Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

電話→メール→?

電話という道具が嫌いでした.心地よい眠りについたときであろうが,食事を始めたところであろうが,おかまいなしに電話は私を呼び出します.あまりにも勝手な話です.こんな暴力的な道具をいつまでも使い続けるほど人類は愚かではないはずです.

そういうわけでパソコン通信を利用するようになった十数年前*1,世の中の通信手段は電話から電子メールに移り変わって行くだろうと私は考えました: 「緊急事態には電話で,それ以外には電子メールで」

それから十数年経ち,電話で行われていた連絡の大半は電子メールに置き換わりました.手元にメモ用紙が見あたらなかったために重要事項を聞き逃すとか,聞き間違えるとかいった事故は減りました.そのかわり,電子メールの洪水と戦う日々がやってきました.適切なタイトルが付いていないメールや,具体的にいつまでに誰に何をすべきか書かれていないメールなども多く,そういうメールの送り主に限ってすみやかな対応を求めてきたりします.電話ストレスはなくなったものの,電子メールストレスという新たな敵ができたわけです.

そういうわけで,

少なくとも、なんでも二言目には「メールします」「メールしてください」という風な使い方のメールは、希望的な観測も含めて今後減っていくのではないかと思います。

------- 「電子メールの時代はもう終わっている?」,Lifehacking.jp,2009-08-01

と考えたくなるわけです.そうあって欲しいと思います.そのためには代わりの連絡手段が必要です.上記記事ではTwitterやSkypeを用いた簡潔なコミュニケーションの可能性が提案されているのですが,はたしてどうなるでしょうか.

上記記事で引用されていたTwitterのつぶやき↓

ネットで日常的に行う行為の中で、メールは最もストレスフルな行為となりつつあるのではないか。

------- http://twitter.com/akiyan/status/2947705188

ここの「メール」という部分に以前は「電話」の二文字が入っていました*2.いったい人間は進歩しているのか進歩していないのか.

いずれにせよ限りある人生をメールだの電話だのに持って行かれてはたまりません.自宅ではメールチェックしない,メールはスキマ時間に処理する(そのための時間を確保しない),携帯電話はバッグにしまい携帯メールが届いたことさえ気づかなくする,というようなささやかな抵抗をこころみている今日このごろです.

*1:まだ一般家庭にインターネット回線が来ていなかったころ

*2:「ネットで」という部分はありませんでしたが