世の中にはいったい何種類の物質があるのでしょうか.天然に存在するもの,人工的に作り出したもの,人類は「何種類」を知っているのでしょうか.
これは私が化学の話をするときによく投げかけてみる質問です.ふだん考えることもないような質問に対して,千種類とか一万種類といった答えが返ってくることが多いように思います.
小学生が相手だと十万種類とか百万種類といった答えも多いのですが,大学1年生になるとこの数が減ります.もしかしたら周期表に載っている元素の数が百ちょっとだという知識が働いて,答えがインフレにならないように抑えているのかもしれません.
物質についての情報を記録したデータベースの一つに Chemical Abstracts Service
というものがあります.新しく発見された物質,新しく合成された物質についてはここに逐一登録されて行くしくみになっています.
昨年あたりチェックしに行ったときには「まもなく一億に達する」という状態だったのですが,今日の昼に確かめに行ったら1億1千万を超えていました.
アメリカ時間2009年8月21日午前3時40分現在,有機物質と無機物質をあわせて49,426,678種類,DNA,RNA,蛋白質など生体高分子の配列情報が61,178,311種類です.合計1億1千万強.
もちろんこの全てを知っている人はこの世界にはいません.一生かかっても知ることは無理です.それでもこの多様性の前に私たちは降参する必要はありません.さまざまな物質に関してこれまでにわかっている「知識」と「考え方」を組み合わせることによって,未知の物質の性質を予測したり,新しく開発された物質を取り扱ったりすることが可能になるからです.
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