有機化学の第2回目.出席83名,履修91名,出席率91 %.
前回の講義に対するコメント紹介
前回の講義録参照
先週配布した資料
キーワード
アルケン,アルキン,π電子,シス付加,トランス付加,マルコニコフ則,脱離反応,ビニル基,ビニル化合物,付加重合,重合体,単量体,ポリマー,モノマー,重合度,ラジカル重合,カチオン重合,アニオン重合,配位重合,開始,生長,停止,共役二重結合,導電性ポリマー
アルカンとアルケンとアルキンの構造
炭素数が2コのアルカンはCH3-CH3エタン,アルケンはCH2=CH2エチレン,アルキンはCH3≡CH3アセチレンです.エタンのC-C結合は単結合なので回転可能ですが,π結合をもつエチレンとアセチレンは回転できません.
アルケンのπ電子
アルケン分子は平面構造をしており,その平面を電子雲ではさまれた状態になっています.電子雲はマイナス電荷をもつため,ここにプラス電荷をもつ粒子が接近すると,電気的に引き寄せあいます.これが新しい化学結合をつくるきっかけになります.
アルケンへのトランス付加
たとえば酸触媒の存在下でエチレンに水蒸気を作用させると,まずH+が,つづいてOH-が付加します.このときに両者はエチレン分子平面の反対側から付加します.これをトランス付加と呼びます.同様なしくみでHCl,HBr,Cl2,Br2,などもトランス付加します.
マルコニコフ則
たとえば(CH33)2C=CH2にHClを付加する場合を考えてみます.付加するパターンとしては(CH33)2CCl-CH3と(CH33)2CH-CH2Clが考えられますが,この反応で得られる生成物はほとんどが前者です.一般に,Hを多くもつC原子に次のHが付加する傾向があります.これをマルコニコフの法則と呼びます.
アルケンへの水素のシス付加
固体触媒を用いて水素とアルケンを反応させると,アルケンにHが付加してアルカンになります.このとき2コのHは同一方向からアルケンに付加します.これをシス付加と呼びます.これは固体触媒表面にアルケンがつかまり,空間的に自由度を失った状態で反応が進むためです.
ハロゲン化アルキルの脱離反応
たとえばCHCl2-CH2ClにNaOHを作用させるとCl2C=CH2が生じます.見かけ上,HClが外れたことになります.このように分子から原子の集まりが抜けて分子量の小さな新しい分子ができる反応を脱離反応と呼びます.
付加重合
CH2=CH-構造をビニル基と呼びます.ビニル基をもつ分子で,もっとも単純な構造のものはエチレンCH2=CH2です.CH2=CHXタイプの分子をビニル化合物と呼びます.エチレンのほかにプロピレン,塩化ビニル,アクリロニトリル,スチレン,アクリル酸,酢酸ビニル,などがあります.これらをn個つなげると分子量の大きな分子が得られます.つなげる反応を付加重合,つながった分子を重合体(ポリマー),つながる前の分子を単量体(モノマー)と呼びます.つながった個数を重合度と呼びます.数百から数十万個のつながりが1分子のなかに生じます.
重合形式
ラジカル重合,カチオン重合,アニオン重合,配位重合,などがあります.それぞれモノマーの種類に応じて使い分けます.
反応のスタートを開始,分子が伸びていく段階を生長,反応の終わりを停止と呼びます.
共役二重結合
単結合と二重結合が交互に繰り返された結合のことを共役二重結合と呼びます.共役二重結合では単結合も二重結合もともに1.5結合という状態になります.その結果,共役二重結合の端から端までπ電子が移動可能になります.これによって分子の中を電子が流れることが可能になります.
導電性高分子
ポリアセチレンは共役二重結合が繰り返されたポリマーです.世界で最初の,電気を通すポリマーです.この分子の開発がきっかけとなって,様々な導電性ポリマーが開発されました.現在では携帯電話バッテリーの電極,電解コンデンサー,タッチパネル,などに導電性ポリマーが用いられています.
共役二重結合と色
ニンジンのオレンジ色,トマトの赤色,イチョウの黄色は,いずれも共役二重結合をもつ分子の色です.
有機化学パズル:アルケン編
●最後の重合が正しいか不安です.●むずかしい●わからない・・・・●むずかしーなー●ざせつかな?●(..)●有機むずかしいです.●わかりまテン
コメントなど
●高校ではただ覚えるだけの授業だったけれど付加や脱離のしくみを知ることができ,ちゃんと理解できた.●アセチレンの構造が簡単で好きです.●様々な物が化学とつながっていることが改めてわかった.●でもやっぱ有機の方が楽しいです.受験の時あんなに覚えたのになんで1年も経たないうちに忘れてしまうんですかね・・・●さっきツイッター フォローしました●有機化学あんまり好きじゃないけどがんばります・・・●複雑そうなので頑張りたい●良い復習になりました●親父が仕事で使っている分野なのですが,まだまださっぱりです(笑).復習しておきます.●新しいこともりだくさんなのでしっかりふくしゅうしたいです!●ポリアセチレンってすごい.●高校のときにマルコニコフ則やりましたーなつかしい.有機は比較的好きです.
●ベンゼンも1.5重結合ですか.高校ではマルコフニコフだったのですが・・・
ベンゼンも1.5重結合と考えてOKです.Markovnikovなのでマルコフニコフとかマルコウニコフとかマルコニコフとか,あいまいになります.
●80コかぁー.つらっ!!
高校の教科書にはもっとたくさん出ているよ.
●ひとやすみの時間が一番好きです.ずっとひとやすみしていたいです.←
それでは一休みにならぬ.
次回予告
次回とその次で「酸素を含む有機化合物」を学びます.配布物を読んで予習してくること.
やきいものおしらせ
11月19日(金)の午後から夜にかけて,学内バーベキュー場で「やきいも」をやります.学部学科学年を問わずどなたでも参加歓迎.企画してくれたのは臨床工学専攻の2年生です.学内のつながりを育てよう.会費は300円から400円くらい.くわしくはまたお知らせします.
昨年もやりました→ 学内バーベキュー場でやきいも(2010-12-04)
●焼き芋おいしそう
ウェルカムですよ.
リンク
www.tnojima.netwww.tnojima.net
参考書籍
- 作者: マクマリー,John McMurry,伊東〓,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
- 出版社/メーカー: 東京化学同人
- 発売日: 2009/02
- メディア: 単行本
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