雨.Nコースでは5月最後の化学講義です.出席者10名(履修者13名).めずらしく3名が欠席.
雨いやですね.バスは遅れるし服はぬれるし お腹は減るし.
ん? お腹が減るのも雨のせい?
前回の講義に対するコメントの一括紹介
前回の出席用紙の自由記入欄に書いてもらった内容を紹介しました.すべてを読み上げて紹介しきれないのでスクリーンに投影しました.
ここに挙げられている質問や感想にひととおりコメントしました.くわしくは2009年5月22日のエントリー参照.
ブラックライトの実演
乾電池2個で作動する小型のブラックライトを入手したので,これを使って実験用白衣に使われいる繊維が青紫色の蛍光を発することを実演しました.また,実験用ゴーグルを通すと短波長の励起光が遮断されるため,ゴーグルの形の影ができることも実演しました.染料の使われていないティシュペーパーは蛍光を発しないことも見せました.
金属結合
教科書には出てこないのですが,化学結合を一通り区別するために金属結合について説明しました.陽イオンと自由電子の集まりが金属結合です.自由電子があるため電気と熱を伝えやすくなり,延性と展性が生じます.
金属原子では自由電子がいーっぱい動いているんですね.
そうです.簡単な豆電球と乾電池の回路でも電子が配線中をゴソゴソと動いているのです*1.
共有結合(p97)
まず水素と酸素の反応で水が生成する場面をムービーで上映しました.JSTが公開している理科教育用コンテンツです.
続いて水素とフッ素の場合を例に,同じ種類の原子2個が分子を形成するときの電子の共有方法について説明しました.最外殻軌道に8個の電子を収めるために電子の貸し借りをすると考えると分かりやすいでしょう.
H2ではHがHe型の電子配置に,F2ではFがNe型の電子配置になります.
たとえば水素が共有結合して,Heと同じ電子配置になったとして,え,それって,Heになっちゃうわけじゃないですよね?
なっちゃうわけじゃありません.電子の並び具合がHeのものと同じになるだけです.
化学結合判別法
前回の講義の後,
イオン結合,共有結合,金属結合がごちゃごちゃです.高校の時に結合がいっぱいかいてあったものをみせられ,みわけろといわれてできなかったのを覚えています・・(泣
というコメントをもらいました.これの攻略法を伝授.
- 化学式が金属元素だけだったら→ 金属結合
- 化学式が金属から書いてあったら(日本語で「○○金属」となっていたら)→ イオン結合
- 化学式がNH4から始まっていたら(日本語で「○○アンモニウム」となっていたら)→ イオン結合
- のこりは共有結合
9割以上はこの分類でOKです.
結合判定法がわかりやすかったです.
高校で化学をやったはずなのに,結合とかごちゃごちゃになっていたので,改めて整理できてよかったです.
丸憶えするのではなく,分子を考えるときに見分けがつくようになる状態をめざしましょう.
ルイスの点電子図(p95)
価電子を点で表す方法です.点の振り方は次のとおり
- まず1個ずつ元素記号のまわりに4個までひとまわり
- 次に2個目をひとまわり
ここで眠気覚ましに塩素分子の点電子図を書いてもらいました*2.
ルイスの点電子図は わかるようになりました.電気陰性度については来週を楽しみにしようと思います.
今回は電気陰性度の途中で時間切れになってしまいました.が,来週の講義がおわったときには共有結合の性質を評価できるようになっているはずです.
はい.今回は電子のレイアウトを説明するためにすべての原子に点電子を書き込みました.説明のとき以外は必要ありません.
いつもねむくてすみません.
・・←これで表すとわかりやすいんですね
そうです.
・・←これはとても便利な書き方なのです.
分子に親しみを感じることは良いことですね.
多重結合(p99)
二重結合の例としてCO2とO2を,三重結合の例としてN3をとりあげ,点電子図を用いて結合をつくる方法を説明しました.
電気陰性度(p102)
塩化水素分子を例にとりあげ,HとClの間に存在する電子の「かたより」に注目しました.しかし時間切れ.次回に続きます.
電気陰性度と電子親和力がごちゃごちゃになってしまいます・・・
電子親和力は原子1個のもとに電子がやってくるときのことを考えます.電気陰性力は結合している2個の原子間の電子がどちら側に偏っているかを考えます.
その他のコメントと質問
電子レンジでこの間,アルミっぽい物質を何も考えずにチン.青白い光と火花,そして炎をあげていました.冷や汗ダラダラでレンジをとめましたー! レンジで何をチンしちゃいけないのですか?
なかなか貴重な瞬間を目撃しましたね.チンしてはいけないものとしては「金属」一般が挙げられます.今回の体験は以下のようなものだったのではないでしょうか↓
気をつけるものといえば,あとは密閉容器ですね.レンジから取り出してフタを開けたときにやけどする恐れがあります.ラップで密閉した皿の料理も要注意.
どのようにしたら先生がつくっているような素晴らしいノートがつくれるようになるのでしょうか?
素晴らしいかどうかはさておき,私は教科書を読みながらキーワードをメモ用紙に書き写し,キーワードどうしを線でつないでリンクさせ,さらに他の資料から情報を書き加え,ごちゃごちゃの状態をいったん作りあげてから清書しています.しかし,清書してもそれが黒板の形に収まらないことが多く,教壇上でアドリブで文字や記号を書き換えています.どうやっているのかは自分でもよくわかっていません.
講義を終えて
中途半端なところで時間切れになってしまいました.ちょっと油断しているうちに終了時刻12:10を4分ほど過ぎていました.次回は4分はやく切り上げます.
次回予告
電気陰性度の解説をしてから,原子の結合に関する章をおわらせ,第5章「化学反応式とモル」(p120)に突入する予定です.
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