Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

2016年度後期,医療工学科「化学」授業評価結果

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昨年12月14日(水),医療工学科「化学」最終回の出席者に授業評価アンケートへ回答してもらいました*1

2016年度も,2015年度までと同じ方針で同じような内容で講義していたのですが,履修者からの

  • 「この授業は自分にとって意味のある授業だった」

への回答が前年度までと比べて大きく下がったことと,回答数無制限の

  • 「授業内容を理解するために、授業に出席すること以外で、あなたが特に心がけておこなったことは何ですか」
  • 「新しい知識や技能を得ること以外で、あなたにとってこの授業の成果と言えるものは何ですか」

の2項目に対して前年度までよりも多くの回答が集まっていることが特徴的でした.

だから2017年度にどうする,っていうのは全くなくて,今年度履修者に最適化しても来年度履修者に最適化されるわけではないっていうのと,そもそも悪い評価ではないっていうのとがあって,これまでどおりにやります.

ちょいと内容を入れ換えるけど.

アンケートは演習時間内に履修者の協力を得て行われたものなので,その集計結果をここに公開します*2

総合評価

「この授業は自分にとって意味のある授業だった」に対して51.1 %の履修者が「そう思う」,44.7 %の履修者が「ややそう思う」と回答しました.両者で95.8 %.有効票の100 %です.総合的にこのコースは成功していたと判断します.
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「クラス」はこの科目,つまり私が担当した2016年度医療工学科対象「化学」です.「全体」は2016年度後期にアンケートが行われた全科目です*3

この時期に同時に行われた他科目アンケート平均と比較すると,「そう思う」のスコアが低くなっており,また,昨年度や一昨年度と比較しても「そう思う」が下がっています.私自身では従来のやり方を踏襲していたので,急に評価が変わった理由は不明です.

自由記入欄への対応

板書をして下さるのはとても助かりました.

スライドだと眠くなっちゃうしねぇ.

本当にありがとうございました.

どういたしまして.

調査項目

調査項目は以下のとおりでした.例年と変化なし.

I. 授業と教員について
(1) 授業の目標が毎回はっきりと示されていた
(2) 授業はよく準備・計画されていた
(3) 授業内容は、興味や関心を引くものだった
(4) 説明・解説がていねいで、わかりやすかった
(5) 口調が明瞭で、聞き取りやすかった
(6) 板書は見やすかった
(7) テキスト、配布資料は学習の助けになった
(8) スライド、ビデオなどメディア教材は効果的に使われた
(9) 教員は、学生の質問や疑問に対して適切な応答をした
(10) 教員は、学生の理解度を確かめながら授業を進めた

II. あなた自身について
(11) あなたは、この授業での到達目標(シラバスに掲げられた知識や技能の習得)をどの程度達成できたと思いますか

(12) 授業内容を理解するために、授業に出席すること以外で、あなたが特に心がけておこなったことは何ですか。(最大3つ)

  • 授業の予・復習をするように努める
  • 疑問点について教員や友人に質問する
  • 疑問点を解決するために関連図書を調べる
  • わかりやすいノートを作る工夫をする
  • 何が分からないのか、できないのかを考える
  • 与えられた課題にはきちんと取り組む

(13) 新しい知識や技能を得ること以外で、あなたにとってこの授業の成果と言えるものは何ですか。(最大3つ)

  • 物事をみる視野が広がった
  • 授業の関連分野に関する知的好奇心が高まった
  • 問題を発見したり解決する力がついた
  • 物事を論理的に考える力がついた
  • 論述したり表現する力がついた
  • 今後の学習のために必要な学力がついた

III. 総合評価
(14) 総合的に判断して、この授業は自分にとって意味のある授業だった

調査結果

履修者数は92名.アンケート回答数は47.回答率は51 %.

アンケート結果の詳細

「I. 授業と教員について」

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全10件の調査項目のうち3項目において「そう思う + ややそう思う」が100 %となりました.総合的にこのコースは成功していたと判断します.

もっとも,「教員は,学生の理解度を確かめながら授業を進めた」の項目が平均より低くなっているのですが,これは思い当たるフシがありません.

「II. あなた自身について」

「あなた」というのは履修者のことです.
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44.7 %の履修者が「8割以上」,48.9%の履修者が「5〜7割」と回答しています.両者あわせて93.60 %です.

「(12) 授業内容を理解するために、授業に出席すること以外で、あなたが特に心がけておこなったことは何ですか。」に関して,平均と比べて多くの回答があったのは,

  • 授業の予・復習をするように務める
  • 疑問点について教員や友人に質問する
  • 疑問点を解決するために関連図書を調べる
  • わかりやすいノートを作る工夫をする
  • 何がわからないのか,できないのかを考える

の5件でした.

例年ココは2件か3件なのですが,なぜ増えたのかは不明です.

また,「(13) 新しい知識や技能を得ること以外で、あなたにとってこの授業の成果と言えるものは何ですか。」に関して,平均と比べて多くの回答があったのは,

  • 物事をみる視野が広がった
  • 授業の関連分野に関する知的好奇心が高まった
  • 物事を論理的に考える力がついた
  • 今後の学習のために必要な学力がついた

の4件でした.

こちらも従来より増えたのですが,なぜ増えたのかは不明です.

2017年度の方針

2016年度もこの路線で行きます.

御礼

アンケートに協力してくれたみなさまに御礼申し上げます.
また,SNSを通じての履修者とのコミュニケーション,学外の皆様からのアドバイスやコメントが,年間を通じて講義の質向上に役立ちました.お礼申し上げます.

この科目についての考え方

www.tnojima.net

このブログを書いている人

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もう一つのブログ

www.takahikonojima.net

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*1:受講したコースをどのように評価するか,だけでなく,このコースから自分自身はどのように成長したかを振り返ってもらうためのアンケートでもあります.北里大学一般教育部で全教員を対象に毎年行われている調査です.

*2:講義時間内にアンケートに協力した履修者には,アンケート結果を知る権利があります.そのため,私は授業評価の結果をオンラインで公開しています.履修者にもそのことを約束してあります.

*3:全専任教員が1科目以上をアンケート対象に選びます.その平均値は大学公式サイトで公開されます.この平均値と比べることにより,次年度(前期に集計した場合は後期)からの講義を改善して行くための指針が得られます.