Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

看護学科の化学講義(3)エネルギーその1

出席44名.前回より3名減少.このあたりで履修者数決定といったところでしょうか.

先週の講義に関するコメント質問その他なんでも紹介

以下のようなコメントを紹介するとともに,質問に答えました.同じ講義を受けた同学年の学生がどのように感じ考えているのかがわかると,安心して講義に参加できるようです.

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DAKARA

清涼飲料水に関する質問がありましたので回答しました.「MgとCaとKが入っていると,なぜ糖分・塩分・脂質にさよならきるのか?」という内容の質問でした.詳細は前回の講義録後半をご覧ください.

●DAKARAもおもしろかったです。またタメになる話お願いします。

●DAKARAの話から、私ももっと広告を見てみようと思います。

●DAKARAのやつ、ありがとうございました(^o^)/

●余分三兄弟の話はとても興味深かったです。これからはもっと意識して周りをみてみようと思いました。

●金曜の授業だということで、とてもつかれました・・・。でもDAKARAは面白かったです。

小数の計算

今回はエネルギー計算,それ以降も化学をはじめ様々な科目で計算をすることになります.ここでミスを犯しやすいのが,123 nmをμmであらわす,といった場合に出て来る,桁の変更をともなう計算です.そこで基本的な比例計算を用いて,確実に計算する方法を解説しました.

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●小数の計算わかるようになりました!

●みらくる起きましたっ! 数学苦手な私にも計算できるようになりました(^ω^)

●今までモヤモヤしていた所が解決した!

●小数の計算がよく分かった。

●小数の計算、ちょっとできるようになった気がします(*^^*)

●計算はいつも面倒で、単位をつけるのも化学の計算で一番嫌いだったのですが、今回の授業で全て解決しました。これで化学の計算も好きになれそうです!

●小数点の計算が今まで苦手だったのですが、今の講義でわかるようになりました。よかったです。

●小数の計算(比で解く計算)は知っていました。とても丁寧で、分かりやすい授業でした。この授業を高校や中学で聞きたかったです。

●小数の計算は結構楽でした。生物の顕微鏡の問題の時にμmが出てきて、換算するのをいつも迷っていたので、1000ずつ変わっていくのが分かって役に立ちました。でも次元と単位は少しだけ苦労しました。

●高校のとき化学のテストで小数点のミスで大切な5点を失いました。もし1年前に先生に出会っていたら、5点とれたと思おうので、もっとはやく先生の授業をうけたかったです!

●比例計算でこんなにもかんたんにできるなんてうれしすぎます。

●比例計算がわかりやすかった。

●小数の計算、分かりやすかったです。私はm/s→km/hにするのが苦手で嫌だったのですが、もう大丈夫そうです!

●計算のやつ分かりやすかったです!

●小数の計算のやり方がやっとわかりました。先生ってスゴイ!

●前より指数の計算・次元と単位がわかるようになった。

●小数の計算、今までは習わなくても普通にできると思っていましたが、今日問題をやってできないことがわかりました。先生のわかりやすい説明で理解できました。速度の計算のやり方を小学生のときに知りたかったです。

●小数の計算の仕方は、今まで自信をもって「できる!」と言い切れない状態でずるずるきていたけれど、今日で自信をもって「できる!」と言えそうです。

これで一生,桁の変更をともなう計算は大丈夫ですね!

●単位計算は好きだけれど、2.0×10-10÷1.0×10-5とか10←この計算が出来ないです.pHで使えない・・・。

べき乗の計算はpHが出てくるまでに演習の時間をとります.次回もばっちり理解できる解説をやりますよ.大丈夫.

単位の変換

つづいて,m/sをkm/hに変換する,といった単位変換のやりかた解説.エネルギーのところではcalとJが出てくるし,JもSI基本単位から組み立てられているので,この機会に単位の変換方法をマスターしておくのがよいのです.

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●単位の説明がわかりやすかった!

●単位も分かりましたー(^o^)/

●単位の話すごくよくわかりました!これからは比を使って解きます!

●SI単位の計算理解できました!! これからはミスしないで簡単に計算できそうです。

●単位が今までよくわからなかったけど、よくわかりました! どんどん慣れて自分で使いこなしたいです。

●単位の計算のしかた、とっても分かりやすかったです!

