ダッシュって読むの日本人だけ
DNAやRNAの構造を考えるときに,片側を5'末端,もう片側を3′末端とあらわします.ここで,英語では5'をfive-prime,3'をthree-primeと読みます.英語ではfive-dashとかthree-dashとか言いません.
この読み方について,英語圏の教科書にはわざわざ prime と読むことが記されています.
たとえば,Google Booksで中身を確認できる分子生物学関係の専門書として,米国Willy社から出版されている,2009年,Gerald Karp著 "Cell and Molecular Biology: Concepts and Experiments 6th ed" の386ページには次のように記載されています.【出典】
A nucleotide has a polarized structure: one end, where the phosphate is located, is called the 5' end (pronounced "five-prime end"), while the other end is the 3' end.
five-prime end と発音する,ということがわざわざ記されています.
また,マクマリー有機化学(下)第8版(2013)の1085ページには,次のような説明があります.
上付きのダッシュ(英語はprime)が付いた番号は糖の位置を示し,
っていうわけで,英語ではprimeです.
和訳するときに何かヘンなことが
なお,日本語に訳したときにどうなるのかというと,日本国内では「'」を「ダッシュ」と読む謎の習慣があるので,「ごダッシュ」とか「さんダッシュ」で通じるのですが,よく考えてみるとヘンですよねぇ.そのうちにみんなプライムって読むようになるんじゃないでしょうか.でもマクマリーの和訳に「上付きのダッシュ」とか書いてある調子なので,何年先になることやら.
この記号をdashと読むケースが無いわけではないが
記号「'」そのものに関しては,英国においてdashと読む場合もある/あった,という説明をときどき見かけますが,そういう場合もある/あったというだけで,DNAやRNAに関しての場合は,primeと読みます.
通じればなんでもOKって私は考えている
私自身はこういうものごとは「通じればOK」なので,うるさく言わないのですが,化学の講義でprimeって言うと「高校の生物と違う」みたいな反応が毎年あるので,「ダッシュって読むのは日本語の場合だけだ」って説明しています.プライムって読めゴルア!みたいなことは,言わないよ.
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関連ツイート
ダッシュは「—」だというのに、なんで「'」と混同されたんでしょうねえ ^^;
— 元サカ (@SciCafeShizuoka) 2017年11月15日
講義ではちゃんと「'」を「プライム」と発声しておりますが、キョトンとされたり、こいつ気障な奴やな〜という顔をされたり…