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化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

神奈川県立平塚江南高等学校で講演をおこないました:「探求活動にあたっての研究記録の大切さ」

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2018年3月19日(月),神奈川県立平塚江南高等学校 の1年生約320人を対象に講演をおこないました.


探求活動にあたっての研究記録の大切さ

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タイトルは「探求活動にあたっての研究記録の大切さ」です.平塚江南高等学校からのリクエストそのままです.講演30分間+質疑応答10分間でした.

平塚江南高等学校は神奈川県の「理数教育推進校」5校の1校です.
1年生の後期から「総合学習」の一貫として全員が「課題研究」に取り組みます.
今回の講演は,そのお手伝いです(高大接続).


今回の「課題研究」を担当されているS先生が私の『実験ノートの書き方』をご覧になり,そこからこの件が始まったという経緯があります.

誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)

誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)

なお,S先生とは3年以上前からTwitter相互フォローだったことが講演前夜に判明しました(私が知らなかっただけ).S先生が前任校で担任を受け持たれていたときの最後の卒業生が医療衛生学部にいることは知っていたのですが(健康科学科の○○くん,きみだよ きみ),いま平塚江南高校にいらっしゃったとは!

講演内容は以下の3点が連続したものとしました.3点とも リクエストがあったものです.
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以下,講演で使ったスライドの一部を使って今回どんなことを講演したのか,その一部を紹介します.

1 探求活動と調べ学習とは何が違うのか?

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2 研究ノートには何を記録するのか?

続いて,すでにブログで公開している実験ノートには何を記録するのか?を,高校生向けにアレンジしてお話しました.

ちなみに「実験ノート」でGoogleキーワード検索すると,この記事は上から9番目に出てきます.ココから広告と商品カタログとWikipediaとNAVERまとめを抜くと,上位3位です.また,個人で公開している記事としては上位1位です(5年以上ナンバーワン継続).

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3 「引用」の考え方

実験ノートの話と,引用の話との間にはギャップがあるのですが,ココもリクエストされたので紹介しました.320人の1年生全員が理系コース進学希望というわけでもないので,「参考にした日本語書籍の中の一部分を自分のレポートの中で紹介する」場面を想定して説明しました.

参考書や事典の内容をそのまま書き写して来る生徒がときどきいて,どこからどこまでがすでに公開されている情報で,どこからどこまでが自分で考えた内容なのかがわからなくなっている場合があるため,とのことでした.コレは大学生のレポート #あるある でもあります.

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今回,例として紹介したのはこの書籍です.

科学の方法 (岩波新書 青版 313)

科学の方法 (岩波新書 青版 313)

コマーシャルの時間です

最後から2枚目のスライドで北里大学のPRをしました.こちらは北里大学入学センターからのリクエストです.
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本日のまとめ

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講演要旨

今回の講演開始時に配布された資料(A4で1枚)に記載されていた内容は以下のとおりです.

講演要旨

あなたは小学校から現在までに「調べ学習」に取り組んだことがあるかもしれません.「調べ学習」は,本,新聞,インターネット,博物館などから得られる,すでにこの世界の誰かが知っている情報をまとめる学習活動です.それに対して「探求活動」では,まだこの世界の誰も知らないものごとを知ることが目標となります.そのためには信頼できる確かな記録を残すことが重要です.今回は理系分野における探求活動にとりくむときの,研究ノートの利用方法を解説します.また,研究結果をまとめたレポートを作成するときに,参考とした情報のリストをつくり,それと本文の内容とを結びつける方法についても解説します.

講演内容
  1. 探求活動と調べ学習とは何が違うのだろう?
    1. 調べ学習ではすでに誰かが知っていることを学ぶ
    2. 探求活動では世界で最初に何かを見つける
    3. 探求活動では研究ノートが重要になる
  2. 研究ノートに何を記録するのか?
    1. 研究ノートって何だろう?
    2. 研究ノートには何を書くのだろう?
    3. 研究ノートには いつ書くのだろう?
    4. どんなことに注意して書くのだろう?
      1. その場でただちに書きましょう
      2. 具体的に書きましょう
      3. 体裁に労力を注がずに書きましょう
      4. 真実を書きましょう
      5. 失敗したときこそ詳しく書きましょう
      6. あとで報告する事項を漏らさずに書きましょう
  3. 参考文献の記載と引用のしかた
    1. 参考にした情報をリストにまとめる方法
    2. 参考にした情報をレポート本文で引用する方法

メールアドレスとTwitternのIDも書いておきました.何人かがフォローしてきました.

講演後のディスカッション

講演終了後に,「課題研究」プログラム担当の先生がたと雑談のようなアイデア交換のようなやりとりをしました.たとえば

  • 4人チームで研究を進めているとき,研究ノートは1冊にしておくのが良いのか,1人1冊で4冊にするのが良いのか
  • レポートやポスターで発表するとき,グループで1点ずつ作成するのが良いのか,1人1人が作成するのが良いのか

といったようなものごとです.

コレについては課題の内容や進め方によってそれぞれどちらの可能性もあります.大学の学生実験でグループ実験をおこなう場合には,ノートもレポートも1人1人が提出することが主流です.

それから,

  • ノートはB5サイズが良いのか,A4サイズが良いのか

といった質問も出ました.
コレは「本質『ではない』」ものごととして扱われる典型的な例ですが,実務レベルでは深刻な問題につながる場合があります.次のようなことが考えられます.

  • 見開き1面で情報を一通り視覚的にとらえるためには,B5よりも面積の広いA4が適している
  • 実験台が狭いとA4サイズを広げて置くとジャマ
  • B5と比べるとA4はかさばるので,席を移動して作業をおこなうときに面倒に感じてノートを置いていってしまう可能性が高くなり,その結果として「その場でただちに記録する」ができなくなる確率が高くなる
  • バッグにA4サイズのノートが入らない可能性があり,事前学習や考察の記録のためにノートを持ち帰る意欲が低下する可能性がある

どれが正解,というものはなく,それゆえにこれまで大学でも高校でも後回しにされてきたものごとです.

こういう機会は大歓迎☆

今回の内容は私が毎年医学部を除く全学部1年生前期木曜2限に開講している「大学基礎演習『理系スタイルのスタディスキル #リケスタ』」(選択科目 or 自由科目,抽選あり)関連のものです.

今回の内容を30分間にアレンジするためにイロイロと考えたり調べたりと,私自身にとって たいへん勉強になりました.こうした機会をつくっていただいた平塚江南高校の先生がたに感謝いたします.

私自身は,今後もさまざまな機会にさまざまな場所で講演とかワークショップとかディスカッションとかをして,その内容を 大学基礎演習 をはじめとする担当科目の改良につなげていくことを希望しております.

たとえば昨年は,電気通信大学 #電通大 で講演+ワークショップをおこないました.
www.tnojima.net

おしごとの関係のお問い合わせはこちらまで↓
www.tnojima.net

D-sub 15ピンのケーブルが使える液晶プロジェクターをご用意ください.

おまけ

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応接室のドアに,この表示器が取り付けられていました.(許可を得て撮影・公開)

このブログを書いている人

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もう一つのブログ

www.takahikonojima.net

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