キーワード
移行,開環重合,可塑剤,共重合,重合度,重付加,縮合重合,熱可塑性,熱硬化性,微結晶,平均分子量,無定型
講義内容要約
- 人工ポリマーはイロイロな分子量のものが集まっているので,分子量としては平均分子量を考える.コレは浸透圧測定から求められる.πV=nRT=(w/M)RTからMを求める.
- モノマーのつながり方としては縮合重合と付加重合がメインで,他に重付加とか開環重合とかもある.
- ビニル系ポリマーは付加重合で,PETや6,6-ナイロンは縮合重合で合成される.
- 2種類以上のモノマーを重合させる方法が共重合で,一本のポリマー分子の中に2種類以上のモノマーが含まれることによって新しい機能を持たせることができる.難燃性繊維とかサランラップとか.
- 熱すると軟らかくなり冷ますと固くなるポリマーが熱可塑性ポリマー,熱すると固くなり冷ましても変わらないポリマーが熱硬化性ポリマー.
- ペットボトルの成形技術
- もろいポリマーに加えてしなやかな材料にする物質が可塑剤で,フタル酸エステルが用いられることが多い.
- ケシゴムをプラスチック製品の上に載っけて放置しとくとくっついてしまう現象は「移行」といって,可塑剤のシワザ.
- 二重結合をもつポリマーとビニル系モノマーとを共重合させることによって頑丈な樹脂を合成できる.重合時に繊維を混ぜておくことによって,さらに頑丈な複合材料をつくることができる.コレがFRP.
関連情報
スーパーカーのボディ
炭素繊維は乗り物のボディにも使われています.昨年の9月,三菱レイヨンとランボルギーニとの共同開発について報道がありました.
ジャンボジェットのボディ
ボーイング787のボディが炭素繊維で作られていることを紹介しました.炭素繊維の応用については産総研のサイトに紹介記事があります.
また,具体的にボディのどのあたりにどのような材料が用いられているのかは,ボーイング社が技術資料を公開しています.
ナイロンの開発者
6,6-ナイロンを開発したカローザスは,じつはポリエステルの開発も手がけていたものの,PETを検討するところまで行きませんでした.このあたりの解説(PDF).
- 緒方 直哉(2007),カローザスのナイロンの合成,高分子,56,14-17.
質問+コメント
- ストッキングは高校生の時とか冬に毎日はいていたので改めて開発した人ありがとう!と思いました.
- 合成ポリマーのおかげで もしかしたら木を切り倒す必要のない世の中になるかもしれないと思うと,本当にすごいことだと思いました.でも,そのポリマーの原料は石油からつくられていると考えると,結局は資源が必要なので,何はともあれ,物は大切にしようと思います.
- 私達が普段生きていくのに欠かせない服の繊維について(性質やしくみなど)よく理解できて面白かったです.この現在の発展のきっかけを作ったカローザスはすごいと思い,有機化学に全て身を投じられるほど好きなことに対しても感心しました.
- カローザスさんありがとう
- カローザスですか,カロザースですか?
Carothers
- カローザスの話を聞いて幸せの形は人それぞれだということがわかりました.自分がされてうれしいことは他の人にとってもうれしいことだと思いがちだけれど そうではないこともあるのだなと思いました.
- 自分の思い描く幸せと他人の幸せは異なるものであるから,無理に自分の意見を押しつけてはいけないなと思った.
- 幸せの形は みんな違ってみんないいと思った.他人の幸せに外野が口を出すものじゃないと思う.
- ペットボトルがあのように作られているとは思っていなかったので今回知れて面白かったです.
- ペットボトルのしくみなど色々なものがどのようにできているかが知れておもしろかった.
- 消しゴムがくっついてしまう経験があるので,化学的な仕組みがわかっておもしろかった.
- 消しゴムはポリ塩化ビニルと可塑剤があわさってあのようなやわらかさになっていたことをはじめて知りました.よく消しやすい消しゴムと 消しにくい消しゴムがあるのですが,何か化学と関連があるのですか?
化学野問題なんだけど具体的に何が変わるとどうなるのかはイロイロ可能性があってどれだかわかんない.
- ミラクルニキがかわいいのでインストールしました.
出席者数推移
金曜2限出席者数推移
— 野島 高彦【化学】 (@TakahikoNojima) 2017年12月1日
前期:(1)62→61→62→62→60→58→60→61→59→59→50→55→57→51
後期:(16)55→46→50→43→45→42→39→45→44→37→37→40(今回)
ちょこっと戻った.
月22日
参考リンク
人工ポリマーについては「高分子未来塾」のサイトが一般向けにわかりやすい情報を公開しています.
次回予告と自宅学習
バイオテクノロジーを支援する有機化学について学びます.配布物を読んで来ること.
参考書籍
- 作者: ジェイ・バーレサン,ペニー・ルクーター,小林力
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/11/24
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- 購入: 2人 クリック: 128回
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- 作者: 山崎幹夫
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- 作者: マクマリー,John McMurry,伊東〓,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
- 出版社/メーカー: 東京化学同人
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- 作者: 高分子学会
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