●単位の計算すごいです.化学だけでなく他の場面でも使えると思います。

●単位の計算は分かった気になっていましたが、いざ計算するとなると「あれ?」っと思う時があったので、復習できてよかったです。

●単位計算解決しました。これから比例計算でやります!

●単位の計算は小学4年生のときに、「a」だの「ha」ヘクタール? がでてきたときから嫌いでした。でもやっと理解できたので、がんばれそうな気がします。

●初めは単位を変えるのを難しく考えていたけれど、今回の授業で、易しく思えた。

●単位わかったよかったです。でもエネルギーのところ難しかった気がします。

●単位の計算よくわかりました。整理できた気がします。

●単位の考え方で、高校の化学の先生が単位をきちんと覚えようなどと言っていて、今回の授業でますます大切さがわかりました。比の計算で単位を含んでいるということに驚き、なるほど!と思いました。

●単位のところで何とか話についていけて安心しました!

●今回の授業は計算がたくさんあったけど、化学で計算するときは単位がとても重要なんだということが分かりました! 高校のときの先生も同じ計算方法をしていたので、久しぶりの計算もとてもやりやすかったです。

●単位もういちどお願いします.

次回,もういちど簡単にやりましょう.

エネルギー(p36)

教科書第2章「エネルギー」です.なぜ化学でエネルギーの話をしなければならないのか,エネルギーとは何か,どのようなエネルギーがあるのか,といったあたりから話を進めました.

●エネルギーの話おもしろかったです。興味わきました。

●エネルギーってすごいなーって思いました!

●エネルギーの話って深いなと思いました。

●おもしろい絵でした。

熱エネルギー

分子の運動という視点から温度をとらえると,熱のしくみがみえてきます.また,熱エネルギーを計算できるようになれば,物体の温度を変化させるために求められるエネルギーの量をみつもることができます.

分子の運動エネルギーの尺度が温度です.物体の温度を上げるためにはエネルギーが必要です.

熱に関するエネルギーを表す際にはcalを単位として用いる場合があります.1 gの水の温度を1℃だけ高くするために必要なエネルギーが1 calです.SI単位系では4.184 Jになります.このエネルギーは同じ質量であっても物質の種類が異なると違った値になります.この固有値が比熱(あるいは比熱容量)です.水の比熱は1 cal/g ℃ となります.

ある物体の温度を上昇させるために必要なエネルギーは

比熱×質量×温度変化量

で与えられます.

●カロリー計算がこんなに上手にできると思いませんでした。スッキリしました!!

●カロリー計算もまだちょっと不安があるけど、少しずつ慣れていきたいです。

●カロリー計算の話など、今後の食のことを考え、とても興味深い話でした。

●今まで水はあたたまりにくく,さめにくいと教えられてきましたが、比熱で考えると納得しました。カロリーについても知識がなかったので学べて良かったです。

●カロリーって食べ物にはkcalって書いてあったような・・・なかったような・・・かいけつ! kcalだった!

●カロリーとかよく口にするけれど,実際よくわからなかったので、今日勉強できてよかった。

●エネルギーについても分かりやすかったです。でもカロリー計算と熱エネルギー計算が不安なので復習しておきます。

●熱エネルギーは単位がややこしくて難しそう。比熱ってよくわかんないです。

●熱エネルギーやカロリー計算、エネルギー保存則は若干駆け足だったので、家でしっかり復習してきます!

●熱エネルギーのところで先生がはじめカロリーの単位を "cal" と書いてて "kcal" じゃないのが不思議だったけど,1000 cal=1 kcalだということがわかった!

だいたい大丈夫のようですね.

●カロリー計算わからなかったです

●カロリー計算の 質量×温度変化×比熱っていうのが何でその式でカロリーが求められるのかまだつながりません。

●比熱がよくわからないです

次回,補足説明しましょう.

エネルギー保存則(p51)

化学反応にしろその他の物理現象にしろ,反応の前後でエネルギーの総量は変わりません.例えばブランコの場合,勢いをつけて地面から高い位置まで漕いだ場合,最高地点に到達した瞬間に運動エネルギーはゼロになります.しかし,ここに到達するまでに運動エネルギーが消え去ったわけではなく,位置エネルギーに変換されただけです.

ブランコに乗ったままでいるとき,漕がなければブランコはしばらくして停まります.これはエネルギーが消滅したからではなく,運動エネルギーや位置エネルギーが,周囲の空気を動かす仕事などに変換された結果です.

