大学1年生の多くが直面する問題「どうやってノートをとるのか?」を扱う全2回の1回目.
本日の配布物
今回の授業で解説した内容は以下の配布物に記載されています.
グループワーク「大学ノートあれこれ」
前回の課題をもとにしたグループワークです.入学後
- ノートをとるときに困っている点
- ノートをとるときに工夫している点
- ノートをとるときのちょっとしたワザ
などなど,ノートについてのアレコレを10分間にわたって話しあってもらってから,グループごとに発表してもらいました.それらに対して私がコメントして行きました.
解説「大学の授業でノートをとるのに苦労する理由」
大学の授業でノートを取るのがタイヘンな理由を解説しました.
(1)そもそも大学教員がアレ
高校までの教員は「教育」が仕事だったわけですが,大学教員は「研究と教育」が仕事になり,学部によっては「医療と研究と教育」だったりするわけです.幼稚園から高校までの教員は「教員免許」をもっていて,教育を仕事とするためのトレーニングを受けてきているわけです.しかし,大学には大学教員免許なんてものはありません.教員としてのトレーニングを受けていないヒトが教員をやっているわけですからアレなんです*1.
(2)いろいろなスタイルがあってアレ
ほとんど板書せずに「語る」形式から,情報タイフーン状態のスライドショーまで,いろいろあるもんだから,学生はタイヘンなんです.とくにスライドショー形式は国内ではせいぜいこの10年くらいしか歴史がありません.スライドショーやっている教員は,自分がスライドショーで講義を受けたことがないのです.だからアレなんです.
解説「じゃあどうすればいいのか」
まず,何のためにノートを取るのか,を考えると,どうすればよいものかがわかるかもしれません.
ノートを取るのは,
知識→記録→情報整理→記憶→活用
といった,受け渡される知識が自分自身の思考回路とか生活だとかに組み込まれるまでの流れの一段階なのです.ノートをとっておしまい,という単発の作業ではなく,その下流の流れまで考えることが重要なのです.
受け渡される知識は,自分自身で手を入れて初めて自分のものになります.講義で学んだキーワードを手がかりに自主的に書籍を開いてみるとか,webで検索してみるなどして,広がりを持たせることが大切です.
そのためには,後から追記できるようなノートの取り方をすると便利です.これならば「語る」だけの講義でも「情報タイフーン」でも,とりあえずキーワードだけでも記録しておいて,あとで自分で調べ直すことができます.
講義中はメモを取るだけにしておいて,あとで清書する,という手もあります.これだと情報整理された見やすいノートができあがるので,試験対策・レポート対策に便利です.
- 参考リンク
- 右側と左側に分けてノートをとろう!|授業とノート
模擬授業その1
キーワードだけが板書されて,あとは語るだけ,というスタイルの講義もまだまだあります.どのようにノートを取ればよいでしょうか.私の「模擬授業」に対して,各自で取ったノートとってみてもらいました.模擬授業のネタは「長さをはかる」です.1メートルの定義の歴史について.
解説「21世紀の技術を使う」
講義で受け渡される知識と情報を持ち帰るためには,ノートに残すことだけがベストな方法とは限りません.ボイスレコーダー,デジタルカメラ,ビデオカメラ,などなど,「記録」用の道具を活用するのも効果的です*2.
次回までの課題
これから受ける1週間の講義の中からどれか1時間分のノートを選んで持ってきてもらいます.具体的な工夫,今回の授業で学んだ内容の実践,などなどをグループワークのネタにします.
次回予告
「授業ノートは役立つ記録(2)」です.スライドショー形式で進められる講義で,どのようにノートを取るか,について詳しく解説します.模擬授業あり.
これまでの授業記録
参考書
今回の演習では以下の書籍を参考にしました.