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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

看護学科の化学講義(26)2020年の化学(医療関連分野)

12月17日の講義を休講にしたため,代わりに補講期間の一日,本日の4限を最後の講義に充てました.みなさまにはご迷惑をおかけいたしました.ご協力に感謝いたします.変則的な時期の最終回だったため,出席率がこれまでより低くなりました.後期履修者46名中,36名出席.出席率78 %.

新年のごあいさつ

●あけましておめでとうございます!! 昨年は楽しい授業をありがとうございました.化学が少し好きになりました.初めて授業を受けたとき,おもしろくて,ずっと笑ってました.大好きでーす.
●あけましておめでとうございます(^o^)/ 今年もよろしくお願いします! でも今日で講義最後なんですよね.寂しいです.1年間ありがとうございました.
●あけましておめでとうございます.そして1年間お疲れ様でした.まだテストありますが・・・.
●あけましておめでとうございます.1年間くらいありがとうございました! 先生の授業すごい良かったです! 来年も受けたいくらいです!

前回の講義に関する感想コメント質問その他なんでも

詳細は前回の講義録参照↓

2020年の化学(医療関係)を予測する

2020年,いま化学を履修しているこのコースの1年生は,医療現場で活躍していることでしょう.化学は医療の仕事をどのように支援し,発展させて行くのでしょうか.これまでの進歩から実現が期待されるものをいくつか紹介しました.

(1)DNAの個人差に基づく医療

30億文字から成るゲノム情報には,約1,000文字に1文字の割合で個人によって異なる箇所が存在します.これを一塩基多型(SNP)と呼びます.SNPは,生活習慣病,薬効,副作用,といったものと深く結びついています.例を挙げてこれを説明しました.
SNPをみつける方法として最初に思いつくのは,個人のゲノムを丸ごと読み取ってしまう作業です.
30億文字を読み取る作業は非現実的に思われますが,技術革新が続いた結果,この数ヶ月でこれは現実味を帯びてきていました.
昨年は,アメリカのバイオベンチャーが,40万円のコストで個人の全ゲノムを読み取れると発表しました.

その後も技術革新が続いており,2014年には1万円の価格で個人の全ゲノムを読み取れるとの予測も出てきました.

個人のゲノムが読み取れるようになれば,遺伝子に基づく診断が広がることでしょう.新生児のDNAシーケンシングなどという検査が普及することになるかもしれません.

●DNAの新生児のシーケンスは やるべきだと思いました!!

●生前前検査をすべての子供たちに施行したら経費が多くかかると思ったが,現在の医療費はとても多いと知った.

DNAシーケンスは生まれてからやる場合の話です.生前検査だとさらに話がややこしくなりますね.
これと並行して,ピンポイントでSNPを検出する技術開発も進められています.たとえば国産技術のSmartAmp法を用いれば,30分間でSNPの判定を下すことができます.

このシステムを用いて,外科手術を進めながら患部のSNP分析を進め,抗がん剤の投与を判断するという,スピード勝負の検査が実現しています.
投薬量を決める際にも遺伝情報を参考にする方法が採用されはじめています.
たとえば薬効に個人差の大きい経口抗凝固薬ワルファリンの投与量を,遺伝情報も含めて条件で算出するオンラインサイトが開設されています.

2020年には個人の遺伝情報に基づいた医療が一般的になっているかもしれません.

(2)生体を模倣した医療材料

透析フィルターや血液配管に用いられる素材は,人体から異物として認識される可能性があります.この結果,過剰な免疫反応が誘発されて身体に損傷が生じる恐れがあります.これを防ぐため,生体適合性の高いポリマー材料の開発が進められています.
なかでも,生体膜を模倣してデザインされたMPCポリマーは,ポリスルホンに重量比1 %で混合しておくだけで生体の過剰反応を抑えることのできる,優れた物質です.

(3)プログラムできる材料

ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドは,温度変化にともなって存在様式を変化させるポリマーです.この性質を利用して,細胞シートを調製する技術が完成しつつあります.

このポリマーを使えば,角膜や皮膚の調製が容易になることでしょう.
さらにスケールを小さくして,分子を望みの位置に配置する技術も進んでいます.
たとえばDNA分子を用いてバイオチップをつくる試みとしては,DNA-directed immobilizationという方法が提案されています.

分子サイズのパーツを操る技術も今後10年間で大きく発達するでしょう.
究極の目標は,分子集団を3次元的に自由に操る技術を開発することです.次のムービーを紹介しました.

ここでは自動車のモックアップが例として採りあげられていますが,細胞培養の際に足場をこのような材料で組み立てておき,立体構造をもつ人工臓器をつくった後に,足場を解体する,などということができれば,再生医療が飛躍的に発展することでしょう.

