Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(16)水溶液の濃度

医療工学科対象の2011年度後期化学講義が始まりました.後期は医療に関連する化学,医療工学の専門科目を理解するときに役立つ化学を学びます.履修91名,出席84名,出席率92 %.

前回の講義に対する質問コメント感想その他いろいろの紹介

前回の講義録参照

試験結果講評

7月27日(水)に行われた前期試験の解答と解法を配布し,点数分布を紹介しました.

溶液に関係する用語の解説

溶質,溶媒,溶液,飽和溶液,不飽和溶液,過飽和溶液,溶解度,飽和濃度.

水溶液の濃度4種類+その他

本日配布した資料には,今回の講義で扱った内容とともに,例題と計算問題+解答が出ています.このとおりに自主的に計算方法を習得して行けば,これから先の人生において水溶液調製に関連する計算に苦しめられることはないでしょう.

質量パーセント濃度

小学校の算数で最初に習う「食塩水の濃度」はこの濃度です.100 gの溶液を考え,その中に1 gの溶質が含まれている場合の質量パーセント濃度が1 %です.

質量/体積パーセント濃度

溶液を取り扱うときには,質量よりも体積で考える方が便利です.そこで100 gを考えるのではなく,100 mLを考えます.100 mLの溶液を考え,その中に1 gの溶質が含まれている場合の質量/体積パーセント濃度が1 %です.

高校までは出てこなかったこの濃度は,医療や生命科学に関係する分野では標準的に用いられている濃度です.医療検査や生命科学研究では水溶液をピペットで扱います.ピペットでは質量を測ることができません.測ることができるのは体積です.従って,質量/体積パーセント濃度が用いられているのです.

モル濃度

化学ではモルでものごとを考えます.1 molの溶質が1 Lの溶液に含まれているときのモル濃度が1 mol L-1です.

質量モル濃度

溶媒にどれだけ溶質が溶けるか,というようなことを考えるときには,溶液ではなく溶媒を中心に考えると便利です.また,温度変化を伴う用途の場合には,温度による体積の変化も考慮しなければならなくなります.そういう場合に用いられるのが質量モル濃度です.1 kgの溶媒に1 molの溶質を加えたときの質量モル濃度が1 mol kg-1です.

ppmとppb

省略.JISが使用を禁止しており,SIが使用を推奨していない単位なので説明しませんでした.配布物には説明を書いておきました.教科書にも書いてあります.

計算問題演習

  1. 欲しい濃度の水溶液を欲しい体積だけ調製するために必要な溶質の質量を計算する方法
  2. 濃厚保存液を適量とって希釈して欲しい濃度の水溶液を欲しい体積だけ調製する方法
  3. モル濃度を質量/体積パーセント濃度に換算する方法
  4. モル濃度を質量パーセント濃度に変換する方法

について計算方法を解説しました.

配布物(ワークシート)

計算問題:混合溶液の調製

応用問題.2種類の成分を含む希釈溶液を調製する方法.

正答率27 %.

●諦めます・・・●頭でわかっていても実際できない.よく努力しようと思った.●ざせつ●家でちゃんと復習します・・●挫折.●ざせつ●きちんと復習して次回にとりくむ!●後期がんばる(^o^)/●挫折しました.●ざせつです.●ざせつ●ざせつ●ざせつ●家でがんばって勉強します・・・.●ざせつ●挫折●ざせつ●ざせつ●ざせつ●ざせつ●ざせつ●ざせつ●ざせつです●ザセツ●分かりません●ざせつ●ざせつ●ざせつ●ざせつ.こーたなう.えーたうぃる.●ざせつ●アタマをスッキリさせてきます●家で復習してきます●ギブアップ●寒かった.ざせつ●わかりません●ざせつ●あってるかわかりませーん●分からん●挫折です.基礎を見直します・・・●挫折です!なんでだー!くやしい!!!

質問コメント感想その他いろいろ

●高校時代でならっていたので今回は頭が混乱しなかった.●濃度は昔から苦手です.ヤバイです.●久しぶりに部活したら全身筋肉痛です!後期頑張ります(^ ^)/●H2Oの話はびっくりしました●水和物の問題もできるようになりたい.●関数電卓探索しまーす●夏休みボケってこわいんですね.あっという間の夏休みでした.もう9月か・・・.●ありがとうございました.●久々でつかれました●単位get^^/●計算はつらいですが,くじけず頑張っていきたいです.

次回予告

「溶ける」とはどういうことなのかを分子の視点で考えます.そして「どれくらい溶けるのか」を考えます.さらに,溶液中の溶質の種類ではなく粒子数に依存する物理化学的な性質(束一性)を考えます.

リンク

www.tnojima.net
www.tnojima.net