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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

東京都薬用植物園(3)

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北里大学薬学部附属薬草園では年に2回,希望者を対象に東京都薬用植物園での薬用植物観察会を開催しています.
春には「ケシ」を,秋には「アサ」を観察します.
本日は「アサ」観察会が行われましたので,参加してきました.

2年前にも一度参加させて頂いたのですが,年によってアサの育ち具合が違うと聞いていたので,もう一回参加させて頂いたのでした.

見学の前には麻の薬用作用や法的取り扱いについて,薬学部の福田先生から解説していただきました.
今回聞かせていただいた話のなかでは,麻の実に発芽能力があるか無いかを見わける方法が興味深いものでした.
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アサは大麻取り締まり法で栽培が厳しく規制されている植物です.
しかし,麻の実は七味唐辛子の中に含まれています.また,鳥のエサとしても市販されています.
このように合法的に販売されている麻の実には,発芽しないような処理が施されているのです.
一方,違法に麻を栽培することを目的に取引されている麻の実は,当然,発芽能力を持ちます.この場合,取り締まりの対象となります.
そのため,麻の実が発芽能力を持つか持たないかを簡単に見わける方法が必要とされてきました.
東京都薬用植物園では,そのための方法を発見しました.
実から皮をはがすと折れ曲がった茎が出てきます.これを温水に浸けると,発芽能力をもつ実の場合には,茎が伸びるのです.
この発見によって,食用と偽って取引されている違法な実を,その場で取り締まることができるようになったそうです.
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薬用植物園では二重のフェンスで区切られた特別エリアで栽培が行われています.
今回も特別にこのエリアに入れていただき,アサの葉や茎のしくみを説明していただきました.
猛暑の影響で今年は育ちが速く,すでに葉が落ちている個体もありました.
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また,麻の葉を食べる虫が多量に発生したらしく,葉という葉には虫に食われた小さな穴が開いていました.
麻の葉を食べた虫に,薬品作用による特別な変化が見られるわけではないそうです.
温室の中の一区画ではコカインの原料となるコカが育てられています.
コカは熱帯の植物で,日本では屋外で育てることはできません.
違法に流通しているコカインはすべて輸入品です
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コカには赤い実がなります.見るからに何か危険な成分が含まれているように感じられる色をしていますが,ここにはコカインの成分はほとんど含まれていないそうです.