地球上には約80種類の元素があります.それらの元素を整理して理解するときに役立つのが周期表です.周期表は単に元素を並べただけのものではありません.前回学んだ「エネルギー」の視点で眺めてみると,元素の世界が新しい視点から見えてくるのです.
講義内容
- 原子にエネルギーを与えると,エネルギーを与えられた原子はエネルギー保存則に従って何かの仕事をする.一つの例は,電子を外側の電子殻に移動させるという仕事.外部からエネルギーを与えられて電子が外側の電子殻に移動した状態の原子は,励起状態の原子と呼ばれる.励起状態に至る前の状態は基底状態.
- 励起状態の原子はエネルギーを放出して基底状態に戻ろうとする.具体的には,光を放つ仕事をすることによってエネルギーを放出する.この原理を応用したのが化学分析の「炎色反応」.電子殻から電子殻への移動っていうのは元素ごとに異なっているので,そのエネルギー差が元素固有のものになる.エネルギー差があるっていうことは,イロイロな色があるっていうこと.これを応用したのが打ち上げ花火.
- さらに強いエネルギーを与えて,原子から電子を取り除いてやると,陽イオン(カチオン)が生じる.原子から電子1個を取り除くために必要なエネルギーがイオン化エネルギー.
- 逆に,原子に電子を1個与えてやると,陰イオン(アニオン)が生じる.原子に電子を与えた際に原子が放出するエネルギーが電子親和力.「力」ってなってるけど「エネルギー」.
- 原子番号順に元素を並べると,価電子数,イオン化エネルギー,電子親和力,原子半径,などに周期性が表れる.これが周期律.
- 周期律がわかるように元素を配置したものが周期表→ 一家に枚周期表第6版のダウンロード
キーワード
アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素,イオン,イオン化エネルギー,陰イオン,炎色反応,貴ガス,基底状態,金属,原子半径,周期,周期表,周期律,遷移金属,族,典型元素,電子親和力,ハロゲン,半金属,非金属,陽イオン,励起状態
該当する教科書のページ
第3章,27ページから36ページ.
- 作者: 野島高彦
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2012/04/26
- メディア: 単行本
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取り扱い注意:アルカリ金属元素
水と激しく反応します.
取り扱い注意:ハロゲン元素
どこまで覚えるか
原子番号1番から18番までと,1族,2族,17族,18族を覚えておくのがおすすめ.
コメント紹介
●ハロゲンの怖さが実際映像をみてよくわかりました.とてもびっくりしました.教科書の写真より迫力がありました.●ハロゲンの反応は参考書に載っていて知っていたけど,実際に映像見るとヤバそうでびっくり!!●最後の映像で火を使っていないのに火が出る,水に入れたら爆発する金属など,こわいなと思った.気を付けなければ.●ビデオでの周期表説明が分かりやすかったです.語呂合わせで頑張って周期表覚えます.●今日は元素の周期表の概要をだいたい知ることができました.ハロゲンがどれだけ有毒で危険なものなのかということがよくわかりました.毎週金曜日の化学,すごく楽しみです.●言葉は理解したつもりでも,説明するように言われるとそれをするのが難しい.わかっているつもりではいけないことを気づかされました.●GW明けはねむくてダメですね.ほとんど寝てしまいました・・・.●寝ちゃいました・・・ごめんなさい.次回は頑張ります.周期表の暗記方法調べて,しっかり覚えます.●覚えることが多すぎて大変です.●化学の授業が私が受けてる講義の中では一番面白いです.●先生いけめん.●基礎から教えてくれてありがとうございます.●今回の授業でやったようないかにも化学!という内容が苦手です.家で復習します.●今日もとっても楽しい授業でした.周期表を覚えてがんばります!!●今日は嫌いな内容にも関わらずばっちり起きていました!ヨウ素?にアルミニウムを乗っけた実験が火がパチパチしててハウルの動く城の一場面みたいで素敵♡●今日はとても眠くてノートが汚いので帰ってしっかり復習したいです.●実験の映像が面白かったです.●最後の水と金属との反応の映像にはびっくりしました.あんなに少しの量の金属でもものすごいエネルギーを放出するのだなぁと驚きました.●周りには危険な物質がたくさんあるんだなと思いました.アルカリ金属とハロゲンの物質の映像は驚きでした.前回ほどではありませんでしたが,眠気に襲われたので夜はしっかりと寝たいと思います.●私たちの身の周りにヨウ素とアルミってよくあるけど,その2つを混ぜたら大変なんですね・・・●元素周期表は高校でも覚えたのに忘れてしまったのでもう一回覚えなおしたいです.分類の特徴も一緒に覚えられるようにしたいです.●周期表を見ただけで金属の性質がわかるので,周期表すごいです.●原子周期表は似ている性質のものが並んでいることを知り,面白いと思いました.●周期表がなぜこのように並んで居いるのかわからなかったけど,今回の講義を聞いてなるほどと思いました.化学はあまり好きではなかったけど,いろいろ仕組みを知ることでだんだん楽しくなってきました.●元素の範囲は元から好きだったけど希ガスが貴ガスだということは初めて知った.最後に見た映像で,ハロゲンが怖すぎて泣けた笑 この元素周期表を部屋に飾って化学大好き人間になろうと思いまーす!●今日は久しぶりに周期表を見て化学をやっているんだなと思いました.1,2,17,18は最後まで覚えたいと思います.●希ガスだと思っていたので貴ガスでびっくりしました.ラドンとか覚えてないので1〜18と縦4本覚えてきます.●以前は名前だけ覚えているだけだったので,原子のイオン化エネルギーと電子親和力のことがようやくわかってよかったです.●イオン化エネルギーは何となく自分で納得していましたが,電子親和力は授業を受けるまでは何でエネルギーを放出するんだろうとモヤモヤしていたので,エネルギー保存則があるからという説明を受けて,とても納得できました.●今まではイオン化エネルギーや電子親和力は機械的に覚えていたので,いつも忘れて何回も何回も覚えられなかったのですが,今回の説明でよくわかりました.あと今は希ガスは使わないと知って驚きました.●アルカリ金属で周期が下に行くにつれて反応が大きくなるのはなぜですか?
出席者数推移
(1)32→(2)30→(3)31→(4)31
次回予告と予習
「原子と原子のつながり その1」を学びます.教科書の第4章「原子と原子のつながり」を読み,例題を解いておくこと.
これまでの講義録
参考書籍
元素生活 Wonderful Life With The ELEMENTS
- 作者: 寄藤文平
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- 作者: スタジオハードデラックス,満田深雪
- 出版社/メーカー: PHP研究所
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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