Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

文科省検定中学校理科教科書制作をちょこっとお手伝いしました:『理科の世界1』(大日本図書株式会社,中学校1年生向け)

中学校1年生が理科を学ぶ文科省検定教科書づくりをちょこっとお手伝いしました.

大日本図書株式会社の中学校1年生向け理科教科書『理科の世界1』の,73ページが該当します.

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↑大日本図書株式会社『理科の世界1』73ページ*1

このページは「実験ノートの書き方」と「実験ノートの重要性」の2項目から構成されています.

ここに記されている内容は,私がブログで公開してきた『実験ノートには何を記録するのか?』を中学生向けに再構成したものです.

www.tnojima.net

そのことは,この教科書を使って授業を進める理科教員向けにつくられた「教師用指導書」に記されています.

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↑大日本図書株式会社『理科の世界1』教師用指導書253ページの一部.

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↑大日本図書株式会社『理科の世界1』教師用指導書370ページの一部.

なお,この『実験ノートには何を記録するのか?』記事は,私が2011年度から担当している「大学基礎演習 #リケスタ 」のためにつくったものです*2

経緯

この件は2014年2月19日,東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設教授の 鍵 裕之 先生 @hirokagi から連絡をいただいたところまでさかのぼります.

鍵先生は大日本図書の中学理科教科書執筆者のお一人です.編集会議で,「中学校の教科書にも実験ノートの書き方というコーナーを設けたらどうだろうか」というアイデアが提案され,参考資料として私のブログ記事が紹介された,ということを教えていただきました.このあたりがスタートになっていたようです.

その後,大日本図書株式会社の編集担当の方から連絡があり,順調に検定をパスすれば平成28年度(2016年度)から全国の中学校で使用されることになる,ということを教えていただきました.

中学校1年生の理科の教科書に「実験レポートの書き方」を説明した前例はあるものの,「実験ノートの書き方」を説明した例はこれまでに無いとのことで,この件が順調に進めば「本邦初!」のアイデアを実現するお手伝いができることとなり,とても楽しみしていました.

ちょうどその頃,理化学研究所でSTAP細胞事件が起き始めていました.2月の段階では,研究論文に不適切な画像データが用いられているのではないか,という疑いが持たれていました.

そのうちに「STAP細胞研究の実験ノートは3年間で2冊」っていうことが報道されるようになり,「実験ノートを記録することの重要さ」が全国的に再確認されるようになったのでした.

「中学生にどうやって実験ノートを書かせるか?」っていう問題設定は革新的です(私のアイデアではありません).

#記憶より記録

信頼できるのは記憶ではなく記録です.そのために自然科学や工学の研究では実験記録を残すのです.業務日誌を記録する職業もあります.カルテに記載しない医師はいないでしょう.

ということを学ぶために理工系大学*3では卒業研究開始までの期間に実験科目を開講し,記録を残し,それに基づいてレポートを書く,という「作法」を学ぶわけです.

しかし,こういった「作法」は,理工系の仕事だけでなく,ありとあらゆる場面で応用できるものです.記録を残し,それに基づいてものごとを考える,という習慣を身に付ける時期は人生で早ければ早いほど良いものです.

というわけで,今回の大日本図書『理科の世界1』が文部科学省検定教科書として全国で使用されることによって,中学校1年生の時点で「記録を残す」ことの意義を理解する中学生が増えることに期待しています.

たいへん良いお手伝いができたと考えています.

リンク

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*1:この記事内で教科書紙面や指導書紙面の一部を使用することに関しては出版社の承諾を得ています.

*2:科目名はときどき変更になってます.

*3:理学部と工学部に限定せず,自然科学に関連する全コースを含めて考えてます.