2018年度「化学」再履修者対象の2019年夏期集中講義では,有機化学に関連する範囲を4コマ担当しました.
2017年と2018年も同じ範囲を担当しました.
1 有機化合物の世界
有機化合物の世界を整理する
- 種類は数千万種類に達するが,構成元素は主にC,H,O,Nの4種類で,他にS,P,ハロゲン,その他の元素が含まれる場合もある.
- 基本骨格はCとHで,ここに様々な官能基が取り付けられる,と考える.
- 官能基にはアミノ基−NH2,カルボキシ基−COOH,ヒドロキシ基−OHなどがある.
- 分子を描くときにはC原子のつながりを折れ線であらわし,C原子に直結したH原子を省略する方法が広く用いられている.
異性体
- 同じ元素の原子を同じ数だけ持つが異なる構造をもつ物質どうしを異性体とよぶ.
- 異性体は構造異性体と立体異性体に分類する.
- 立体異性体はエナンチオマーとジアステレオマーに分類し,ジアステレオマーはシス-トランス異性体と,それ以外のジアステレオマーに分類する.
- 立体異性体は不斉炭素原子をもつ.
- 立体異性体どうしは化学的性質は同じだが生物学的性質は異なる場合がある.
- 味覚と香りの違い
- 薬としての効き方の違い
2 石油化学工業とアルカンの化学
石油化学
- 油田から原油を取り出しタンカーで輸送し,化学工場で加熱処理して,沸点の異なる数グループに分ける.
- 原油を沸点の違いで分けると,沸点の低いものから順に,石油ガス,ナフサ,灯油,軽油,重油,残油となる(異なる分け方をする場合もある).
- ナフサを加熱処理して石油化学基礎製品 (エチレン,プロピレン,1,3-ブタジエン,ベンゼン,トルエン,o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン) を得る.
- 石油化学基礎製品はさまざまな有機化合物を合成する際の出発原料となる.
アルカン
- CとHから構成され,すべての結合が単結合である物質をアルカンと呼ぶ.
- アルカンには鎖状のものと環状のものとがある.
- C数が増えて行くと気体→液体→固体と状態が変化し,それぞれ異なる目的に用いられる.
- C数4以上で構造異性体が生じ,C数7以上で立体異性体も生じる.
3 アルケンの化学と付加重合で合成される高分子
アルケンの化学
- C原子間に二重結合をもつ化合物をアルケン,C原子間に三重結合をもつ化合物をアルキンとよぶ.
- C原子間に二重結合があるためにアルケンにはシス-トランス異性体をもつものが生じる.
- アルケンは二重結合への付加反応を受ける.
- アルケンへの水の付加反応によりアルコールが製造されている.
付加重合
- アルケンが炭素間二重結合を単結合に変えて直鎖状に共有結合していく反応を付加重合とよぶ.
- 単量体(モノマー)が重合すると重合体あるいは高分子(ポリマー)が生じる.
- 単量体の結合回数を重合度とよぶ.
- 分子量が104以上のものを高分子化合物とよぶ.
4 合成高分子化合物
- 合成高分子化合物には重合度と分子量にばらつきが存在する.
- 高分子化合物溶液の浸透圧から分子量を求めることができる.
- 単量体のつながり方としては,付加重合と縮合重合が主流(他にもイロイロある).
- 縮合重合では単量体どうしが結合する際に低分子が外れる.
- 熱可塑性高分子と熱硬化性高分子
- 人類初の合成繊維ナイロン66はどのように開発されたのか
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