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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(7)化学反応式とモル

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履修登録94名,出席83名,出席率88 %.

キーワード

アボガドロ定数,化学反応式,原子量,式量,質量保存の法則,生成物,反応物,標準状態,物質量,未定係数法,モル,モル質量,モル体積,分子量

講義内容の要約

  • 小さな粒子をひとまとめにして扱うときに使うSI基本単位がmolで,量の種類は物質量
  • 粒子の個数と物質量を結ぶのがアボガドロ定数NA = 6.02×1023 mol-1で,実測値
  • 1 molの質量がモル質量
  • モル質量の数値部分が原子量,分子量,あるいは式量
  • 化学式を組み合わせて化学反応をあらわすのが化学反応式
  • 化学反応式の係数つりあわせには未定係数法が便利
  • 種類を問わず1 molの気体は標準状態(0 ℃,1013 hPa)で22.4 Lの体積を占める→標準状態における気体のモル体積は22.4 L mol-1
  • 化学反応式から反応の前後における物質の量的関係がわかる

該当する教科書のページ

第5章,49ページから64ページ

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

 

参考書籍

モルがまったくダメな人にはこういう入門書もあります↓

トピック(1):日本国の国家予算をモルで考えると

1 molの1円玉があったら何ができるでしょうか? 国家予算との比を計算してみました.

2012年度の日本国国家予算(一般会計)は90兆3339億円(9.03×109円)です.

1 mol円をこの金額で割ってみます.

(6.02×1023)/(9.03×109) = 6.66×109

66億倍になります.1 molの1円玉があれば,我が国の一般会計を66億年間維持することができるのです.

次に地球スケールで考えてみました.

地球上の海水の質量は1.35×1024 gと見積もられています.コレを6.02×1023 gで割ってみましょう.

(1.35×1024 g)/(6.02×1023 g) = 2.24

地球上の海水の4割強の重さになります.

トピック(2):アボガドロ定数の精密測定

物理量に依存していない唯一のSI単位「キログラム」が再定義されようとしています.フランスに保管されている「キログラム原器」に依存するのをやめて,原子の個数と質量とから計算する方法を採用しようとしているのです.そのためにはアボガドロ定数を精密に測定する技術が必要です.ここには日本の研究機関も大きく貢献しています.

確認問題

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コメントと質問

全般

●モルの計算はややこしくてむずかしいです.●モルの計算が非常にややこしく感じる.●まだ計算がうまくできない●molは好きだけど密度らへんは忘れかけていました.●密度が出てくると悩んでしまいます・・・●密度のところ忘れていました(泣)●molなつかしいです●mol計算はできると思ったけど,案外できてない自分にショックだった.●単位をつけたまま計算すると,すごくわかりやすい!●モル計算ができるようになりたいです.●計算が大変です.●濃度計算が一番苦手な分野なので・・・不安です.●来週は濃度計算ですか・・・●濃度,密度が混ざって高校時代の化学が嫌いになりました.●モルやアボガドロの数が少しはスケールがわかった.●molのスケールに驚いた.●のどがいたい●高校で「原子量」「分子量」の言葉の意味があやふやだったのでスッキリした.●国際キログラム原器の話がおもしろかった●先生の授業がわかりやすくて泣きそうです.あと,花粉で泣きそうです.●クーラーききすぎて寒いです.

質問

●NaClは式量に分類されるが,分子量にも分類されないのですか

日常生活レベルでNaClはイオン結晶の状態をとっているので分子ではありません.分子ではなく原子でもないので式量です.

●単位を[g/mol]じゃなくて[g mol-1]と書くのはこだわりですか?

何個もの基本単位が組みあわさったときに「/」を入れると単位の順番が制約を受けて不便なのです.それで日頃から「/」を使わないのです.

●毎年,化学で赤点をとる人ってどれくらいいますか?

昨年度の医療工学科では91名履修者のうち5名が最終的に不合格.

●有効数字があやふやです.この場合に何を基準に見ればいいのでしょうか?

3桁どうしの掛け算/割り算なら3桁.くわしくは教科書の189ページを見よ.

次回予告

「(8)濃度のあらわしかた」を学びます.以下の予習+課題に自主的に取り組んでから講義に出席すること.

次回までの課題

リンク

www.tnojima.net
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