Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

看護学科の化学講義(17)透析と浸透圧

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キーワード

オスモル濃度,キセロゲル,血液透析,ゲル,懸濁,懸濁液,高張溶液,コロイド,コロイド分散系,コロイド溶液,浸透,浸透圧,生理的食塩水,ゾル,チンダル現象,低張溶液,透析,透析膜,等張溶液,半透膜,ファントホッフの法則,物理吸着,ブラウン運動,分散,分散媒,分子コロイド,ミセル,ミセルコロイド,溶血

講義内容要約

  • 水は通すが溶質は通らない膜が半透膜.
  • 半透膜を隔てて濃度の異なる溶液が接していると,低濃度溶液から高濃度溶液に水が浸透して行く.
  • 浸透して増えた体積を元に戻すために必要な圧力が浸透圧.
  • ファントホッフの法則π=CRT
  • 浸透圧測定を行って高分子のモル質量を測定できる:M = wRT/(πV).
  • 溶かす前ではなく溶かした後の粒子の濃度を表すのがオスモル濃度.非SI単位.
  • 粒子サイズによって水の混合物を溶液,コロイド溶液,懸濁液に分類する.
  • さまざまなコロイドがある:気体,液体,固体の組み合わせ8通り.
  • コロイドにはさまざまな特性がある:物理吸着能,ブラウン運動,チンダル現象.
  • 溶液は通すが高分子は通さない膜が透析膜.
  • 透析膜を使って生体高分子や細胞内小器官を分離精製できる.
  • 半透膜のファイバーを使って溶液交換を行い,血液中の老廃物を除去する医療技術が人工血液透析.

該当する教科書のページ

第13章,149ページから160ページ

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

関連トピック

人工透析患者数の推移

2011年末に国内患者数が30万人を突破しました.昨年末の段階で2013年12月現在,日本人の405人に1人は人工透析を必要とする患者です.

2011年末に初めて30万人を超えたわが国の慢性透析患者数は2013年末には314,180人となった。この数は、前年より4,173人の増加である。2005年ころまで年間約1万人ずつ増加していたが、近年慢性透析患者数の増加が鈍ってきていて、2013年中の患者数の増加は、前年度の増加5,151人をさらに下回った。

出席者の声:みんなはこういうことを考えている/感じている/知りたいと思っている

●コロイドの特性で,透析のところで水や老廃物は透析膜を通り抜けられるということは,ふたたび透析膜の内側に戻ってしまうことはないのですか?

戻ってくるもののあります.でも,戻ってくるのよりも出て行くものの方が圧倒的に多いので大丈夫なのです.

●電子レンジはコロイドのおかげでものを温められるということなんですかね?

コロイドが電子レンジで温まる場合は,コロイド中の水分が電子レンジで加熱されるから,といったあたりです.

●人工透析って何ですか? このプリントがわかりません.

北里大学病院血液浄化センターの公式サイトにくわしい情報が書かれています.

●要望なんですが黒板を半分に分けて使ってほしいです.ノート書いててちょっと焦るときがあるのでお願いします! 半分の方が書きやすいので.

すみません.そうします(たぶん).

●細かすぎて見えない世界を理解するって難しいですね.
●自分の身の回りのものでもコロイドはたくさんあるということを知りました.
●医療系のことを学べてよかったです.
●最後のほうの話がおもしろかったです.コロイドがたくさん世の中にあると思った.
●先週もらったプリントは計画的にやろうと思っています.
●途中何がなんだかわからなくて挫折しそうになったんですが,医療と関係してたのでやる気がでました.
●初めて聞く言葉がたくさんあって頭が混乱しました.
●この問題がよくわかりません.
●この計算,よくわかんないのでプリント見直しときます.
●浸透圧のところ苦手なのでちゃんとやる.
●浸透圧はとても苦手なのでよく復習します.
●私の身の回りにはたくさんのコロイドで出来たものが存在するんだなぁと思うと同時に,自分自身多くのコロイドに支えられているのだなと思う.
●生活にある身近なものがコロイドであるものが多いと知って驚きました.
●世の中にはコロイドが含まれているものが多く存在することが分かりました.
●木漏れ日がチンダル現象とは知らなかったので,チンダル現象ってきれいなんだなぁと思いました.
●鼻に水が入ると痛いのって浸透圧が関係していたとは思いもしなかったです.
●鼻うがいは今までとてもつらいものだったけれど今度から塩混ぜてみます!!
●水の混合物のところが粒子の大きさによって通れるか通れないかよくよく考えると不思議でした.
●今日の講義の内容は高校のときあまり理解できなかった部分なので,テストで点をとれるよう復習します.
●高校で少しやったので良い復習になりました! 将来,看護師になったときに役に立つ知識が身についてうれしかったです.もっとたくさん知識を増やしていきたいです!
●浸透圧の内容は生物でも学んだことがあったので理解しやすかったです.でも化学の話をまじえながらは初めてでした!

出席者数推移

(1)44→(2)44→(3)43→(4)44→(5)43→(6)43→(7)42→
(8)43→(9)43→(10)41→(11)43→(12)43→(13)42→(14)41→
(16)41→(17)29

次回予告と予習内容

「(18)酸と塩基」を学びます.教科書第14章を予習してくること.

このブログを書いている人


野島高彦(@Takahiko NOJIMA)はこういう人 - 大学1年生の化学(北里大学・野島高彦)