Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(20)有機化合物の世界

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鏡に映るあなたの姿はあなたのエナンチオマー.

キーワード

アルカン,異性体,エナンチオマー,環状アルカン,官能基,軽油,原油,構造異性体,残油,ジアステレオマー,示性式,重油,石油,石油化学基礎製品,石油ガス,脱離反応,置換反応,直鎖アルカン,転位反応,灯油,ナフサ,付加反応,不斉炭素原子,メソ化合物,立体異性体

今回でてきた有機化合物で,構造と名前を覚えておかなければならないもの

エタノール,エタン,エチレン,オクタン,酢酸エチル,m-キシレン,o-キシレン,p-キシレン,クロロメタン,ジエチルエーテル,シクロヘキサン,ジクロロメタン(塩化メチレン),テトラクロロメタン(四塩化炭素),トリクロロメタン(クロロホルム),トルエン,1,3-ブタジエン,ブタン,1-プロパノール,プロパン,プロピレン,ヘキサン,ヘプタン,ベンゼン,ペンタン,ポリエチレン,メタン

事前配布資料

前回の講義終了時に予習用の資料を配付しました→前回の配布物

講義内容要約

  • Cを含む化合物が有機化合物.でもCO2とかNaCNとかは含めない.
  • 種類は多い:一億種類以上ある.
  • 構成元素の種類は少ない:C,H,O,Nがメインで,他にS,P,ハロゲン,その他がたまに出て来る.
  • 基本骨格はCとHで,ここにイロイロな官能基が付いて構造バリエーションを広げる.
  • 有機化学の反応パターンは4種類だけ:付加,脱離,置換,転位.
  • 分子の描き方いろいろ:折れ線を使って描くと便利
  • 構造異性体と立体異性体,エナンチオマーとジアステレオマーとメソ体.
  • 人間の身体は立体異性体を見わける:グルタミン酸,リモネン,サリドマイドなど.
  • アルカンいろいろ.炭素数が増えるに従って常温常圧で気体→液体→固体と変わって行く.
  • アルカンの置換反応のしくみ.
  • 石油化学工業のしくみ:油田から出発して身のまわりのさまざまなモノになるまでの道のり.

質問

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「分子鎖中の折れ曲がり角度」についてなら「どれもほぼ同じ」って考えておいてOK.

  • 中東に豊かな油田が多いのは何故でしょう?資金源となる油田があるのに何故発展途上なのでしょう?
  1. なぜ中東に油田が多いのか理由は誰も知らない.
  2. 油田があるだけではダメで,それを燃料や化学製品に変える技術をもっていないと役に立たない.
  3. 日本に石油を輸出している中東の国々は,必ずしも日本と比べて発展途上国というわけではない.たとえばカタールは国民一人あたり購入力ランクで世界一.日本は30位.(世界の一人当たりの購買力平価GDP(USドル)ランキング/世界経済のネタ帳)
  • 化学実験は楽しいですか?
  • 10月26日からはじまる化学実験についてなら楽しんでやってる人が多い.他学科と共通の実験なので「北里大学で1年目に履修した実験の思い出話」ができるかもしれない.
  • メタンハイドレートは役に立つと思いますか?
  • 実用化までは一世代かかるんじゃないかっていうのが個人的予想.前倒しで実用化されるの希望.
  • 私は何のためにどうして生きているのでしょうか

コメント

  • エナンチオマーとジアステレオマーがよくわからない.右左とは?

  • メタンとかかわいい感じするのに覚えることがたくさんあってびっくりしています.
  • ベンゼンなつかしい.頑張る.
  • 手足に例えた異性体の説明がわかりやすかったです.
  • 名称を忘れているものが多かった.
  • 忘れてます.思い出します.
  • 完全に高校で勉強したこと忘れてる.
  • 想像以上に忘れていました.
  • 久しぶりの有機化合物であった.
  • 久しぶりに有機やりました.
  • 有機は楽しいです.
  • 有機は好きなので頑張りたい.
  • 覚えることが多くて大変です.
  • 一部覚えにくいところがあるので気を付けたい
  • 覚えること多い.
  • 初めて見る化合物がいっぱい
  • 感動するくらいわかりやすかった.
  • 全然わからない
  • 分からないです.
  • 分からない
  • 難しかった.
  • 難しかったです.
  • ムズカシイネ
  • 難しい.でもなんか面白そう.
  • 難しいのでもっと頑張りたいです.
  • 石油有能!
  • がんばる
  • わからないです復習がんばります
  • 復習します.
  • 復習をちゃんとやっておこうと思います.
  • ねむい
  • 朝に勝てません
  • 1限はつらい・・・
  • 今日も朝少し雨が降っていた.自転車のブレーキ音がうるさい.
  • 胃が痛い
  • 帰るもう帰る

出席者数推移

次回予告と予習内容

「(21)アルケンとアルキン」を学びます.医療現場で用いられる様々な化合物の工業合成法とそのしくみ,身の周りの樹脂や繊維の原料の多くを占める「ビニルポリマー」や,電気を通す有機化合物について学びます.配布物で予習してくること.高校の教科書には載っていない内容が多く出てきます.

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参考図書

有機電子論解説―有機化学の基礎

有機電子論解説―有機化学の基礎

↑22章『遊離基の反応』
マクマリー有機化学(上)

マクマリー有機化学(上)

  • 作者: John McMurry,伊東二,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2013/01/22
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
↑3章『有機化合物: アルカンとその立体化学』,5章『四面体中心における立体化学』
炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)

炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)

↑第11章『史上最強のエネルギー ー 石油』
図解でわかる 有機化学のしくみ

図解でわかる 有機化学のしくみ

↑第5章『「鏡の国」の立体化学』

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