Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

未来の社会を建設するために

新年のごあいさつ

人生と生活の質を高める

今年の目標は,ひとつひとつの仕事/作業/行動に対して,それが何のためにやるものなのかを説明できる状態で毎日を送ることです.

私たちは毎日毎日イロイロなことをやって生きています.忙しくなってくると,気が付くと1日が終わっていたとか,1週間が終わっていたとか,1年が終わっていたとか,そういうことも珍しくありません.しかし,そういった生活を続けていると,最終的には,気が付くと人生が終わっていた,ということになってしまいます.

そんな人生はイヤです.

私自身の人生の残り時間を何に割り当てて行くのか,私自身が強い意志を持って決めながら生きていくことにしました.

それは未来の社会を建設するため

限られた人生の持ち時間を様々な仕事/作業/行動に割り当てて行くにあたり,その価値があるかどうかを判断するためには,明確な基準が必要です.私はここに「未来の社会を建設することに貢献できるのか」という基準を設定しました.この基準に当てはまらないものごとに,今後私が自ら関わることはありません.決めました.

なんでそんなことを考えたのか

なんでそんなことを考えたのかというと,今の私が生きているこの社会は,私よりも前の世代が建設してくれたものだ,ということを強く意識するようになったからです.そのことに感謝し,敬意をあらわして行くために私にできることは,私自身が次の世代のために未来の社会を建設して行く営みに合流することだけです.

すべてを仕分けするフィルター

そうと決めたら,無駄なことに時間を費やしているヒマはありません.選択の場面では,最初に「それは未来の社会を建設することに貢献するのか」と考えれば良いわけです.その答えが「No」なら,一切係わりません*1.仕事の内容も,最終的に未来の社会を建設することにつながるように組み立てて行けば良いわけです.
もう,「何のために何をやってるのか自分でもわかんなくなっちゃってる状態」とはバイバイです.

2012年の仕事を整理しなおす

昨年2011年までに行ってきて,引き続き2012年も継続する仕事については,もう一度この基準に適合するかどうか確認し,適合しない面があれば修正するなり止めるなりすることにしました.

●化学の講義

履修者が未来に夢と希望を持って進級できる1年間の講義にします.願いと思いが未来を建設して行くというメッセージを講義の中心に据えることにしました*2

●化学の研究

私が取り組んでいる研究が目指しているのは,生体高分子(DNAとかRNAとか蛋白質とか)がもっている意外な一面を探り当てることです.最近ではDNAの関係する生化学反応が,分子レベルの情報処理機構や論理判断機構になり得るということをデモンストレーションしました.

「こんなことができるよ!」というデモンストレーションを続けて行くことによって,自然科学に興味を抱く人の数を増やして行くことは,自然科学と技術の進歩によって達成される未来社会の建設を支援することにつながります.
ちょっと今年は研究にも力を入れますよ!

●キャンパスナビゲーターの支援

在学生広報チーム「北里キャンパスナビゲーター」を昨年春から支援しています.
キャンパスナビゲーターのメイン業務に,オープンキャンパスのキャンパスツアーがあります.これは次の世代に大学を知ってもらうための活動であるとともに,さまざまな専門職が世の中に存在していて,その職業を目指すためのコースが大学で提供されていることを知ってもらう貴重な機会でもあります.

私たちの社会はイロイロな職業の人々によって支えられています.そのイロイロな職業を具体的に知ってもらって,志願するきっかけを作ることができれば,未来の社会を建設する作業の役割分担がうまくできるようになります.

というわけでキャンナビのみなさん今年もよろしくお願いしますよ.まずは新歓.メンバー獲得作戦!

●その他イロイロ

他にもイロイロなことをやっているわけですが,「未来の社会を建設することに貢献できるのか」という判断基準で片っ端からシゴトをやっつけて行きます.

どんなスタイルで行くのか

昨年2011年は,偶発的なできごとに積極的に巻き込まれてみようと思って1年間をスタートさせました.今年もどこかから飛び込んでくるアレコレを楽しみつつ,「未来の社会を建設することに貢献できるのか」という問いに対してYes!と答えられるのであれば,積極的に係わって行きます.
2012年の1年間がとても楽しみです!

おまけ

(1)キャンナビ支援は今年も継続.ICT関係を強化します.(2)恋愛相談は心臓に悪い案件もあったりしてアレなので引退したい*3.(3)博士(工学)として,技術者を志す者への計算トレーニングはみっちりやるから覚悟しろ→医療工学科.(4)「教養演習B『大学生としての学び方』」は「大学基礎演習B『大学生としての学び方』」と名称変更になります.2012年度向けに新しいネタ探しをしています.(5)登校アドベンチャーは年間を通じて参加者募集中.

ここに挙げていない化学要習とか化学実験とか看護学科の化学講義とか学習サポートセンター業務とかは,もちろんちゃんとやったし,今年も適当にアレしますちゃんとやります.はい.

*1:そうも言っていられない場合もあるわけですが,自分からは近寄りません.

*2:2009年度にはじめて医療工学科と看護学科を担当して以来,常にこのことを意識していましたが,私自身が最も伝えたいことが何なのかが,私自身の中で整理できていない面がありました.

*3:たとえば自分の娘が同じシチュエーションだったら,と考えると眠れなくなるような相談.やめてーー!