エネルギー保存則は熱力学第一法則とも呼ばれます.

●ブランコの話おもしろかったです。

●ブランコの例え、すごくわかりやすかったです!

●ブランコのはなし、おもしろかったです。

●何気なくこいでいたブランコを化学的な見方をすると、頭がよくなったような気がした。

●運動エネルギーと位置エネルギーの関係の話は、中学校の理科の授業でやったことを思い出しました。

●エネルギー保存則がいまいちイメージできていなかったが、先生のブランコの説明でよく理解できた。

エントロピー(p52)

「覆水盆に返らず」ということわざがあります.どのような系でも無秩序で乱雑な方向に進む性質がみられます.この乱雑さの尺度がエントロピーです.エントロピーは増大の方向に向かいます.これが熱力学第二法則です.

●エントロピーしらなかった。

●自分の部屋は乱れてもスグ戻る程度で今は落ち着いていますが、あと4年でどうなることやら・・・

●エントロピーを理由に、部屋がちらかったときの言い訳にしたいです。

その他

●この周期表、はじめて見たんですが、絵や写真があって分かりやすいですね。

●化学をほとんど知らない私でもよく理解できました。

●前回の話と比較して、今回の話は高校の話とは違う、新しい内容が多く含まれていたため、勉強になったなと思いました。

●先生の授業は絵とか例とかがとてもわかりやすいので,うけてて楽しいです!

●先生の話し方好きで、きいてしまった。

●今回の授業は化学っていうより物理っぽかったです。

●先生おもしろくて良かったです。

●先生の話は聞きやすく、ノートにまとめやすくて楽しい授業です。

しつもん

私は最近「やせたい」願望があります。何か化学的にラクにやせられる方法があったら教えてほしいです。実際カロリーってどうなんでしょうか?いっぱいとってしまったら太るんですか?

ダイエットに王道なし.必要な量だけ食べ,身体を動かしてエネルギーを消費する.

エントロピーについてよくわかりませんでした。きたない部屋はキレイにならないのが、どうエントロピーなんですか?

部屋が散らかるのはエントロピー増大則のたとえとしてひっぱりだしてきたものです.整然としている状態を乱雑な状態に変えるのは簡単でも,その逆をやるのは労力を要する,という点では分子の世界も人間生活も同様.その労力を産み出すためには,どこかで乱雑さを増やしています.なんだかんだで宇宙における全エントロピーは増大するしかないのです.

エントロピーについてですが、形状記憶合金や形状記憶○○というのは、乱れてもきちんと戻るものの一つですよね!

形状記憶素材の仕組みについては次回かまたは別の機会に解説しましょう.かたちが元にもどるところだけ見ているとエントロピー増大則に反しているように感じられますが,トータルではそうなっていないのです.そのあたりを解説します.

地下鉄サリン事件のサリンってどんな物質なんですか?

化学兵器のひとつです.呼吸器系からも皮膚からも吸収される猛毒の薬品です.たとえばここ↓に解説があります.

新幹線の中で、新幹線はものすごいスピードで動いているけど,中にいる人間はビクともしないのは、エネルギーと関係ありますか?

これはエネルギーの問題ではありません.慣性の問題です.新幹線が発車してから徐々に速度が上がる際,乗客も車体といっしょに加速しているのです.同じ速度で同じ加速度の物体どうしは互いに静止しているのと同じ状態なので,新幹線が急停車するのでなければ,乗客は衝撃を受けないのです.

原子から電子をひきはなすって何ですか?

次回かその次,イオンについて説明する際に出てくる話です.

pHの計算の小数点が苦手ですが、これもミスがなくなるようになりますか?

pH計算では対数を用います.今回取り扱った計算だけでは処理できなくなります.しかしそのときに解説するので計算は大丈夫.

エネルギー保存則のブランコの話は納得できました。でもそのどこかへ行ったエネルギーがあるってことは、どこかにエネルギーが溜まっていくってことですか??

エネルギーは拡散していって利用しにくくなります.その方向がエントロピー増大です.最終的には宇宙空間に広がって行ってしまいます.

次回予告

エネルギーに関する化学のうち,電磁波に関するところを本日あとまわしにしました.そこをやってから,第3章「原子の構造」に進みます.原子の構造は数回にわけでとりあつかいます.

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