Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

看護学科の化学講義(16)水と溶液

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後期化学講義の計画についての説明

シラバスどおりに進めます.最終的には第29回「2026年の化学」で1年間のストーリーが完結する設計になっています.

キーワード

凝固点降下,強電解質,結晶化,結晶水,再結晶,結石,弱電解質,蒸気圧降下,水和,水和水,水和物,束一性,沈殿,電解質,電離,非電解質,沸点上昇,不凍液,飽和濃度,無水物,モル凝固点降下,モル沸点上昇,溶解,溶解度.

講義内容要約

  • 食塩が水に溶けるときはNa+とCl-にイオン化し,それぞれが水分子に取り囲まれる.水中でイオン化する溶質は電解質.
  • 砂糖が水に溶けるときは砂糖分子が水分子に取り囲まれる.水中でイオン化しない溶質は非電解質.
  • ほぼ完全に電離するのが強電解質,部分的に電離するのが弱電離質,電離しないのが非電解質.
  • 似たものどうしはよく溶ける/よく混ざり合う.
  • 100 gの溶媒に溶ける溶質の量をグラムであらわしたときの数値部分が溶解度.
  • 溶解度には温度依存性があり,それを利用すると再結晶による精製ができる.
  • 水和した水分子が結晶の中に含まれているのが結晶水で,結晶水を含む結晶が水和物,含まなければ無水物.
  • 電解質を混ぜてイオンどうしをシャッフルして水に溶けない組み合わせが一つでもできれば沈殿が生じる.
  • 何が溶けているか,ではなくて,粒子が何コ溶けているか,で決まる性質が束一性.蒸気圧効果,沸点上昇,凝固点降下,などなど.

該当する教科書のページ

第12章,137ページから148ページ

はじめて学ぶ化学

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出席者数推移

(1)64→(2)66→(3)64→(4)65→(5)64→(6)62→(7)61→(8)60→(9)60→(10)63
→(11)62→(12)59→(13)58→(14)60
(16)60

次回予告と予習内容

「(17)透析と浸透圧」を学びます.教科書第13章を予習してくること.

前期試験について

前期試験略解を配布しました.

後期試験範囲には前期試験範囲も入るので,できなかったところをできる状態にしておくこと.