前回の講義に関する感想コメント質問その他なんでも紹介
くわしくは前回の講義録参照↓
化学関連ニュース: はやぶさのカプセルの中の少量サンプルをSpring-8で分析
小惑星探査機「はやぶさ」については前期中から講義の冒頭で紹介してきました.はやぶさが持ち帰った地球の外にある試料を分析するためには,最先端の分析化学的手法が使われる可能性が高く,化学の応用という面から興味深いからです.今回,小惑星イトカワで採取された微量サンプルかもしれない微粒子に対して,SPring-8での分析が行われることになりました.そこで,これまでの進捗状況と,SPring-8についての説明をしました.
●僕の家の近くですよ!! 新幹線からよく見えます!!
●Spring-8にとても興味をもった
●兵庫かどこかの放射線の施設すごかったです!! 日本にあんなすごい施設があるなんて初めて知りました.
●Spring-8の真ん中の山はなんだ?
●兵庫にあるSpring-8ってすごい! 事業仕分けはやって良かったのか悪かったのか・・・.
昨年暮れの事業仕分けではピンチに立たされましたが,予算が復活し,今のところ無事に稼働しています.
講義内容関連トピック(1)ハンガリーで有毒泥土流出事故発生・pH13
ハンガリーでアルミニウム精錬工場の大型貯水池の堤防が決壊し,6億リットルから7億リットルの有毒汚泥が周辺に流れ出しました.汚泥のpHは約13で,きわめて危険な状態です.実際,死傷者の出る大惨事となっており,廃液はドナウ川にも到達しています.環境汚染が黒海まで広がる恐れが出てきました.
講義内容関連トピック(2)酸性河川中和事業・pH1.2
人災によって河川のpHが変化する事態は避けたいものですが,その一方で天然にある状態でpHが中性から大きく外れている河川も存在します.その一つが群馬県を流れる吾妻川です.この川の水源は硫酸酸性(pH 1.2)の火口湖なので,川の水は強酸性です.このために農業用水に使うこともできず,橋や堤防の建設にも制限が生じていました.そこでこの河川を石灰で中和し,下流にダムや堤防などを建設工事可能にしつつ,農業用水などにも使えるようにしようと考え,河川中和施設がつくられました.
●酸の川が日本にあるのを初めて知った.しかも中和作業が投入するだけとは・・・イメージと全く違ってました.
●大量の川の水を中和するなんて・・・そんなことができるくらいきっと大きな施設なんですね.1回見てみたいです.
生体の緩衝系 (p327)
私たちは様々なものを食べ,様々なものを飲んで暮らしています.酸性のものもあれば塩基性のものもあり,いったん口にすれば体内に広がって行きます.それでも,生体内の[H+]は一定の範囲に保たれています.これにはどのような仕掛けがあるのでしょうか.
体内の[H+]を一定の範囲に保つ仕掛けが生体の緩衝系です.炭酸系とリン酸系が主に活躍しています.炭酸系では呼吸を利用して炭酸ガスを排出することによって[H+]の変化を和らげています.また,尿からのHCO3-1排出も利用しています.ここにはルシャトリエの原理がはたらいています.リン酸系ではH2PO42-を尿から排出することによって[H+]を保っています.じつにうまくできた仕組みです.
●身体のpHを保つしくみはとても画期的だと思った.pHの計算は苦手なのでがんばります.
●今日はpHは多かった気がする.
●人体の平衡に感動しました(=ω=)
●緩衝作用のすごさがわかった.
●アルコールを飲んだときによくトイレに行く人がいますが,炭酸系やリン酸系が働くからなんですね.
それはアルコールの利尿作用によるものでしょう.
緩衝溶液のしくみ
ビーカー内の純水1 Lに,1 mol/Lの塩酸1 mLを加えると,[H+]=10-3 mol/Lとなり,pH=3となります.このときのpH変化量は4になります.
しかし,これと同じことを酢酸(25 mM)-酢酸ナトリウム(50 mM)緩衝溶液に行っても,pHは0.02程度下がるだけです.この違いがどのようにして生じるのかを,平衡条件,すでに与えられている酢酸のpKa,化学種の量的関係,に基づいて導き出しました.
