Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

看護学科の化学講義(24)酸素を含む有機化合物その2

f:id:takahikonojima:20131117185201p:plain

キーワード

エステル化,けん化,生分解性ポリマー,せっけん,フィッシャーのエステル合成,プロドラッグ,油脂

今回でてきた有機化合物で,構造と名前を覚えておかなければならないもの(すでに登場したものも含む)

エタノール,エチレングリコール,グリコール酸,グリセリン,酢酸,酢酸エチル,サリチル酸,サリチル酸メチル,テレフタル酸,乳酸,ポリエチレンテレフタラート(PET),ポリグリコール酸(PGA),ポリ乳酸(PLA),メタノール,油脂.

講義内容要約

  • 酸を触媒に用いてアルコールとカルボン酸を脱水縮合させるとエステルが得られる.これをフィッシャーのエステル合成と呼ぶ.
  • フィッシャーのエステル合成は可逆反応.
  • フルーツの香りは,さまざまなエステルによるものが多い.
  • 医薬品のカルボン酸をエステル化して細胞膜透過性を高めたものがプロドラッグで,体内の加水分解酵素でカルボン酸に戻り,薬効を示すようになる.
  • エステルを強塩基と反応させてカルボン酸の金属塩にする反応が けん化.
  • 3分子の,炭素数が18から20程度のカルボン酸がグリセリンと脱水縮合した構造の化合物が油脂で,油脂をNaOHで処理して得られる,カルボン酸のNa塩がセッケン.
  • エステルのポリマーがポリエステルで,PETはその代表的な化合物.
  • 生分解性ポリエステルは,抜糸手術の不要な縫合糸として利用されている.
  • アルコール,アルデヒド,ケトン,カルボン酸は水素結合する.
  • カルボン酸は分子間で水素結合して見かけの分子量が2倍になるから沸点や融点が高い.

確認問題

  • エステルの加水分解に関する基本問題

出席者の声:みんなはこういうことを考えている/感じている/知りたいと思っている

●せっけんのケン化について質問です.ケン化する際に温度と湿度が高すぎるとうまく反応がおきず,かたまらないと聞きました.何か温度や湿度に関係なく確実に固められる方法ありませんか?

絶対に無いとは言い切れませんが,温度や湿度は化学反応を確実に進めるために必要な条件なのです.

f:id:takahikonojima:20141116162618p:plain

左はベンゼン環の略号,右は電子の移動.

●高校時代,部員によくサロメチールを渡していたので懐かしかったです.前回よりも今回のほうがなんとなくわかる気がします.復習がんばります.
●エステル化が難しかったです.家で復習したいと思います.
●有機はむずかしいです.テスト大変そうでおそろしいです.
●有機は高校の頃大好きだったので楽しかったです!
●有機難しいですが好きなのでがんばります!!
●有機で化学が嫌いになったのでがんばります
●名前が多く覚えられるか不安です.
●構造式を見て名称を答えられるようにしたい.
●構造式と名前を覚えなくちゃ!と思いました.大変そうです(>_<)
●物質名が全くわからなくて困惑してしまいました!
●名前の付け方がいまいち分からないところがあったので復習したいです.
●復習しようと思います.テスト前に焦らないように頑張ります.
●しっかり全部復習してつながるように頑張りたいです!
●せっけんをつくる反応の部分を学んで高校のときの石けんをつくったのを思い出しました.
●アルコールは危ないものだなと改めて思いました.
●アルコールって危険なんですね.
●私も部活などで飲み会に行きます.一年生ではまだそんなに飲まされはしませんが,ノリで人に一気飲みはさせないようにしたいし,なにより,本当にあぶなくなる前にまわりをとめられる人にもなりたいと思います.
●日本人の遺伝的にお酒に弱い人もたくさんいることを理解して,自分のタイプを知った上で将来楽しみたいと思った.
●難しい!!
●全然わかりませんでした.
●確認問題よくわかりませんでした(泣).もっとしっかり復習します.
●もうわかんなくなってきました.がんばります.
●いつも板書ばっかして説明全然聞けてなかったので,今日はプリントに書き込みスタイルに変えたら,説明ちゃんときけてよくわかったから,今度からそうします(^o^)
●ポリエステルで縫ってみたい.
●有機化合物苦手なので復習します.焼きいも行けたら行きたいです.
●12/5(金)部活なかったら行きたいです.何時までですか?あと,上の問の還元がどこまでなのか迷いました.
●最後のまとめで少しスッキリしました.でもちゃんと復習しないとあかんです...

出席者数推移

(1)44→(2)44→(3)43→(4)44→(5)43→(6)43→(7)42→
(8)43→(9)43→(10)41→(11)43→(12)43→(13)42→(14)41→
(16)41→(17)29→(18)35→(19)36→(20)35→(21)37→
(22)32→(23)- →(24)35

次回予告と予習内容

ベンゼン環を含む有機化合物について学びます.イロイロな化合物が出て来るし,これまでに学んでいない概念も出て来るので,配布物で必ず予習し,理解できない点について講義で学ぶやり方をすること.いきなり90分間の講義を聞いてすべてを理解しようとするのは無謀です.

有機化学のSNS/web連動企画を始めたよ!

このブログを書いている人


野島高彦(@Takahiko NOJIMA)はこういう人 - 大学1年生の化学(北里大学・野島高彦)

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

参考書籍

有機電子論解説―有機化学の基礎

有機電子論解説―有機化学の基礎

マクマリー有機化学〈中〉

マクマリー有機化学〈中〉

  • 作者: マクマリー,John McMurry,伊東〓,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る
図解でわかる 有機化学のしくみ

図解でわかる 有機化学のしくみ