講義内容要約
- 合成化学の技術が進歩したので,ペプチドもDNAも有機化学合成することができるようになった.
- 生体高分子の化学合成はタイヘンな作業なので,コンピュータ制御のシンセサイザーを用いた自動合成法が用いられている.
- 短い一本鎖DNAと,耐熱性DNA合成酵素と,温度可変装置を組み合わせることによって,遺伝子中の特定領域を増幅する方法がPCR.コレは20世紀のバイオテクノロジー+バイオサイエンスに最もインパクトを与えた技術.
- 蛍光色素を共有結合したddNTPsを混ぜておくDNA合成反応によって,DNAの塩基配列を解読することができる.
- DNA塩基配列解読技術を用いて,人間を含むさまざまな生物のゲノムDNAが解読されてきたし,これからも解読されていく.
キーワード
ddNTPs,DNAシーケンサー,DNAシーケンシング,DNAシンセサイザー,dNTPs,遺伝子工学,液相法ペプチド合成,組換え遺伝子実験,蛍光色素,ゲノムプロジェクト,サーマルサイクラー,固相法ペプチド合成,耐熱性DNA合成酵素,プライマーDNA,ペプチドシンセサイザー,保護基,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR),メリフィールド法
関連情報
PCR
DNAシーケンシング
2017年にゲノムが解読された生き物の紹介
- 1月,ゴーヤー,『ゴーヤーの全ゲノム解読に成功「苦み少なく」「ビタミンC豊富」新品種の育成に期待』
- 2月,キヌア,『重要作物キヌアのゲノム塩基配列が改良に役立つ可能性』
- 2月,フクロユキノシタ,『食虫植物フクロユキノシタのゲノム解読で食虫性の進化解明への糸口を開く』
- 3月,アラビカ種コーヒー,『ゲノム解読で「コーヒー・ルネッサンス」がやってくる』
- 4月,オオムギ,『穀類ゲノムの収納術:オオムギのゲノムから染色体の区画化が明らかに』
- 4月,オニヒトデ,『「オニヒトデホイホイ」できるかも? OISTが全ゲノム解読、駆除効率化に期待』
- 7月,ノイバラ,『サントリーHD、研究会社が野生バラ「ノイバラ」のゲノム解読、品種改良に貢献』
- 8月,クマムシ,『「地上最強生物」クマムシ2種の比較ゲノム解析 慶應義塾大学』
- 9月,緑藻,『緑藻の酸性適応解明=屋外生産に応用期待-遺伝研など』
- 9月,ラン,『【遺伝学】ランの起源を突き止めるためのゲノム塩基配列解読』
- 9月,穀類トウジンビエ,『雑穀トウジンビエのゲノム初解読 乾燥地帯救う助けに』
- 9月,ヤガ類,『東アジアの重要害虫であるヤガ類のゲノムに見られる多食性および殺虫剤への適応』
- 10月,ドリアン,『ドリアンのゲノムほぼ解読、絶滅危惧種保護にも期待』
- 10月,ハブ,『ハブの毒に偶然の「進化」 OISTがゲノムを解読、治療応用に期待』
- 10月,ネアンデルタール人女性(2例目),『ネアンデルタール人のゲノム解読、我々の病に影響』
- 10月,ゼニゴケ,『京大などゼニゴケのゲノム解読 陸上植物の進化の謎解明へ』
後期試験についての説明
確認問題
質問
- 前期と後期と合わせて160点で優ですか?
160点なら優.2回を平均して四捨五入して80点で優.
PCR法を見つけた時にほったらかしにされた彼女はその後どうなったんでしょうか?
マリス博士が受賞式前後に同伴していた人物は,PCR発明時の彼女ではない,というところまでは知られています.
コメント
- 暗記は苦手ですが,冬休みもあるので試験頑張ります.
- アメリカで口の中の細胞から先祖が明らかにできるという話をきいて とても驚きました.また,毛根にその人のDNAの情報が全部入っていることも初めて知ってとても驚きました.
- 髪の毛一本でもその人がわかってしまうと怖いと思いました.
- 生物学で学んだ範囲がまた少し関連している内容で理解しやすく,化学と生物は思っている以上に密接なのかもしれないと感じました.また,遺伝解析の技術など発展している現代のすごさにも驚き,感心しました.まだ私自身が知らない技術がたくさんあるなと思いました.
- 今年だけでもあれほど多くの生き物や植物のDNAを解読していることにとても驚きました.
- 人類はここ100年くらいで数多くの偉大なことを成し遂げていて改めてすごいと思った.
- PCRすごいと思いました.
- PCR法は高校の生物で習ったのでなんとなく思えていました.
ノーベル賞を2回も受賞していた人がいるのを初めて知り.ノーベル賞というのは同じ人で2回取れるということに驚いた.
2回受賞者が4名います.
- マリー・キュリー(ポーランド),1903物理学,1911化学
- ライナス・ポーリング(アメリカ),1954化学,1962平和
- フレデリック・サンガー(イギリス),1958化学,1980化学
- ジョン・バーディーン(アメリカ),1956物理学,1972物理学
出席者数推移
金曜2限出席者数推移
— 野島 高彦【化学】 (@TakahikoNojima) 2017年12月8日
前期:62→61→62→62→60→58→60→61→59→59→50→55→57→51
後期:55→46→50→43→45→42→39→45→44→37→37→40→45(今回)
またちょこっと戻った
次回予告と予習内容
医療や生命科学に関連する化学は今どこまで進展しており,これから先の10年間でどのように発展するのでしょうか.2027年の化学(医療関連)を考えます.2017年度の水曜1限化学講義は最終回になります.
参考書籍

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