履修者84名中81名出席,96 %.鉄道事故と悪天候で遅刻が目立ちました.途中からきいてもよくわからなかったでしょうねぇ,特に今回は.
前回やったこと・質問・コメント・その他紹介
くわしくは前回の講義録後半参照↓
定義の求め方と単位変換
さまざまな定数が表れたときに,片っ端から暗記しようとする人がいますが,これは現実的な対処にはなりません.単位系が変わると数値部分が変わる場合がほとんどであり,機械的に暗記していると誤った数値を使う可能性が高くなるからです.それよりは定義に基づいて定数を導き出す方法をマスターする方が現実的です.そこで今回は気体定数を定義に基づいて導き出す方法を解説しました.PV=nRTを変形してR=PV/nTとし,ここに,P=1atm,V=22.4 L,n=1 mol,T=273.15 Kを代入するだけです.これで自動的にR=0.0821 L atm/K molが出ます.簡単な方法なのですが,案外できない人が多いものです.
続いて,単位系が変わった場合に定数を変換する方法を解説しました.上記R=0.0821 L atm/K molから出発してSI単位系にもってくる場合は,
R=(0.0821)(1 L)(1 atm)/(1 K)(1 mol)
=(10-3 m3)(101325 kg m-1s-1)/(1 K)(1 mol)
=8.32 kg m2 s-2 mol-1 K-1
=8.32 J mol-1 K-1
とすればOK.
これでこれから先,むやみやたらと暗記しなくて済みます.
くわしくは配布物「定数の求め方と単位変換」を参照.
●単位変換の仕方がよくわかりました! 遅れずに来てよかったです!
●単位の変換,とてもわかりやすかったです.
●単位変換(SI単位への)が難しく,できるか不安.
●単位の変換がたくさんあって難しかった.
●最初にやった定数の求め方は,単位がたくさん出てきたので,計算ミスをしそうで不安です.
●単位変換がんばろうと思います.
●定数の求め方と単位変換,練習したいと思います(*^_^*)
●テストでは単位や計算を間違えないようにします・・・
天気予報で気圧の単位にミリバールが使われていたころ
1982年8月14日のニュース.
気体の法則のつづき
ヘンリーの法則と,ドルトンの分圧の法則を解説しました.
●コーラの容器を振って振って振って振ったら爆発しないのですか?
振動だけでは爆発しません.密閉容器内でヘンリーの法則により炭酸が溶けているから.
●炭酸の強い飲み物ほどガスが多く含まれているのですか?
味覚は炭酸だけに支配されるものではありません.炭酸成分が原因となっている酸味が強いのであれば,炭酸の含有量によるものです.
●炭酸は,あけたらすぐに飲んで,おいしいうちに飲みきってしまおうと思う.
そうしましょう.
反応速度論
反応が進むためには,エネルギー的に乗り越えなければならない「山」があります.それが活性化エネルギーEactです.反応物が生成物に変換される瞬間の状態を活性錯体もしくは遷移状態と呼びます.
反応物のポテンシャルエネルギーと,生成物のポテンシャルエネルギーとの差がΔHです.ΔHはエンタルピーと呼ばれています.ΔHが負のとき発熱反応,正のとき吸熱反応になります.
●反応速度と平衡の説明,たとえがとてもわかりやすくて,理解しやすかったです.
●ΔHでの反応式の表記は今まで見たことが無かった.今まで書いていた式とは符号が逆なので,ごちゃごちゃにならないように気をつけたい.
●エネルギーの「山」のおかげで身の周りが成り立ってくれてることに感謝(´∇`)/"
●今までC2H5OH+3O2=2CO2+3H2O+1368 kJの方しか見たことがなかったので,C2H5OH+3O2→2CO2+3H2O; ΔH=-1368 kJ/molの方がメジャーだと知ってギョっとしました.数字の前の符号が逆になるので,ややこしいと思いましたが,正しく使えるようになりたいです.
●ΔHって何ですか?
寝てたかな.
