操作手順を文章にする際,「そんなことはわざわざ書かなくてもいいよね,だって,それ,常識だからさ」という箇所は省略するものです.文章を簡潔にすれば簡潔にするほど,カットされて行く情報が生じます.いわゆる「おやくそく」というやつです.
(↑L1号館前のツツジ.本日撮影.)
「おやくそく」のカット量は増えて行く
1年生のうちに履修する実験実習科目では,懇切丁寧に操作手順が書かれた実習書を用いる場合が多いのですが,学年が上がるにつれて様々な「おやくそく」がカットされて行きます.卒業して検査や分析,研究の仕事をするようになると,その分野特有の「おやくそく」を学びつつ,必要な情報を自分で補って行くことになります.文章の文字数を減らすために,どのように「おやくそく」がカットされて行くのでしょうか?
身近な文章中に「おやくそく」をみつける
今回の演習では,身近な文章を採りあげて,「おやくそく」がどのようにカットされているかを学びました.題材にしたのは以下の2点です.
- インスタントラーメンの袋に記されている調理方法
- 製菓メーカーが公開しているホットケーキの調理方法
席替え
くじ引きで新しく5班を編制しなおしました.
解説:手順書を読んで理解する
インスタントラーメンの袋に記されている調理方法の文章を解体し,カットされている情報を見つけ出し,具体的な操作手順として再構築してみました.
グループワーク:手順書を書いてみる(20分間)
製菓メーカーがwebで公開している,ホットケーキの作り方を書いた一枚のメモについて,「省略されている情報」,「前もって準備しておくことが必要な作業」を探り出すとともに,実際に調理するときの作業手順を箇条書きにしてみました.
ホットケーキの作り方は菓子メーカーのサイトで公開されているものを利用しました.
箇条書きの項目数は11項目から19項目までバリエーションが広がりました.最初の項目も5グループで全く異なったものになりました.同じメモを見て操作を取りかかる場合であっても,情報を受け取る側がどのように判断するのかは,必ずしも予測できないことがわかりました.
「おやくそく」がみんなの「おやくそく」とは限らない
「おやくそく」は文章を書く側にとっての「おやくそく」であって,読む側にとっては「おやくそく」ではないかもしれません.このことを忘れていたために,共同作業を失敗させることも珍しくありません.情報を受け取る側としてだけでなく,与える側になった時にも,「おやくそく」が成り立つかどうかを忘れてはなりません.
配布物
次回予告
3回に分けて「実験実習科目を攻略する」方法を学びます.その第1回目は,実験レポートには何を書けばよいのか,どのように実験記録をつければよいのか,を考えます.そして,実験書から必要事項を抜き出して実験手順書を作成するグループワークを行います.
- 解説:実験実習レポート対策
- 解説:実験ノート記録法
- グループワーク:実験手順書を書いてみる