Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

(12)レポートの書き方(3)

引き続きレポート作成法を藤原先生が解説されました.

仮説を立てる前の情報収集

まず,先週の授業に関して寄せられた質問への回答.その中に重要な質問がありました.「図書館やネットで調べたことをふまえて,自分で考えたことを仮説として良いか?」というものです.

これは良い質問です.仮説を立てるにあたっては,そこにたどり着くまでに,情報を収集するプロセスが必要です,その多くは,すでに公表されている情報です.学術研究もこのステップを踏んでいます.

もちろん,自分が立てた仮説が,すでに公表されている情報にもとづくものであることは明らかにしなければなりません.そのために「引用」という行為を正しく行うことが求められているのです.

仮説をたてるということ

今回の授業に関連して・・・・・

仮説を立てた後には,その仮説の妥当性を検証しなければなりません.その際にも,すでに公表されている情報を参考にする必要があります.

私たちの誰一人として,「仮説ではなく絶対的に覆ることのない真実」というようなものにはたどり着いていません.そのようなものには永遠にたどり付けないのかもしれないし,そのようなものが存在しているかどうかも検証することはできません.

それでも,私たちは仮説を立て,検証し,その結果に基づいて仮説を修正し,再度検証する,といったプロセスを繰り返して行って,私たちの生きている世界の理解に迫ることができます.そのためにも広い範囲からの情報収集が必要です.

「真理」と「仮説」に関しては,以下の新書がとてもわかりやすく説明してくれています.1年生におすすめの一冊です.

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

 

わかりやすい文章を書く工夫

1年生のうちは,とにかく白紙を文字で埋めることに精一杯で,わかりやすい文章にすることまで注意が行き届かないものです.しかし,文章というもの,とくにレポートは,誰かに読んで理解してもらうために書くものです.そnためにはわかりやすく書くことが大切です.

世論と結論の対応,パラグラフの構成,中心文の位置,見出しの付け方,良心的なグラフ,といった点を考えました.

この授業でも推薦している名著「理科系の作文技術」↓

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

 

レポ-トの体裁

各自が書いてきたレポートが,レポートとしての体裁を整えているかどうかのチェックを行いました.参考文献の引用の仕方,段落の構成,句読点の統一,文体の統一,などなど.

グループワーク

最後に,先週までと同じグループで,レポートの講評をしてもらいました.それぞれが工夫したこと,気がついたこと,改善できること,といった点について自由にディスカッションしてもらいました.

おまけ

「悪い例」がどんなものなのかを知っておくことは,「良い例」を知ることよりも効果的な場合があります.文章の組み立て方に関しても同じです.以下の参考書は「悪い文章とはどのようなものなのか」をわかりやすく,そしておもしろく解説してくれている一冊です.これもオススメです.

悪文―裏返し文章読本 (ちくま学芸文庫)

悪文―裏返し文章読本 (ちくま学芸文庫)

 

2010年度教養演習

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