●遷移状態と遷移元素の遷移は同じ意味なのですか?
同じ意味です.うつりかわる,という意味です.
触媒
活性化エネルギーの低い別の反応経路に化学反応を導く物質が触媒です.触媒は化学反応によって消費されません.また,後で紹介する平衡の向きにも作用しません.
触媒の作用として「活性化エネルギーを下げる」と説明されることがありますが,これは誤りです.相対的に低い活性化エネルギーをもつ別経路に反応が誘導されるため,見かけ上,活性化エネルギーが低くなったようにみえるだけです.
●触媒の仕組みが,とても理解できました(^^)!! 先生の説明は,わかりやすく,具体的なので,化学の疑問な部分が少しずつ消えて行く気がしています.ありがとうございます.
●触媒のところがよくわからなかったが,状態変化でエネルギーを使う量が違うことがわかったです.
●触媒は低いルートに導いているというのは,高校のときの言い方と違ったのでイメージが変わりました.しっかりと理解しておきたい.
●触媒が活性化エネルギーを下げると高校の教科書にあったのにウソだとは思わなかった.
●触媒で高校のときに教えてもらったことがうそだったと知り,ショックだった.
●高校では触媒によって活性化エネルギーが低くなると教わったので,とても驚いた.
●触媒の作用は高校のとき習ったのと少し違って驚いた.生物の授業で出題されるので,関心を深めたいと思う.
●触媒って,活性化エネルギーを下げるんじゃなくて,低いルートに反応をみちびいているんですね! 初めて知りました!
●高校で触媒はEactの山を下げるときいていたので,別のルートに導くものと知ってびっくりしました!
●高校のころから「Eactの低いルートに導く」って教えればいいのにと思います.
●触媒の話は驚きました.
●触媒はEactの低いルートにみちびくのに見かけ上だけEactを下げるのがよく分からなかった.
●確かにアタックなんかで「酵素の力」とか言ってますね.よく考えると不思議だけど・・・
●反応に適した触媒はどうやってみつけるのか.
触媒化学を研究している人々がありとあらゆる条件をテストして探しています.理論計算も採り入れられていますが,実際にいろいろな条件で調製してみて,よいものに仕上げて行くという手順が主流です.私は触媒化学の専門家ではないので,それ以上は何とも言えません.
平衡
正方向とは逆向きの反応も同時に生じる場合があります.可逆反応です.両方向の反応速度が等しくなった状態を平衡状態と呼びます.平衡状態にある系に何らかの操作を加えると,系はその操作に逆らう方向に平衡を移動させます.これがルシャトリエの原理です.
生命現象を分子レベルで見ると,多数の平衡反応がリンクされていることがわかります.臨機応変に環境変化に適応するための戦略です.
●その物質が可逆,不可逆反応になるのはどうして分かるのですか?
生成物の生成速度を見ていけばOK.
●平衡と浸透圧って違いますか?
関係ありますが違います.後期に浸透現象を説明する際に解説します.
●ルシャトリエの所のN2(g)+3H2(g)の(g)ってなんですか?
●N2(g)+3H2(g)の(g)って1 gってことですか?
気体(gas)を意味します.
●化学平衡が難しくて,よく分かりません.また改めて説明してください.
次回講義の最初に具体例をムービーとともに紹介します.そこで理解できるでしょう.
●化学平衡のところおもしろいです!何も考えずにうまく平衡を保っている生命体はすごいと思いました.そしてそれを解明した人もすごい!
●体内ではおびただしい数の平衡が働いているのか!
●平衡について理解できた.
●平衡のしくみがわかった.
●化学平衡がわかった.
●平衡状態について初めて詳しく聞いた.特に,飽和状態でも溶けたり出てきたりするのは驚いた.
●よく平衡の向きで触媒は平衡に関係ないってやつでよくひっかかった.
●塾講師のバイトをしていて,化学が担当なのですが,気体のあたり,平衡のあたりの説明の仕方はとても参考になります!!