緩衝溶液の性質は高校化学IIの教科書でも扱われています.[H+]=KaCa/Cbというような公式だけ覚えている学生が多いのですが,この公式が適用可能な緩衝溶液の濃度には制限があります.それを理解するためには,公式がいくつかの近似計算を経て導かれていることを忘れてはなりません.近似計算は計算を簡略化してくれる強力な手段です.化学に限らず,様々な場面で計算困難な状況から救ってくれるテクニックです.それをマスターするために,緩衝溶液の[H+]変化計算は,よい教材になっています.
その細かい手順を説明したプリントを配布しました.その内容に従って,pH変化を追いかけて行きました.
●前期の化学実験で緩衝作用のしくみがまったく分からず,レポートで苦労した.今回の授業で少し理解できたけど,まだまだ分からん.とりあえず復習してみます.
●緩衝液がよくわかった.
●化学IIの範囲の裏付けが理解できた.
●平衡について再確認できました.具体的な数値を代入し,実際に理解できたので良かった.
●前期で行った中和滴定の実験で出てきた緩衝液のトコロが,イマイチ理解できてなかったので,今日解決です!!
●前期の実験で緩衝溶液を使ったが,まったくしくみを知らなかったので,それが分かってよかったです.すごいしくみだなと思いました.
●計算ばかりってやはり脳内回路がショートします.理解できないわけじゃないけど・・・ども・・・っていう感じです.実際に練習しないと解けるようにならないんだろうな,と思う授業でした.
●緩衝溶液はとても苦手なので,今回のはきちんと復習しておきたいと思います.
●高校のときの緩衝液の知識がよみがえってきたと思ったが,実際のところよく分かっていないので復習したい.
●pHの計算,やっぱり難しかった.テストまでにマスターできるか不安.
●緩衝溶液などの仕組み,しっかりと理解しておきたいと思います.
●高校の時は受験用の問題ばかり解いてて緩衝液の具体的なイメージがわかなかったけれど,今日の授業で理解できました!
●平衡は高校では式を書いただけでよく分からなかったけど,式の導き方や具体的なもので考えると忘れにくそうだと思いました.近似テクニックできるようになりたいと思います.
●緩衝溶液は難しい.有機が始まってしまうので早めにクリアしておきたい.
●緩衝液は高校でやらなかったからちんぷんかんぷんでした(泣)
●計算が大変だった.
●緩衝溶液について理解できた.
●緩衝作用がよくわかったかも.
●・・・難しかった
●今日の内容は高校でやった気がするんだけど・・・難しい.
●緩衝の過程から緩衝作用の計算まで理解できた.
●今まで(高校の時とか)「[CH3COO-]≒Cbとする」って言われていた理由がわからなかったけど わかって良かった.
●今回の緩衝液の計算がいまいちよくわからなかった.近似の定義が難しい.
●緩衝溶液というと難しいイメージしかありませんでしたが,最後に数値で計算してみたらわかった気がしました! というかわかりました.
●計算で頭が混乱します.pKaのいみがよくわかりません.
●僕的に緩衝溶液は地雷だった気がします.
●pHは大事だ!でも計算は先生の言ったとおりヘロヘロです(-_-)
●計算が多くて頭の中が大変なことになってしまったけれど,がんばりたいと思います.
●緩衝液の近似計算は高校のときによくわからなくて嫌な思い出しかありません.頑張ります.
●平衡は高校のときになんとなーく覚えたものでやってたので,理解がちゃんとできてよかったです♪
●緩衝のしくみは高校の化学IIでけっこう好きな所でした(得意かどうかは・・・).ルシャトリエ,また出ましたね(汗).確認しないといけないですね.
●高校の時に使った公式がどのように出来たのか,という過程はとてもおもしろかったのですが,ところどころで気が遠くなってしまうところがありました(笑)
●緩衝作用を自分の口で説明できるよう整理してみます.
●緩衝溶液のはなし難しかったです.ありがとうございました.
●近似の使いどころが難しい.
●logが入るとどうしても混乱するので復習頑張ります.