●空間プログラミング(3D),実現して実用できるようになるといいですね!
●Intelがやってる研究,めーっちゃおもしろそう! 2020年に間に合わなくても,実現したら様々な会議の流れなどスムーズになりそうだと思いました!

夢の技術ですが,いつかは実現するかもしれません.願い続けることが大切です.

カーゴ・カルト・サイエンス

活字になっているものでは

  • R. P. ファインマン著,大貫昌子 訳,「ご冗談でしょうファインマンさん」II,岩波書店

の最終章が有名です.この部分を引用した解説をweb上のところどころで見かけます.たとえば

……南海にはカーゴ・カルトを信仰する人々がいる。戦争の間,様々な物品を積んだ飛行機が現れるのを見た彼らは,また同じことが起きて欲しいと考えている。そこで彼らは滑走路のようなものを仕立て上げて,その脇にかがり火を焚き,木の小屋の中に人を座らせ,頭にはヘッドフォンのような木片と,アンテナのような竹の串を立て - 要するに彼は管制官なわけだ - そして飛行機が訪れるのを待ち続けた。彼らは全てを正しく行っている。形は完璧だ。以前見たものと全く同じに見える。しかしそれは上手くいかない。飛行機は降り立たなかった。そのようなわけで,私はこれらをカーゴ・カルト・サイエンスと呼ぶ。彼らは,外見上の決まり事や,科学的な研究の形式を守ってはいるが,飛行機が降り立たない理由と同じ「本質的な何か」を見失ってしまっている。

http://www.radiumsoftware.com/0604.html#060418

血液型性格判断,統計的に当たりがでやすい宝くじ売場情報,マイナスイオン効果をもつ家電,「水からの伝言」など,一見科学的に見えているものの,実は全く科学的根拠がないものが世の中にあふれています.いわゆる疑似科学です.具体的な例を挙げてみると,「カーゴカルト信仰」を笑えないかもしれませんね.

未来への期待と希望と不安

●未来の話,なんか楽しかったです! 夢のある話だなぁと思いました.1年間ありがとうございました.化学はあまり得意分野ではなかったのですが,野島先生の授業はとっても楽しかったです! ありがとうございました.
●今日の授業を聞いて将来の医療の現場を想像するとすごく楽しみになりました.先生の授業とても楽しかったし,すごくためになったと思っています! 1年間ありがとうございました.
●今日はとても興味深いお話をたくさん聞かせていただきました.将来,健康指導についてかかわっていきたいと思っているので,遺伝子多型に基づいて その人にあったアドバイスや治療ができたら,よりよい医療になるのかなと思いました.とりあえず副作用での入院はなくしたいですね.
●昔の人間が想像していた未来で,実現したものもあるっていうことは,科学や化学の進歩であるし,すごいなって純粋に感動しました.これからもがんばってください!!
●これからもっと医療が進歩し,自分がその職場で働くのだと考えると,とてもわくわくします.患者さんのことを考えても喜ばしいので楽しみです.
●今までDNAを解読する技術がとても進歩してきているのを考えると,10年後の医療やそれよりもっと先の医療は今と比べて大きく変化することが現実的に考えられると思いました.一年間勉強してきて医療分野における化学(科学)の進歩を考えるとまだ学生だけど,医療者としても勉強とかもっと頑張らなきゃいけないなと思いました.
●アメリカの死因の4位が副作用だとは驚きました.化学は人の役に立つけれど,技術が進歩することによって本来の人間に必要なレベルを越えてしまっているのだと思います.そう考えるとあまりにも化学に頼りすぎるのは良くないのかと思いました.
●人間のための人工的な臓器の発明などとても進展できていると思った.人工のものでも拒絶反応のない,人にやさしいということは重要ですね.シャーレの上で培養するのを見て,1回経験してみたいです.3Dを利用した医療発展は望ましいですね.3Dをこれから活躍するであろう医療人を育てるためにも利用できたらいいなと思いました.医療ミスを防ぐことも今後の課題だと思う.未来への希望を持つことが大事ですね!! 化学が発展し,医療も進展,たくさんの人が助かるといいなと思います.
●2020年の最先端の医療の仕組みを知ると,ナノレベルで医療が行われることにびっくりしました!! 1年間 先生の授業を学べて化学を楽しく学べました.先生の授業はわかりやすいし,医療ともつながって勉強になりました! ありがとうございました.
●最後の授業なのに寝てしまってすみませんでした.化学の未来はとっても明るいなぁと思います! 自分たちが働くころには さらに良い医療を提供できる時代になるんだと思うと ますます頑張れそうです! まだ化学の勉強してないけど,これからやります!

