配布物
グループワーク「大学ノートあれこれ」
前回の課題をもとにしたグループワークです.
現在に至るまで
- ノートをとるときに困っている点
- ノートをとるときに工夫している点
- ノートをとるときのちょっとしたワザ
などなど,ノートについてのアレコレを話しあってもらい,グループごとに発表してもらいました.
解説「大学の授業でノートをとるのに苦労する理由」
高校生から大学生になって直面する問題の一つが,どのようにノートをとればよいのかわからなくなることです.これは今に始まったことではなく,ずーっと前の世代から,ああでもないこうでもない,という具合に苦労してきたことです.
ここを乗り切るためには,「どうして苦しむのか」を理解しておくことが大切です.
というわけで,大学の授業でノートを取るのがタイヘンな理由を解説しました.
(1)そもそも大学教員がアレ
高校までの教員は「教育」が仕事だったわけですが,大学教員は「研究と教育」が仕事になり,学部によっては「医療と研究と教育」だったりするわけです.
幼稚園から高校までの教員は「教員免許」をもっていて,教育を仕事とするためのトレーニングを受けてきているわけです.しかし,大学には大学教員免許なんてものはありません.教員としてのトレーニングを受けていないヒトが教員をやっているわけですからアレなんです*1.
(2)いろいろなスタイルがあってアレ
ほとんど板書せずに「語る」形式から,情報タイフーン状態のスライドショーまで,いろいろあるもんだから,学生はタイヘンなんです.
とくにスライドショー形式は国内ではせいぜいこの10年くらいしか歴史がありません.スライドショーやっている教員は,自分がスライドショーで講義を受けたことがないのです.だからアレなんです.
解説「じゃあどうすればいいのか」
まず,何のためにノートを取るのか,を考えると,どうすればよいものかがわかるかもしれません.
ノートを取るのは,
知識→記録→情報整理→記憶→活用
といった,受け渡される知識が自分自身の思考回路とか生活だとかに組み込まれるまでの流れの一段階なのです.ノートをとっておしまい,という単発の作業ではなく,その下流の流れまで考えることが重要なのです.
受け渡される知識は,自分自身で手を入れて初めて自分のものになります.講義で学んだキーワードを手がかりに自主的に書籍を開いてみるとか,webで検索してみるなどして,広がりを持たせることが大切です.
そのためには,後から追記できるようなノートの取り方をすると良いでしょう.これならば「語る」だけの講義でも「情報タイフーン」でも,とりあえずキーワードだけでも記録しておいて,あとで自分で調べ直すことができます.
講義中はメモを取るだけにしておいて,あとで清書する,という手もあります.これだと情報整理された見やすいノートができあがるので,試験対策・レポート対策に便利かもしれません.
- 参考リンク
- 右側と左側に分けてノートをとろう!|授業とノート
模擬授業その1
キーワードだけが板書されて,あとは語るだけ,というスタイルの講義もまだまだあります.どのようにノートを取ればよいでしょうか.私の「模擬授業」に対して,各自で取ったノートとってみてもらいました.その後で,どんなことを書いたらよいものか,というようなことを「提案」しました.
模擬授業のネタは「科学的な考え方とは?」です.仮説と反証可能性のセットについて.
21世紀の技術を使う
講義で受け渡される知識と情報を持ち帰るためには,ノートに残すことだけがベストな方法とは限りません.ボイスレコーダー,デジタルカメラ,ビデオカメラ,などなど,「記録」用の道具を活用するのも効果的です*2.
次回までの課題
これから受ける1週間の講義の中からどれか1時間分のノートを選んで持ってきてもらいます.具体的な工夫,今回の授業で学んだ内容の実践,などなどをグループワークのネタにします.
これまでの授業記録
関連リンク
参考書
今回の授業では以下の書籍を参考にしました.
ノートの取り方
模擬授業
99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)
- 作者: 竹内薫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/02/16
- メディア: 新書
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- 作者: 中谷宇吉郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1958/06/17
- メディア: 新書
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