●ルシャトリエの法則はまだ自己理解の範疇を抜けないです・・・
●化学平衡はついていけるように頑張りたいです.
●平衡はあまり得意な単元ではないので,今日の授業で復習+理解ができて良かったです.
●平衡定数ムズい・・・.もっと詳しくまたやってください.
●高校時代,平衡がちんぷんかんぷんだったので,ちゃんと勉強しなおせてよかった.
●高校の段階で化学平衡は理解しにくく,苦手意識をもっていたが,ティーカップの話でだいぶ考え方が変わりました.
●人の身体って上手くできているなぁと改めて思いました.
●紅茶の溶け残った砂糖の真実を知ってびっくりしました.彼らが固体と液体を行き来しているなんて・・・今度よく観察してみようと思います.
●溶け残った砂糖の話がおもしろかった.
●ティーカップの底の溶け残った砂糖であんなことが行われていたなんてびっくりでした!
●砂糖をmaxまで溶かしたとき,溶けるのと固体に戻るのが同じ速度で起こっているのは意外だった.
●砂糖が溶けきれなくなって,底に沈殿した時,見かけ上は止まってみえるけれど,実際は入れ替わり立ち替わりしていると聞いて,本当におどろきました.また,信じられないなんじです.どう見ても止まっているようにしか見えないです.
●平衡定数っていうのがすごく難しく感じたんですけど.やっぱ化学はヤバいです.
●ルシャトリエの原理のところは好きだったので,授業楽しかったです.来週も楽しみにしています.
●化学Iは好きでしたが,化学IIは嫌いでした.高校時代にルシャトリエの原理の問題をやったら答えが全部逆でしたが,今日のアンモニアでは全部あたってうれしかったです.
●平衡についての知識が整理できました!
●N2+3H2→2NH3の反応で,平衡移動が利用され,より効率よくNH3がつくられているのはよく考えたなと思った.
全般
●今日の講義は今までで1,2を争うくらいのわかりやすさだった.高校のときとの違いもわかったし,より深い部分を知ることができた.いっぱい書いたな-今日の授業.
●「たとえば」が多くてわかりやすかった.
●今日の授業は速かったけどわかりやすかったです.
●今日も楽しくてわかりやすかったです.ありがとうございました.
●割合,楽な内容でわかりやすかった.
●楽しかった.
●書く量が多かった.
●わかりやすかったです.
●わかりやすかったです
●高校の化学はほとんど独学だったので,教科書が全てだった私にとって「高校の教科書はわかりやすくするためにずるをしている」的な言葉を聞くと,やはり軽いショックと同時に化学を理解することの大変さを実感しています.
●今日の授業は高校のときに習ったことがほとんどだったので,「なつかしい」と思いながら話を聞いていました.
●高校の化学IIでやった内容だったので,よく分かりました.
●今日の内容は化学IIの内容でした(°∇°)・・・あんまり記憶にないです.家でじっくり復習します.(平衡を重点的に)
●テスト頑張ろうと思います.
●テストが近いので,ちゃんと勉強したいです.
●試験が不安で胃が痛くなりそうです.
●反応速度と化学平衡に苦手意識があるから注意深く授業聞こうと思った.今日の範囲は理解できた.
●サッカーの次の日はきつかった.
●画像とらせていただきました.ありがとうございました.
●来週は放射線・・・なんだか難しそうです・・・
質問
●コメント・質問のかっこ内の分母を何故書かなくなったのですか?
追加するたびに改訂するのがめんどうになりました.
●ワールドカップで気圧が低いとボールが伸びるっていってたけど何故ですか?
空気の密度が下がり,ボールに対する抵抗が少なくなるからです.
●ボク恋してます.いい触媒おしえて下さい!!
触媒探しも恋のうち.
次回予告
平衡反応をいくつか例を挙げて説明します.また,平衡定数を用いて定量的に平衡反応を理解する方法を解説します.そして教科書第7章「原子と放射能」に進みます.前期はあと2回です.
リンク
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