり.
こんな感じで,25名それぞれが工夫したトークを披露してくれました.
[解説]事実と考えとを混ぜてはいけない
30秒トークが続くとキツいので,全体を3分割して,途中でものごとの考え方についての解説を2件入れました.最初の解説はコレです.
レポートを書くときにも,何かを主張するときにも,「事実」と「意見」をごちゃ混ぜにして論理展開してしまうことがあります.また,故意に両者を混ぜて自分に都合の良い結論に導き出す困ったヒトもいます(悪徳商法の多く).そこで,「事実と意見」について考えてみました.
まず,次の文章を読んでみましょう.
近頃の学生は整った文章を書く能力がないという声をよく聞くが,私はこれは主に理科系の学生に関していわれていることだと思う.理科系の学生がきちんとした文章を書けないことにふしぎはない.彼らの本領は文学ではないからである.
木下是雄,理科系の作文技術,p111より引用
なんとなくヘンな感じがするものの,よく読まないとどこがヘンなのかが気づきにくい文章です.この文章の問題点は,
近頃の学生は整った文章を書く能力がない
という記述は「事実」ではなくて「判断」なのに,これを事実として
理科系の学生がきちんとした文章を書けないこと
に接続してしまっているところにあります.レポートを執筆するとき,この手のミスを犯さぬよう注意を払いましょう.また,この手のおかしな論理展開にひっかからないよう注意して文章を読みましょう.
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[解説]議論と討論と口論
「議論」と「討論」と「口論」の区別が付いていない人は珍しくありません.区別がつかないために不要な争いや混乱が生じている場合もあります.これらがどのように違うのかを確認しておきましょう.
「議論」は,異なった結論を持つ者どうしが,互いに納得(妥協)できる結論を探して行く行為です.互いに譲り合って意見を調整し,一つの結論を目指します.
「討論」では,一つの意見への収束は目指しません.異なる意見を持つものがそれぞれの意見を紹介しますが,それらの意見に基づいて決断を下すのは,第三者です.
「口論」は単なるケンカですね.結論を目指すわけでもなく,決断を第三者に下してもらうわけでもない,不毛な行為です.
- 作者: 岩田宗之
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次回の予定
今回提出してもらったレポートにはすべてコメントを赤ペンで記入して返却します.
第1回目から学んできた内容を振り返り,これから先の大学生活,そして人生にどのように役立てていくのか,確認します.