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化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

看護学科の化学講義(25)窒素を含む有機化合物

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キーワード

アミド,アミド結合,アミン,第一級アミン,第三級アミン,第二級アミン,第四級アンモニウム,タンパク質,ニトリル,ニトロ化合物,ペプチド結合,ポリアミド

講義内容要約

  • 窒素を含む有機化合物の構造パターン:今回はアミン・アミド・ニトリル・ニトロの4種に絞った.
  • アミンは塩基.
  • 窒素を含む有機化合物の中には水素結合するものもある:DNA二重らせんとか,生体高分子どうしの相互作用だとかの基礎になっている.
  • アミンは酸と反応して塩をつくる→アミン性の医薬品に水溶性をもたせるために,酸との塩にする方法がとられている.
  • タンパク質はアミノ酸をモノマーとするポリアミドで,立体構造にもとづく機能をもつ.
  • ニトロ基をもつ有機化合物には爆発性のものがある.

説明した有機化学反応

  • トリメチルアミン + ヨウ化メチル → ヨウ化テトラメチルアンモニウム
  • 酢酸エチル + アンモニア → アセトアミド + エタノール
  • 無水酢酸 + アニリン → アセトアニリド + 酢酸
  • アミノ酸の脱水縮合 → ポリペプチド
  • アセトアミド + 水 → 酢酸 + アンモニア
  • EtCONHEt + 水 → EtCOOH + EtNH2

事前配布資料

前回の講義終了時に予習用の資料を配付しました.コレがテキストになってます.

関連トピック

瞬間接着剤の化学

瞬間接着剤がどのようなしくみで固まるのかを説明しました.アニオン重合.

質問

水に溶けないアミンは酸と反応させて塩をつくってそれを医薬品として使っているとあったが,塩になってももともとのアミンと効き目は同じなのか?

  • 溶ける状態になってからの性能を考えるのでOK

コメント

  • 生物の授業でやったたんぱく質の構造を今までなんとなく覚えていたけど,しくみがわかったので,これからしっかり覚えられそう.
  • アロンアルファスゴイ・・・.よく手につけて焦ります(笑)
  • アロンアルファが空気中の水分子と結合することで固まるのだということを知られて面白かったです.
  • 空気中の水分子がアロンアルファの強い接着力のカギを握っていたとは驚きでした.
  • アロンアルファがあそこまで強力だとは思いませんでした.
  • アロンアルファってすごい!!
  • アロンアルファのCM面白かったです.
  • アロンアルファが医療にも使われていることに驚きました.
  • 尿素の排出の仕方について魚も人間も鳥もそれぞれの生きる環境に応じて最適な方法で尿素を排出していることを知り,すごい仕組みだなと思いました.
  • 不要な窒素化合物を排出するのに魚,人,鳥それぞれに適した方法があってすごいなと思いました.
  • 車とかに白いものが付いているとき,鳥のふんだと思ってました.尿酸とは考えもしなかったです.
  • 薬が創られるときにクリアしなければならない条件を通過するためにも,化学の技術が使われていることが分かりました.
  • 出来るようになれば楽しいかもしれませんが,まだまだ慣れず,分からないことだらけなので頑張りたいです.接着剤の話も分子から用途に合わせていろいろ工夫されていることを知り,ずごいと思いました.
  • 瞬間接着剤が水のおかげで接着するのを初めて知った.
  • ニトログリセリンという物質が爆薬である一方,血管を広げる作用があって,狭心症の発症を抑えているのにすごいなと思った.
  • 爆薬が狭心症の薬になるとは驚いた.その化学者がなめなかったら血管が広がると気付かなかったかもしれない.
  • ニトロ〜の爆薬の話はとても興味があった.

出席者数推移

前期
(1)62→61→62→62→60→58→60→61→59→59→50→55→57→51
後期
(16)55→46→50→43→45→42→39→45→44→37

次回予告と自宅学習

身体を構成する有機化合物について学びます.配布物を予習して来ること.

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参考書籍

炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)

炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)

↑『第10章 空気から生まれたパンと爆薬 アンモニア』
スパイス、爆薬、医薬品 - 世界史を変えた17の化学物質

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  • 作者: ジェイ・バーレサン,ペニー・ルクーター,小林力
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/11/24
  • メディア: 単行本
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  • この商品を含むブログ (13件) を見る
↑『五章 ニトロ化合物/国を破壊し山を動かす爆薬』
新化学読本―化ける、変わるを学ぶ

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↑『第17章 合成された高貴の紫色-アニリン』
マクマリー有機化学(中)

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↑『20 カルボン酸とニトリル』,『21 カルボン酸誘導体と求核アシル置換反応』
マクマリー有機化学(下)

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  • 作者: John McMurry,伊東二,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2013/02/27
  • メディア: 単行本
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↑『24 アミンと複素環』,『26 生体分子: アミノ酸,ペプチド,タンパク質』

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