海洋生命科学部の1年生といっしょに,新江ノ島水族館(新えのすい)(神奈川県藤沢市) & 海洋研究開発機構(JAMSTEC)(神奈川県横須賀市)を見学してきました.
海洋生命科学部では例年,1年生の5月1日あるいは2日に,これら2施設を見学しています*1.9時に小田急江ノ島線「片瀬江ノ島」駅集合.ここから徒歩で新えのすいに移動しました.雨.
【海洋生命科学部1年D組】明日は「新えのすい+JAMSTEC見学ツアー」だぞ.寝坊するな.雨でもテンション上げて行くぞゴルア!
— 野島高彦 Takahiko NOJIMA (@TakahikoNojima) 2012, 5月 1
新えのすい
50分間の自由行動の後,バックヤード見学ツアーがありました.普段は立ち入ることのできない管理区域を見学させていただきました.写真撮影禁止.
ライフサポート施設
水槽に循環する水の浄化と,温度調節システムを最初に説明していただきました.濾過材には,粒径と材質の異なる砂利を組み合わせて使用し,ここでアンモニア分解バクテリアを使ってアンモニアを硝酸まで酸化させています.硝酸の濃度が高まらないように,少しずつ海水と入れ替えています.その量一日あたり100トン.
水槽の温度は「相模湾に暮らす様々な生物が共通して成育可能な温度」に設定されていますが,この最適化にも時間がかかったとのことです.
予備飼育施設
水族館で展示されている生物の多くは,漁の際に他の魚に紛れて捕まったものを譲り受けてきたものです.そのため傷付いていたり病気をもっていたりすることもあります.そこで,健康な状態に回復するまでの期間,小規模の水槽で飼育しています.
また,捕獲してきた魚には「餌付け」も必要です.そうしないと水槽の中で「共食い」をする場合があるからです.エサに慣れさせるために,一定期間,小規模の水槽で飼育しています.
さらに,毎月変わる「テーマ別水槽」に展示される生物を飼育しておくための水槽も必要です.
こうした水槽が並ぶ区画を見せていただきました.
展示水槽の後ろ側
展示室からガラス窓ごしに眺める水槽の,さらに奥の様子を見学させていただきました.水槽ごとに濾過装置とヒーターが取り付けられています.
ミズクラゲの飼育
クラゲはいつでも海で採取できるわけではありません.生活環のうち「ポリプ」と呼ばれる状態で保存しておき,ここから塩分濃度や温度変化などの刺激を与えて成長させています.そのための飼育条件研究が行われています.水槽やビーカーの並ぶ実験室を見せていただきました.
海洋研究開発機構(JAMSTEC)
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新えのすいからバスで移動.14時から15時30分まで見学しました.JAMSTECは海洋や大気のしくみを解き明かし,地球への理解を深めつつ,資源を探査して行く研究を進めている研究機関です.
深海生物の研究室
自然光が届かないため,光合成が不可能な深さの海に暮らす生物の世界について説明を受けました.深海に暮らすバクテリアの栄養源として,クジラの死骸が重要なのではないか,という点に注目した研究が進められていました.ニマイガイ,ハオリムシといった,深海の生物を見せていただきました.
↑ハオリムシが管から赤いエラを引っ込める様子を捉えました.
海洋科学技術館
「しんかい6500」の実物大模型がありました.
コクピットには3人が搭乗可能です.その実物大模型も作りこまれていました.
無人探査機整備場
海底探査機「かいこう7000II」の整備が行われていました.海面の母船から「親機」を水中に沈め,さらにそこから「子機」を海底に沈ませるという組み合わせにより,水深一万メートルよりも深い領域での海底探査をするしくみになっていましたが,数年前の事故により「子機」を失ったため,現在は海底7000メートル付近での水深探査を進めています.
↑子機捜索協力願い:まだ海底をさまよっている模様です.技術的にも予算的にも同じものをもういちどつくることができなくなっています.
見学を終えて
テンション上がった男子4名が海に突進して行き下半身ずぶ濡れ。
— 野島高彦 Takahiko NOJIMA (@TakahikoNojima) 2012, 5月 2
三度の飯より海(および海の生き物)が好き!という学生が集まる海洋生命科学部ですが,「好き」の対象がいろいろあり,新えのすいの自由行動では建物からすぐに飛び出して雨の中,海岸で海に向かって走り出す者もいたり,その一方で特定の生き物の水槽をずっと眺めている者もいました.JAMSTECではメカ好き,魚好き,展示模型好き,というように,興味の対象が別れていたことが印象的でした.
卒業後の仕事として海洋研究や生物飼育を希望する学生も多く,今回の見学から,近い将来の自分の姿をイメージした学生もいたようです.
御礼
今回の見学を準備してくださった,新えのすい, JAMSTEC,北里大学海洋生命科学部のみなさまにお礼申し上げます.
おまけ
JAMSTECには「Lifehacking.jp」管理人の@mehoriさんがいらっしゃるので,お会いしたかったのですが,時間帯が会わずにその機会がありませんでした.とても残念です.来年,また1年生といっしょにJAMSTECにお邪魔しますので,そのときはぜひお目にかかりたいです!
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このブログを書いている人
*1:学籍番号で4グループに分けて別行動を取ります.私がクラス担任をしているD組は,2日目の午前中に新えのすい,午後にJAMSTECというコースでした.