Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

看護学部の化学講義(8)モルと化学反応式

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キーワード

mol,アボガドロ定数,化学反応式,原子量,式量,質量保存則,生成物,反応物,標準状態,物質量,モル質量,モル体積,分子量

講義内容の要約

  • 小さな粒子をひとまとめにして扱うときに使うSI基本単位がmolで,量の種類は物質量.
  • 1 molの定義は12 gちょうどの12Cに含まれるC原子の数.
  • 粒子の個数と物質量を結ぶのがアボガドロ定数NA = 6.02×1023 mol-1で,コレは実測値.
  • 1 molの質量がモル質量.
  • モル質量の数値部分が原子量,分子量,あるいは式量.
  • 化学式を組み合わせて化学反応をあらわすのが化学反応式
  • 反応する前の材料が反応物,反応で生じる物質が生成物.
  • 化学反応式の係数つりあわせには未定係数法が便利.
  • 種類を問わず1 molの気体は標準状態(0 ℃,1013 hPa)で22.4 Lの体積を占める→標準状態における気体のモル体積は22.4 L mol-1
  • 化学反応式から反応の前後における物質の量的関係がわかる→何個か何モルか何リットルか何グラムか.
  • 化学反応の前後で原子の種類と数は変わらない→化学反応は原子と原子の組み合わせが変わるだけ.

該当する教科書のページ

第5章「化学反応式とモル」,49ページから64ページ.

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

初歩的参考書

モルがまったくダメな人にはこういう入門書もあります↓

マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー (ブルーバックス)

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講義内容に関連したトピック

日本国の国家予算をモルで考えると

1 molの1円玉があったら何ができるでしょうか? 国家予算との比を計算してみました.
2013年度の日本国国家予算(一般会計)は92兆6115億円(9.26×10^9円)です.

6.02×10^23円をこの金額で割ってみます.
(6.02×10^23)/(9.26×10^9) = 6.50×10^9
65億倍になります.6.02×10^23個の1円玉があれば,我が国の一般会計を65億年間維持することができるのです.
次に地球スケールで考えてみました.
地球上の海水の質量は1.35×1024 gと見積もられています.コレを6.02×1023 gで割ってみましょう.
(1.35×1024 g)/(6.02×1023 g) = 2.24
地球上の海水の4割強の重さになります.

アボガドロ定数の精密測定

物理量に依存していない唯一のSI単位「キログラム」が再定義されようとしています.フランスに保管されている「キログラム原器」に依存するのをやめて,原子の個数と質量とから計算する方法を採用しようとしているのです.そのためにはアボガドロ定数を精密に測定する技術が必要です.ここには日本の研究機関も大きく貢献しています.

確認問題

コメント

●高1のときやったときはモルのところをよくわかりませんでしたが今日の量的関係の図を見てすごいすっきりしました! あろ,6.02×1023ってなにげなく使っていたけどとてつもなく大きい数だとわかりました.●molが便利なものであることを実感した! 次回の濃度はぜひともやっつけたいです.●6.02×1023を1円玉におきかえると国の国家予算の何十億年分にもなったので想像できない量だなと思いました.●最後のモルの1円玉の話がおもしろかったです.いつも「23乗とかいくつよ(笑)」と思っていたので,規模の大きさに驚けただけでも進歩です!●とにかくモルになおすことが大切なんだなと感心しました.●分子量の計算は高校のときにやっていたけどSI単位の定義など忘れていたこともあったのでこれからきちんと復習して行こうと思った.NAが現在も測定中だということは非常に興味深かった.●質量の定義できるようになるといいですね.●1 kgの定義が金属のかたまりだとは思いませんでした! けっこうアナログな感じですよね(笑).molは嫌いですがmolを使うと質量や体積まで求められることがちょっとだけ魅力に感じました.●計算して答えを出して行くのが楽しい.●molめっちゃ嫌いだったけど先生の授業をきいたら何とかなる気がした.でも生化学のテストがヤバすぎてそっちもやってしまいました(泣)すみません次回必ず集中することを誓います!●久しぶりにモルをやりました.前より少し理解できた気がします!●高校の時はモルと化学反応式の関係を理解していなかったので,何でモルなんて訳のわかんない単位使うのかと思ってましたが,今日の授業で解決できた気がします.来週の濃度は苦手なので頑張ります.●高校でやった範囲だったのでついていけました! もれからもがんばりたいです.●高校でもモルの計算はやったけど久々にやったのでけっこう忘れていました.やっぱりくりかえしていないとできなくなっちゃうんだなぁと思いました.●説明はわかりやすかった.でも問題になると頭ごちゃごちゃ,しっかり復習します.●いざ計算となると頭がこんがらがります.●むずかしかったです.●だんだん難しい復習しなきゃ●モルが苦手なのでしっかり復習しようと思います.●mol苦手です.●濃度は無理です.●次回はモル濃度がでてくるのでがんばりたいです.●高校のときに苦手だったところなので不安です.●前回のπ結合とかσ結合がしっかりマスターできているか不安です.やっぱり予習・復習は大切ですね.テスト前にまとめてやるんじゃなくてコツコツ勉強して行く習慣をつかたいです.●濃度は昔から苦手なので次回の講義で理解できるようにがんばります.●次週の濃度は受験で苦戦したところなので気合いを入れてやりたいです.●次回も計算系なのでがんばります!!●先生ここまで充実した授業を行うということは大変な準備と苦労がおありのことと思います.いつも楽しい授業をありがとうございます.今後もよろしくお願い致します.

●今日もたのしい授業でした!!先生の白衣かっこいい!
●先生スタイルいいですね!


次回予告と予習

「濃度の表し方」を学びます.教科書の66ページから78ページを読み,例題を解いておくこと.また,計算問題の予習プリントに取り組んで来ること.

はじめて学ぶ化学

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出席者数推移

(1)32→(2)30→(3)31→(4)31→(5)31→(6)30→(7)30→(8)31