「たくさん問題を解いて手を動かして身に付ける」っていうのは典型的な勉強方法の一つです.
小学校の漢字ドリルや算数ドリルに始まり,英単語ドリルとか化学計算ドリルとか,手を動かして書いて身に付ける教材がイロイロあったことを思い出します.
コレを大学の有機化学でもやろう,っていう考えで誕生したのが,矢野将文先生の1000本ノック三部作『有機化学1000本ノック【命名法編】』,『有機化学1000本ノック【立体化学編】』,『有機化学1000本ノック【反応機構編】』です.
いずれもタイトルにあるとおり,1000題を超える問題が収録されています.3冊で3000題以上になります.
この3冊を矢野先生に送っていただきました.
今回はその中の一冊『1000本ノック【命名法編】』を紹介しましょう.
構造式が1002個並んでいて,名前を答えるだけ
この本は本冊が全78ページ,別冊解答が全28ページ,合計106ページです.78ページの本冊には,構造式が1002個並んでいます.その1002個の名前を書けるか,っていう問題集です.書き込み式になっています.
この1002個は4個とか10個とか14個とかの類題グループに分かれていて,そのグループが3個とか6個とか集まって1つの章になっていて,その章が全部で19個ある,という構成になっています.
全19章で扱われるのは基本的な化合物です.立体化学とか複素環とかは登場しません.命名法は「一般IUPAC命名法」で,2013年からの「新しいIUPAC有機化合物命名法2013勧告」ではありません.
類題グループには目安時間が書かれています.5分,10分,15分の3パターンがあります.
目安時間が書かれていると問題に取り掛かるときに「よし5分だけがんばろう!」とか「15分でやっつけられるかな?やってみよう!」というように意識を集中できます.
こういう工夫って(・∀・)イイ!!
章の始めに暗記事項が書かれている
問題を解くためには命名法のルールを暗記していなければなりません.
各章の最初のページには,その章の問題を解くために暗記しておかなければならないものごとが記されています.
この問題集に取り掛かるまえに有機化学の教科書で命名法を勉強しているはずですが,この本ではその内容が分割して記されているので,復習しやすくなっています.
解答集が別冊になっていて便利
この本は問題集なので,問題ページと解答とを行ったり来たりしながら読み進めていくことになります.
答え合わせをやりやすくするために,解答が別冊になっています.こちらは全28ページです.
ひととおり解き終わったら,こんどは解答集をみて名称から構造を描けるかどうか確認してみるのもよいでしょう.
解答集は答えが並んでいるだけではなく,類問グループごとに解法が記されています.
答えを見て自分が間違っていたときの「なんでだろー!?」がただちに解決するしくみになっています.
類問ごとに解法が細かく書き込まれているので,どこかで引っかかったら解法をチェックして問題本文に戻って続行,という取り組み方ができます.
化学系学生のみなさまにおすすめ
有機化合物命名法は化学系の大学では必修項目の一つですが,教科書に記載されている解説と例題だけでは習得困難な場合もあります.
そこで引っかかってしまったために,その先に広がる有機化学の世界を理解する楽しみが失われてしまう場合もあります.
この一冊に取り組めばそのようなことにはならないでしょう.
目安時間合計980分の全1002問を片付けたとき,命名法については確実に実力と自信が付いていることでしょう.
化学系大学生のみなさまにおすすめの一冊です☆
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