●進化する医療はものすごく興味があるので面白い内容でした.超えてはいけない生命の領域を超えたらどんな未来になるのでしょうか,少し怖いです.なりたい自分の像をきちんと探して,それに向けて頑張ろうと思います.1年間ありがとうございました.
●化学が進歩するのはすばらしいと思うけど,個人の配列を読んでその人に合った食事や医療提供できるようになることが良いことだとは思えない.これ以上発展してみんなが長く生きられる世界を作っても,その反面,問題もたくさん増えるし,幸せなことばかりではない思う.不治の病や原因不明の病があって寿命の短長があって人間の人生といえると思うし,寿命を延ばすために病気にならないように確実に治るように・・・このまま進んでいくことは本当に良いことなのだろうか,とても疑問だし,未来を不安に思う.

慎重な意見.技術の進歩に不安を抱くのは不自然なことではありません.人間はよくわからないものに不安感を抱くものだからです.しかし,人間には人間が創り出した技術を制御していく力があります.だから科学と技術の進歩を恐れなくても良いし,未来は今よりももっと良くなると信じることができます.

1年間を通じての感想

●先生の授業すごく好きでした.化学が好きというより,先生の話してくれる化学の話が好きでした.今までありがとうございました.
●「あきらめなければ,かならず願いは叶う」という言葉,きちんと心にしまって,実践につなげて行きたいと思います.1年間どうもありがとうございました.
●今日の授業で先生がおっしゃっていた,想像すれば実現する(かもしれない)という言葉,響きました.叶うかなんて分からないけど,夢を持ち続けることは大切だなと思ったからです.先生の顔がいつもキラキラして見えるのは,そういうことなのかなーって少し思いました.私もキラキラしたいです!笑 1年間ありがとうございました.楽しかったです!
●1年間ありがとうございました!! 先生の授業をとって本当に良かったです!! Googleで先生のページ見てみます!! 先生大好き
●野島先生! 1年間本当にありがとうございました.化学に関係ない質問にもちゃんと答えていたり,講義録をHPに残していたり,素晴らしいと思います.とってもとっても楽しかったです(^o^)/ これからもずーっと今のままの先生でいて下さいね.体調に気をつけて変わらずにチャーミングな授業をしてほしいです.サミシーィ!
●1年間ありがとうございました!! とっても楽しい授業でした.毎回楽しみでした.終わっちゃうのさみしいです.
●今までありがとうございました.野島先生の授業はとても日常生活で役に立つ話で,授業だけでなく質問にも答えて頂いて,とてもためになったし,楽しかったです.これからもhappyな生活が送れるように,色々なものに興味をもって,そのものの本質を見抜いて行きます.
●化学全然わかんなかったんですけど,医療にからめててわかりやすかったです.やっぱり化学は難しくて深いなーと思いました.でも将来ケミストリーを活かせたら良いなーと思います!
●1年間,野島先生の化学とって本当に良かったです.楽しく分かりやすく化学を学べました.これから化学の本質を見極められるようになりたいです.
●先生の授業とても楽しかったです(^o^)/ これからも頑張ってください.
●1年間ありがとうございました! 先生の授業はいつも楽しかったです.ノートもすごくまとまっていて,見やすいです.これからも旧L1号館の定点撮影を続けてくださいね! 楽しみにしてます!!
●今までありがとうございました.
●1年間ありがとうございました!! 先生の授業たのしかったです.テストがんばります(^ω^)
●1年間ありがとうございました! 毎回スライドおもしろかったです!!

●1年間ありがとうございました.いつも英語やったり寝たりしてすいませんでした・・・.

見て見ぬふり.

●1年間ありがとうございました!! 先生の化学の授業は,大学の授業の中で一番おもしろいです.勉強にもなるし,興味がもてます!

卒業するとき,「4年間でいちばん良かったのは1年生の化学だった!」と感じてもらうことが目標です.

●後輩に化学オススメしますね(笑)本当にありがとうございました.
●今年度ありがとうございました.来年後輩に紹介しますねー おもしろかったです!

こういうふうにして履修者が増える予感.13人(2009)→46人(2010)→?(2011).
看護学部の完全選択科目の化学で,いったい何人まで履修者が増えるのかということに興味と若干の不安あり.

テストは一週間後

●前期は100点を取ったので,後期も良い点数を狙って優をとりたいです!! 1年間ありがとうございました.
●テスト頑張ります!
●最後のテスト・・・やばいです.でも頑張ります! 前期のテストはあと1問で満点だったのに悔しかったので後期はリベンジします.できるかなー笑
●1年間ありがとうございました.テスト頑張ります.
●1年間ありがとうございました.テストがんばります.
●1年間ありがとうございました.テスト頑張ります!!

●1年間ありがとうございました.ゆるい授業でほんとよかったです!!! テストも答えをほぼおしえてくれるという形でほんと助かりました.会ったら声かけますね!

試験前に配布した問題例と解答例のことですね.しっかり身につけてほしいところがいくつかあるのですよ.対策は立っているので,当日ヘマをすることのないよう注意して試験を受けましょう.
それでは明るい未来と健康で豊かな社会をつくるため,みなさんが看護師として活躍することに期待します.