Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

ジェネレーション・ギャップ,ウェルカム

昨晩は小学校時代のクラスメート約20人が集まって楽しいひとときを過ごしました.料理人としての修行を経て独立した元クラスメートの店を貸し切りにしてのイベントでした.細かいところまで手を抜かないのがプロというもので,刺身の盛られた大皿の端っこにちょこっと添えられたワカメの味付けが忘れられません.みんな残すなよワカメおいしいよこのワカメ.もちろん,魚・肉・野菜と,どれもすばらしい味だったことは言うまでもありません.京王線上北沢駅すぐ近くの「海鮮旬菜 えの亭」っていうお店です.

さらに,ケーキ職人をやってる元クラスメートがケーキを作ってきてくれて,これがまたステキな甘さでした.ババロアというかプリンというか,なんかそんな感じのやわらかいものに砂糖が染み込んでいて口の中でとろけるわけです.吉祥寺駅北口で「A.K Labo」っていうお店をやってる人です*1

どちらもよろしく!

近頃の若者は

で,こういう集まりがあると,「近頃の若者はどうよ?」的な質問を受けることになるわけです.教員をやってるとそういうことをよく聞かれるもんです*2.「自分たちの学生時代と比べて,昨今の学生の感覚はどんなところが違うか?」という質問に対して,過去5年くらい,私は次の段落以降のようなことを答えてます.

私の感じること・考えること

1 私が大学生だったころ

私が学生だった頃,学生実験とか演習とか雑談とかで年上の人に「おいおまえ,コレ,わかってるよな? 大丈夫か?」って聞かれたら,とりあえず「あ,大丈夫ですよ!」って答えていました.実際には大丈夫じゃなかったりするわけですが,その場ではとりあえずOKってことにして,先に進んでもらっていたわけです.で,ハナシが終わってから図書館あたりに駆け込んで,コッソリと調べるわけです,そして,次の日とか次の週とかに同じところを「おい,コレ,わかってるよな?」って聞かれたときには,自信を持って「はい!」って答えていたわけです.「知らないことは恥である」という意識があったわけなんですね.「ナメんなよ」っていう負けず嫌いの意識もあったんでしょう.「おい,コレ,わかってるよな?」って聞く方も,「ホントはこいつは分かってねぇんだろうな」って思ってたんでしょう.たぶんね.

2 私の世代の次の世代

数年後の世代になると,「おいおまえ,コレ,わかってるよな? 大丈夫か?」って聞かれると,「知りません.けど,それ,どこが重要なんですか!」というような反発をする学生が多くなってきました.自己正当化.実際には知らなくても困らない点について質問されてる場合も多かったし,このように反発されて,それに反撃できるかできないか,質問して来る方を試していたのかもしれません.反撃できないとナメられてオシマイ.年功序列から実力社会へ*3

3 私の世代の次の世代の次の世代

さらに数年後になると,「知りません.そんなこと知らなくても困らないでしょう? そんなことが問題になることなんてないだろうし.」というような答え方をする学生が出てきました.「はいはい問題になることはないですよ.」って返しておしまい.コミュニケーション成立せず.どーして「知りません.」で止めておかないのかなー.損してるよなー,なんて感じたものです.

4 21世紀になって13年目

最近はっていうと,「知りません.」でオシマイな学生が過半数になりました.反論してきたり,質問の意義を逆に質問し返してハナシの論点をズラそうとしたり,知ったかぶりをしたり,っていう学生は絶滅危惧状態です.恥ずかしそうにでもなく,イラだっているわけでもなく,スマイルで「知りません.」.

5 たぶんみんなそう感じてる

というような話をすると,「おお,確かにそうかもしれない!」というような声が,教育関連に限らずイロイロな仕事をしてるイロイロな年齢の人々から返ってくるので,状況は理系大学だけじゃないんだろうなーなんて思うわけです.今回もそうでした.

悪くないじゃん

さて,こんな風に世代間の特徴を並べると,私が「私たちの世代は自立心と独立心にあふれ,自ら学ぶ意欲を失わず,無知を恥ととらえる『意識の高い』学生だった世代なんだぞー偉いだろー」と主張してるかのように思われるかもしれませんが,そんなことはありません.むしろ,今の学生の世代って,私にとっては,歓迎すべき状態なんです.ジェネレーションギャップが何段階かあって,今の状態は,結構(・∀・)イイ!!

ラブ・アンド・ピース

なんでかっていうと,昨今の「スマイルで『知りません.』」な層って,学生に教える側に立った今,相手にしやすいんです.「知らない」っていうことがこっちにもわかるので,相手を置いて先に行っちゃってバイバイっていうことはありません.反撃に遭わないってのも気楽なもんです.ナメられることもないし.「そんなこと知らなくても困らないでしょう?」なんて言われてコミュニケーション決裂ってこともなく,平和です.ラブ・アンド・ピース.

オトナ的なまとめ

「物事を上達させるためには素直な心を持つことが肝心である」というような言葉をちょくちょく聞いたり見たりするんですが*4,言われてみればそうかもしれません.「知りません」って言われたら教えるしかないですからね.それも,丁寧に教えるしかないわけです.
っていうあたりを考えると,今の学生ってのはイロイロな物事を素直に吸収して上達させる準備はできてるのかもしれません.とりあえず素直に言われたことをやるってのは重要ですよ.医療工学科と看護学科の1年生は,連休明けまでに化学の教科書を読んで予習と復習をするんですよ.具体的にどこをどのように勉強するかは知らせてありますよ.じゃ,楽しい連休を!

教科書,有隣堂北里大学売店に入荷してます

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

*1:雑誌メディアでも紹介されるくらい有名になってきてます.入居してる店舗の建て替えに伴って,夏に引っ越すそうです.引っ越し先を探し中とのこと.

*2:中高で美術を教えてる元クラスメートも同じようなことをきかれていましたが,彼がコメントしはじめるタイミングでヤキソバが運ばれてきて,コレがまたおいしかったため,私は彼の話をまったく聞いていません.

*3:そうなのかどうなのかわかりませんけどね.

*4:出典不明,根拠も不明.