[演習]手持ちの情報と知識で決断を下す
世の中には主観的に判断を下さなければならない場面というものがあります.
「正解が存在するわけではないが,決定しなければならない」という場面です.
科学や法律に基づいて正しさを検証する際に求められる「客観性」とは異なる考え方です.
ものごとを「自分で決める」わけです.これを今回からの演習のテーマとします.
手持ちの情報と知識と思考に基づいて,「あなただったらどうするか?」を決めてみるグループワークです.
今年度のテーマとして選んだのは,「駅構内列車案内電光掲示板の外国語表示を決める権限が与えられた場合,『あなただったらどうするか』」です.
この課題のバックグラウンド
外国人旅客へのサービスとして,駅構内の電光掲示板を日本語以外の言語でも表示するようになりました.
まずは国際的な標準語となっている英語表示がとりいれられるようになりました.
続いて,韓国語や中国語による表示も併記されるようになってきました.これらの国々からの入国者数が増えているからです.
さて,サービス向上のためには,どこまで多言語表示をすべきなのでしょうか?
ここは日本なのだから日本語だけで良い,というのもありだし,国際標準語となっている英語を併記すればそれで良い,というのもありだし,いっそのこと英語表記だけにしてしまうとか,あるいは,リクエストのあった全言語を対応させる,なんていう可能性だってあります.
もしも「あなただったら」どのような表示方法にしますか?
4グループそれぞれで,「とりあえずどうするか?」を20分間で決め,その結論と根拠をそれぞれ約2分間で発表しました.
[ホームワークと次週グループワーク]下した決断を見直す
今回の演習では6グループがそれぞれ「いったん決断を下す」ことをやりました.
そして,それぞれのグループは互いにどのように決断を下したのかを知りました.
その結果,自分たちの決断を見直す必要性が生じた可能性もあります.
また,20分間という限られた時間で下した決断なので,時間をかけて考え直せば,異なる結論に至る可能性もあります.
そこで1週間の時間を取り,下した決断を見直すことにします.
次回の演習で,「この1週間でどのように考え方が変わった(変わらなかった)か」を発表してもらいます.
6グループはそれぞれどのような最終決定を下すでしょうか.
[演習の解説]調査レポートと30秒間トーク
大学基礎演習 #リケスタ の最終課題は「調査レポート」と,そのレポートで調査対象となっているものごとについての「30秒間トーク」です.
レポートは第13回目の演習(7月12日)で提出,この日に30秒トークを行います.
その1週間前,第12回目の演習(7月5日)がテーマの届出日です.
1 調査レポートのテーマと内容
テーマは,身の周りの技術/製品/サービス/その他の中から自由に選んでOKです.レポートの内容は次のとおりです.
- それがどういうものなのかを紹介する.
- それが登場することによって「人間生活や社会」がどのように変化したか,影響を受けたか,の歴史を説明する.
- その「技術/製品/サービス」は,「今後10年」でどのように変化/進歩/発展/衰退して行くのか,を予測する.
レポートの体裁は,ガイダンス期間に配付された「レポートガイドブック」 を読んで自分で判断します.枚数は,A4サイズで5枚程度を目安とします.
テーマを決めることも,いま進めている「主観的に結論を下す」演習の一つです.
2 テーマをどのように選ぶか
A4で5枚,というサイズのレポートにするためには,述べる対象もそれに見合ったサイズに絞る必要があります.
たとえば「乗り物」なんていうテーマだと,自動車から舟から飛行機からスペースシャトルからメリーゴーランドまで含まれてしまい,レポートになりません.
そこでたとえば「自動車」に絞りこんでみます.これでもダンプカーなのか軽自動車なのか路線バスなのかレーシングカーなのか限定しないとまとまりません.
そこで「軽自動車」に絞ってみれば,A4で5枚程度のレポートとして手頃でしょう.
もうちょっと絞って「家庭向けの国産軽自動車」としてみると,もっと書きやすくなるでしょう.
過去2年間のテーマを例として紹介しました.
3 30秒間トーク
これは「エレベータートーク」と呼ばれるトークをヒントにした演習です.
たとえば10年後のあなたが,何か新しい事業を始めようとしているとしましょう.
そのために出資してくれそうな人をたずね歩いています.
ある日,あなたは高層ビルで乗り込んだエレベーターの中で,数日前に会った投資家と偶然いっしょになりました.
「あ,この前の話ですけどね,ようするに何をやろうとしているのか,手短に説明してくれませんかね?」
そんなことを急に言われたあなたは,エレベーターのドアが開くまでの限られた時間で,印象的な売り込みトークをしなければなりません.
これから先,限られた時間内でものごとを手短に説明しなければならない場面が必ずやってきます.
この演習は,そのときに備えるトレーニングでもあります.今回のレポート課題に選んだテーマは,自分が興味と関心をもっているテーマです.
その内容を30秒間で魅力的にアピールすることが次回の演習課題になります.
30秒間というと,日本語では約200文字になります.これくらいの文字数です↓
二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.二百文字というとこの枠内の文字数と同じ.
小学校の頃から使ってきた400字詰め原稿用紙の半分.
これまで「どうやって指定枚数ぶんの文字を埋めるか」とか「どうやって枚数を稼ぐか」といったことは考えてきたことでしょうが,どうやって200字に収めるか,なんてことを考えたことはなかったかもしれません.
たくさん書くのよりも指定文字数に収めることの方が難しいということを実感する演習になります.
こういうとき良いお手本になっているのが,映画の予告編動画とか,TVのコマーシャルとかです.
映画の予告編は,本編と同じ順番で各場面を選び取って時系列に並べたものではありません.
本編ストーリーの進行順序に束縛されることなく,その映画を観に行きたくなるようなシーンをつないで行ったものです.
今回の30秒トークも,レポートの構成とは無関係に,自分が選んだ対象について自由にその魅力をアピールすることが課題となります.
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