Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

2011年度後期,医療工学科「化学」授業評価

2011年12月21日1限の化学講義最終回で,授業評価アンケートに回答してもらいました.この日は医療工学科の2011年度化学講義の最終回でした.
1年間を通じて受講した全30回の化学講義をどのように評価するか,だけでなく,この講義から自分自身はどのように成長したかを振り返ってもらうためのアンケートでもあります.一般教育部に所属する全専任教員を対象に毎年行われている調査です.

履修者にはアンケート結果を知る権利があります.そのため,昨年度から私は授業評価の結果を公開しています.

調査項目

マークシートによる回答です.用紙の終わりに自由記入欄あり.
I. 授業と教員について
(1) 授業の目標が毎回はっきりと示されていた
(2) 授業はよく準備・計画されていた
(3) 授業内容は、興味や関心を引くものだった
(4) 説明・解説がていねいで、わかりやすかった
(5) 口調が明瞭で、聞き取りやすかった
(6) 板書は見やすかった
(7) テキスト、配布資料は学習の助けになった
(8) スライド、ビデオなどメディア教材は効果的に使われた
(9) 教員は、学生の質問や疑問に対して適切な応答をした
(10) 教員は、学生の理解度を確かめながら授業を進めた
II. あなた自身について
(11) あなたは、この授業での到達目標(シラバスに掲げられた知識や技能の習得)をどの程度達成できたと思いますか
(12) 授業内容を理解するために、授業に出席すること以外で、あなたが特に心がけておこなったことは何ですか。(最大3つ)

  • 授業の予・復習をするように努める
  • 疑問点について教員や友人に質問する
  • 疑問点を解決するために関連図書を調べる
  • わかりやすいノートを作る工夫をする
  • 何が分からないのか、できないのかを考える
  • 与えられた課題にはきちんと取り組む

(13) 新しい知識や技能を得ること以外で、あなたにとってこの授業の成果と言えるものは何ですか。(最大3つ)

  • 物事をみる視野が広がった
  • 授業の関連分野に関する知的好奇心が高まった
  • 問題を発見したり解決する力がついた
  • 物事を論理的に考える力がついた
  • 論述したり表現する力がついた
  • 今後の学習のために必要な学力がついた

III. 総合評価
(14) 総合的に判断して、この授業は自分にとって意味のある授業だった

調査結果

履修者数は最終的に90名.アンケート回答数は62.回答率は69 %.
全専任教員が1科目をアンケート対象に選びます.その平均値は大学公式サイトで公開されます.
この平均値と比べることにより,次年度(前期に集計した場合は後期)からの講義を改善して行くための指針が得られます.
アンケートは講義時間内に履修者の協力を得て行われたものなので,ここで集計結果を開示します.また,結果に対する私の意見も公開しますので,コメントや提案や反論を歓迎します.

「I. 授業と教員について」

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2011年度の履修者からみた,水曜1限化学講義の評価と,この講義を担当した私に対する評価です.「クラス」が私の担当講義,「全体」がアンケートに回答した全教員の担当講義です.
全調査項目において「そう思う」の割会が平均を超えています.
全10件の調査項目のうち,6件において「そう思う + ややそう思う」が100 %となっているので,2011年度の講義そのものは成功していたと私は判断します.また,昨年度はこれが3件だけだったので,講義の質は改善されていると判断します.

「II. あなた自身について」

「あなた」というのは履修者のことです.
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この項目を昨年度のものと比べると,「全体」も「クラス」もパターンが変わっています.

昨年度は両者で数倍の開きがあった調査項目もあったのですが,今年度は「わかりやすいノートをつくる工夫をする」で「全体」の2倍の回答数が集まっている他には目立った点はありませんでした.しかしなんでまた「わかりやすいノートをつくる工夫をする」なのかは不明です.
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この講義が履修者に何を残したのか,という点を調査したのが「(13) 新しい知識や技能を得ること以外で、あなたにとってこの授業の成果と言えるものは何ですか。(最大3つ)」です.
平均よりも多い回答数を集めた項目は「物事をみる視野が広がった」,「授業の関連分野に関する知的好奇心が高まった」,「今後の学習のために必要な学力がついた」の3項目でした.
「物事をみる視野が広がった」と「授業の関連分野に関する知的好奇心が高まった」は,医療,生活,産業に化学がどのように役だっているのか,また,生命現象を理解するために化学がどのように役だっているかという視点から講義を進めてきた結果と考えています.
「今後の学習のために必要な学力がついた」はおそらく,前期後半から後期半ばにかかけて毎回行っていた計算テストのことだと推測します.それと,医療技術を支える有機化学の考え方のあたりも相当するかもしれません.

「III. 総合評価」

ぜんぶひっくるめて,この講義はどうだったのでしょうか.
最後の調査項目は「(14) 総合的に判断して、この授業は自分にとって意味のある授業だった」というものです.
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「そう思う + ややそう思う」で回答の100 %となっています.

要約と抱負

以上から,2011年度の医療工学科を対象とした化学講義はうまく行ったと判断します.2012年度もこのやりかたを踏襲しつつ,信頼される技術者として活躍できるよう,「モル嫌い・濃度計算嫌い・有機化合物嫌いの撲滅」に取りくみます.

御礼

アンケートに協力してくれたみなさまに御礼申し上げます.
また,Twitter,Facebook,mixiを通じての履修者とのコミュニケーション,学外の皆様からのアドバイスやコメントが,年間を通じて講義の質向上に役立ちました.お礼申し上げます.

授業記録

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この科目についての考え方

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