新橋にある航空会館8階で開催された,白門応用化学教職員会で,私がここ数年間取り組んでいる研究課題について講演してきました.
白門応用化学教職員会は中央大学理工学部応用化学科(旧 工業化学科)を卒業した教職員の集まりです.東京周辺の高校で化学を教えている教員が多いのですが,生物や物理を掛け持ちしている教員もいます.
隔年で講演会を開催しており,卒業生が招待されることが多いようです.前回は中央大学で無機化学を研究されている先生が講演されました.その先生にご推薦いただき,私が今回講演させて頂くことになった,という経緯があります.
講演内容は2008年に英国王立化学会の学術誌に掲載された研究報告を中心にしました.
DNAやたんぱく質のかかわる生化学反応を組みあわせて機能を持たせる,という試みです.
昨今の高校理科事情
講演の後に,参加者の近況報告がありました.どの先生も理科教育を含めて中等学校の教育に熱心に取り組まれつつ,苦労されている様子がわかりました.
多くの先生がお嘆きになっているのは,数学の学習内容が大幅に削減されてきた影響を化学が受けていることでした.たとえばlogがわからない学生が増えた結果,pHの計算問題を解かせることができなくなってしまったとか,分数の計算を正しくできない学生が増えたため,部分点を与えないとテストで合格点を出せなくなってしまったとか.
いわゆる進学校に分類される私立高校で化学を担当されている若手の先生も,ここ数年の計算力低下が激しく,教える方も教わる方も苦労しているとおっしゃっていました.
大学では
参加者全員の近況報告が終わったところで,学生の計算力に関して,
「大学ではどうですか?」
ときかれたので,高校化学リメディアルで分数の計算方法を教えたり,
化学講義の途中で小数の計算方法とか単位の変換方法を教えたり,
ということをやっていると話しました.
そうしたところ,「こういった内容は大学でも教えてやらないと専門科目に付いていけないでしょう」との意見を何人かの先生方からいただくことになりました.
今後も基礎を
というあたりで,後期からはモル濃度とpHが出てくることを思い出しました.昨年度,計算ミスが多発するところだったことを思い出し,今年度は計算の基礎を含めた講義にする計画です.