メタン分子は正四面体型,アンモニア分子は四角錐型,水分子は折れ線型の構造をもちますが,それぞれ異なった形になるのはなぜでしょうか? 二重結合や三重結合では,電子はどのように共有されているのでしょうか? そして,原子核のまわりの電子はどのように振る舞うのでしょうか? そのあたりを学びました.履修登録37名,33名出席,出席率89 %.学祭前にしては出席率良好.
キーワード
p軌道,px軌道,py軌道,pz軌道,π結合,s軌道,σ結合,sp混成軌道,sp2混成軌道,sp3混成軌道,原子軌道,古典的,混成軌道,電子雲,不確定性原理,量子論
講義内容要約
- 太陽系における太陽と惑星のように,原子核の周りを電子が回っているという考え方が古典的考え方で,原子核から一定の距離に電子が存在し得るという考え方が量子論的考え方.
- 電子が高い確率で存在し得る空間はマイナス電荷をもった雲のイメージ,でOK.これを電子雲と呼ぶ.
- なんでそういうことになるのかというと,電子のように小さくて軽い物体では,位置と運動量とを同時に正確に求めることがムリだからで,これをハイゼンベルクの不確定性原理という.
- 原子と原子を結びつけるで電子は,両側の原子核の周囲に存在確率をもつ.
- K殻は1s軌道,L殻は2s軌道,2px軌道,2py軌道,2pz軌道から構成される.
- 2px軌道,2py軌道,2pz軌道は互いに等価だが,2s軌道とは等価ではない.
- それぞれの軌道には電子が最大2個まで収まる.
- メタン分子は等価な4本のC-H結合をもつが,これは2s,2px,2py,2pzに別れた4軌道を4つの等価な軌道に再分配したため.この再分配を混成と呼び,混成で生じた軌道を混成軌道と呼ぶ.メタンの場合はs軌道1つにp軌道3つの割合で混成されているのでsp3混成軌道と呼ぶ.
- エチレンの場合はs軌道1つにp軌道2つの割合で混成されているsp2混成軌道が,アセチレンの場合にはs軌道1つにp軌道1つの割合で混成されているsp混成軌道が,1個のC原子と他の原子とを結んでいる.
- 平行するp軌道どうしが電子を共有することによって生じる結合がπ結合.s軌道もしくはsp,sp2,sp3混成軌道がかかわる共有結合をσ結合と呼ぶ.
- 窒素原子を中心として正四面体を考え,その3箇所にH原子を配置したのがアンモニア分子になる.だからアンモニア分子は四角錐になる.同様に酸素原子を中心として正四面体を考え,その2箇所にH原子を配置したのが水分子になる.だから水分子は折れ線型になる.
今回の講義内容に関連した配布物(先週配布)
確認問題
コメント
●大学に入って初めて理系らしい授業を受けたような気がします.板書するのが大変でした(><)●電子の動きは複雑だなぁと思いました●なんとなく今日の先生はイキイキしていたように感じました.今日の内容はとても難しかったです.●今日の内容は ぱっぱらぱーでした(泣)σ,π,わからないです●π結合とσ結合の違いがよくわかりません!●σ結合とπ結合が何なのか違いが何なのかがよくわかりません.●πとσがよくわかんなかったです!●σ結合とπ結合よくわかりませんでした.●わからなすぎました●今回の内容はよくわからなかったです・・・●全然わかんないんですがどーしましょう?●来週からがんばります!●よくわかりませんでした.●立体難しかった.●おなかすいた.やきいも食べたいです.●立体で考えるの苦手です・・・●図書くの大変だった●今日の単元は化学と数学の立体図形が入り混じった形で難しかったです.●難しかったです●化学者ってすごい・・・●有機がんばります!●有機好きなので来週から楽しみです(^o^)/●ちんぷんかんぷんでした.有機がんばります.
次回予告
「(21)有機化合物の世界+アルカン」を学びます.配布物で予習してくること.
これから様々な有機化合物が登場します.医療系向けに選んだ100種類を一覧にしました.