後期がはじまりました.しかし機材故障によりスライド投影ができず.前期のまとめなどは次回にまわすことにしました.履修者85名中,79名出席.
前期試験の結果報告
説明スライドが利用できなかったので,平均点と,めだったミスについて説明しました.また,前期試験結果は通年評価の一部分に過ぎないこと,今後の逆転や成績向上も十分に可能だということも説明しました.
第10章「水・溶液・コロイド」
p261からp271に相当する範囲を解説しました.
4℃で最大密度を示すこと,比熱が高いこと,沸点や融点が高いこと,といった特性は,生命現象や地球環境を理解するうえで無視することのできないものです.前期中にもこれらの性質について扱いましたが,再度復習を兼ねてくわしく考えてみることにしました.
水は私たちの身体に不可欠な溶媒です.私たちの身体を構成する細胞の中身は様々な種類のコロイドが分散した状態になっています.そして血液などは均一な溶液ではなく,不均一な懸濁液です.このように溶液のバリエーションを理解することからスタートです.
出席カード自由記入欄から
汗は、身体の周りの熱をうばうことを授業で知りましたが、そういうことならば、汗をタオルでふかない方がすずしくなるのですか?
タオルで拭き取るなどして汗を拭き取れば,同時にその汗が持っている熱も拭き取ることになります.拭いた方が涼しくなりますよ.
砂漠は昼と夜の気温差が大きいと聞いたことがあるのですが、それは大気中の水蒸気が少ないためなのでしょうか?
そうです.水蒸気が少ないので昼は太陽の熱がダイレクトに地表を温めます.温められる砂地は乾燥しており,その比熱は水の2割程度しかないのですぐに熱くなります.これが土地全体を熱くします.夜が来ると地面の熱は急激に失われ,その熱をため込んでおく水蒸気がないので大気の温度も急激に下がります.水蒸気がないことは砂漠の激しい温度差の原因のひとつです.
水は不思議な液体だ。水がなければ私達人間は生きられない。水に感謝です。
そうです.しかし人類が利用可能な水資源の枯渇が心配されています.地下水が涸れてしまったり汚染されてしまったりという事態が続いているからです.大切に使いたいものです.
コロイドについてくわしく聞けてよかった。
「溶けている」のでもなく「にごっている」でもない,ちょっと変わった状態です.コロイドの世界も奥が深いのですが一部しか扱うことができず残念です.
溶液は苦手です。
溶液が苦手/嫌い,という人は多そうなので,ちょっと時間をかけて水溶液の理解について説明することにしましょう.
血液浄化はいわゆる人工透析器に追うようされているやつと同じような原理でしょうか。
ちょっと違う原理を利用しています.「透析」は成分を「ふるいわけ」するような感じ,(今日説明した活性炭による)「浄化」は,不要物を「吸着する」感じです.
ブラウン運動の原理が良くわからなかった。溶媒分子と粒子のぶつかり合いということですか。
そうです.注目している粒子に,溶液内を乱雑に動いている分子が衝突してきて,その衝撃で動く現象です.
RNAには大きな可能性があることに驚きました。
RNAについては有機化学の範囲を進めつつ適当なところでトピック紹介しましょう.
テスト、とりあえず受かってよかったですが、ちょっと、むずかしく感じました。
前期は不可をとってしまったので、後期はしっかりと勉強します。
大学1年生が最初の前期試験で難しく感じる理由の一つは,高校までと勝手が違うからだと思います.記述式の問題は,問われている内容は基礎的なものであっても,記述するという作業が難しく感じることでしょう.これも慣れて来るものです.後期試験の難易度は前期試験の難易度よりも高くしないので,平均点は上がることと思います.
相変わらず先生の授業は楽しいです。
楽しかったです。
そういってもらえれば何よりです.
次回予告
第10章「水・溶液・コロイド」の残りを終わらせ,第11章「溶液の濃度」に進みます.
参考書籍
生命現象と水との関連性についてもっと深く知りたい方には,パスカル・マントレ著,「細胞の中の水」がおすすめです.

- 作者: パスカルマントレ,Pascale Mentr´e,辻繁,落合正宏,中西節子,大岡忠一
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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