空気中の水分が凍って落ちてくるのが雪です.雪を拡大してみると様々な形の結晶が見えます.この形に興味をもって,どのような条件のときにどのような形になるのかをくわしく研究した科学者がいます.北海道大学の中谷宇吉郎先生です(1900-1962).
雪の結晶がどのようにしてできるのかを知るためには,実際に実験室で雪の結晶をつくってみせる必要があります.そこで中谷先生は,水蒸気を凍らせる方法をアレコレと試し始めたのですが,これが難しくて,なかなか天然の雪と同じような形の結晶ができませんでした.
最初の頃は実験器具の組み合わせをアレコレと変えて試していましたが,「自然界と似た環境をつくって雪ができる条件をマネしてみよう」ということで,低温室(人間が入って作業できるくらいの大きな冷凍庫)の中で水蒸気を自然対流させる方法をためしてみたところ,これがうまく行って,世界で初めての「人工的な雪の結晶」をつくることに成功しました.その後,温度とか湿度とかいろいろな条件を組み合わせて行って,気象条件と雪の結晶の関係を明らかにして行きました.
中谷先生は一般の人々に自然科学を伝えるためのエッセイを多数遺されています.代表的な作品を集めたものとしては,岩波少年文庫の一冊がオススメです.
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地上に落ちてくる雪の結晶は,上空の大気がどのような状態だったかを教えてくれるメッセージです.この本のタイトルになっている「雪は天からの手紙」は,そのことをよく表している言葉です.
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