計算が苦手な人にとっては相当きつい内容だったことでしょう.一方,数値を求めていく作業が好きな人にとっては楽しめる題材だったことでしょう.「何が数的に支配している因子なのか」を見極めて,省けるとことは省いて行くのがスマートな計算法です.
全般
●授業前の映像や写真が毎回楽しいです!
●今日で教科書(上)が終わりなんてビックリです!!
●だいたい理解できた・・・気がします.
●今日の授業は少し難しく感じた.
●ノートの書く量,多くて寝れませんでした.
●楽しかった.
●楽しかった.
●集中してできた.
●とても楽しいです
●よくわかりました.
●今日の授業は難しかったけど,理解できたらいいことがありそう.
●苦手な分野だったのでわかりやすくよかった.
●苦手なところなので復習します.
●今日の内容がまだ頭の中で整理できていないので復習します.
●ちゃんと復習します!!
●しっかり復習しようと思います
●しっかりと復習して自分のものにしたいと思います.
●今日のところはちょっとむずかしかったのでちゃんと復習したいです.
●しっかり復習しなきゃ!と思った.
●今日の内容は難しかったです.ちゃんと復習しようと思いました.
●家に帰って復習せねば!!と思いました.テストでは計算ミスしないよう気を付けます.
●今日の内容は複雑で理解することができませんでした.これがテストに出ると考えると後期のテストが不安です・・・.プリントも見直しておきます.
その他
●いよいよチリの落盤事故の救出作戦が始まりましたね.今頃開始かな? 無事に終わることを期待しています.
●ノーベル化学賞受賞で日本の化学のすごさが世界に広まったと思います.私は日本がノーベル化学賞を受賞したのをきいたとき,鳥肌がたちました.
●眠い・・・次は気合い入れてイコーゼー
●なんとか遅れずに講義にでれました.平衡が個人的には好きな分野です.来週もがんばります.
●先生の板書が書くのがはやすぎてうつすのが必死でした.
●板書を写すので精一杯だったので見直そうと思います.
●今日の先生はいつもよりさらに輝いていました.
●かぜ,おだいじに!
●pHの考え方が101年前にできたと知って意外に最近だとびっくりしました.
質問
●有機で,ビタミンと必須アミノ酸の違いは何ですか?
まったく別のものです.次回講義で化学式をつかって説明します.
●ノーベル賞とった日本人ってどんなこと研究した人なんですか?むずかしくてわかんないからわかりやすく知りたいです.
有機化合物と有機化合物とを連結する手法を開発しました.炭素と炭素との共有結合の開発です.これによってさまざまな機能性材料や医薬品の合成が可能になりました.次回解説します.
次回予告:来週から有機化学
教科書上巻で扱われている内容は今回で終了します.来週からは有機化学の領域に入ります.有機化学は高校時代に丸暗記を強制されて嫌になってしまうという例が多々みうけられるので,そういうのをリセットして新しい切り口で攻略して行きます.
●来週からの有機化学が楽しみです!
●次回からの有機を頑張りたい.
●次回は有機お願いします.
●有機楽しみです.
●有機は好きだから楽しみです.
●次回から有機なので頑張りたい.
●次回からの有機化学は楽しみです.
●来週からの有機化学楽しみです! 有機大好きなので.
●無機物理化学が終わって達成感がとてもあります.有機も油断せずにがんばりたいと思いました.
●来週から有機化学なので高校と違った新しい視点からできるといい.
●有機は好きなので次回からの授業が楽しみです!!
●来週からは有機の教科書に入るということで・・・きましたね.一番苦手な分野なんですよ,有機.さて,どうしたものか・・・
●有機化学・・・(涙)
具体的には
- 扱う元素はC, H, O, Nの4種類だけ(特別出演PとSとハロゲン)
- 扱う反応パターンも4種類だけ(付加,脱離,置換,転位)
- 基本骨格はCとHの2種類だけ
- 電子の動きを見て判断する
の4点から有機化合物の世界を見て行きます.
リンク
www.tnojima.netwww.tnojima.net
- 作者: MollyM. Bloomfield,伊藤俊洋,岡本義久,清野肇,伊藤佑子,北山憲三
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- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
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