前回は水溶液濃度のあらわしかたを学びました.今回は「どれだけ溶けるか」,「溶けるか溶けないか」,「希薄溶液の性質」を学びました.履修91名,出席80名,出席率88 %.
前回の講義に対する質問コメント感想その他いろいろの紹介
前回の講義録参照
今回のキーワード
溶解,電離,電解質,強電解質,弱電解質.非電解質,溶解度,飽和濃度,沈殿,結晶化,蒸気圧降下,沸点上昇,モル沸点上昇,凝固点降下,モル凝固点降下,束一性
溶けるとはどういうことなのか
食塩と砂糖を例に挙げ,水に溶けるしくみを解説しました.食塩は水に混ぜられるとNa+とCl-に電離します.これらのイオンのまわりを水分子が取り囲むので,Na+とCl-は引き離された状態になります.
砂糖の場合にはスクロース分子全体を水分子が取り囲みます.これによってスクロース分子どうしが引き離された状態になります.
イオン結合性の物質と,共有結合性の物質では溶け方が違うのです.
電解質と非電解質
水に溶かすとほぼ完全に電離する物質を強電解質,部分的に電離する物質を弱電解質,電離しない物質を非電解質と呼びます.
どれくらい溶けるのか
食塩も砂糖も水に加えて行くと,これ以上はもう溶けない,というところに達します.そのときの溶液の濃度を飽和濃度と呼びます.一方,100 gの水に対して,溶解可能な溶質の質量を溶解度と呼びます.
結晶化
溶液温度を高くすると溶解度が増す物質があります.こうした物質の飽和水溶液を冷却すると,溶けきれなくなった溶質が沈殿してきます.この沈殿は純度が高くなっています.この方法を応用した精製法が結晶化です.
溶けるか溶けないか
水溶液中のイオンの組み合わせのうち,ひとつでも水に難溶なものがあれば沈殿が起きます.結石はリン酸イオンとカルシウムイオンの組み合わせで生じるリン酸カルシウムが主原因です(ほかにシュウ酸カルシウムも).
束一性
水が希薄溶液になると蒸発しにくくなり(蒸気圧降下),1013 hPaにおける沸点が100 ℃以上になり(沸点上昇),1013 hPaにおける凝固点が0 ℃以下になります(凝固点降下).これらの性質は水に「何が」溶けているかでは決まらず,「何個の」粒子が溶けているかによって決まります.このような性質のことを束一性と呼びます.次回に学ぶ「浸透圧」も束一性を示します.
計算問題
20 °Cにおける硝酸カリウムの飽和水溶液のモル濃度と質量モル濃度を求めよ.この温度では100 gの水に対し,硝酸カリウムKNO3は31.6 g溶ける.このときの飽和水溶液の密度は1.16 g cm-3である.硝酸カリウムのモル質量は101 g mol-1とせよ.
モル濃度2.76 mol L-1,質量モル濃度3.13 mol kg-1.両方正解3名.しっかりしてくれ.
●計算ヤバイです●モル濃度でざせつしました●ざせつ●テストまでにできるようになりますんで●頭が回らない●無理です●挫折しました●何かだめでした●むりです●ざせつ●ざせつ.去年はできたのに,やり方を忘れてしまった.●ざせつ●ざせつ/(^o^)\●計算遅いんでちょっくら速く解けるように練習しときます●挫折●がんばりますー●モル濃度と質量モル濃度がごちゃごちゃになってきました.来週までしっかりと復習してきます.●ざせつ●時間がたりなーい●ざせつ●とりあえず挫折です!!●時間がかかってしまってできなかった●ざせつします●無理ですだめですわからないです●ざせつ●ざせつ●ざせつ・・・●挫折●久々のモル濃度の計算で詰んでしまった.情けない・・・●びみょう・・・●ざせつ.自転車探してきます.●ざせつ●なんだかわからなくなってくる・・・●わかりません!●ざせつ●ざせつ\(^^)/●ざせつ\(^o^)/とりあえず食塩の結晶つくりたい\(^o^)/●あれ?あまり自信ない・・・
その他のコメント
●講義内容に医学的なことが入っていたら興味がそそられて楽しいです(今日の結石の話のように)●先生の授業は医療と関連づけてくれるので,興味がもてていいですね! ●前回ちゃんと復習しました(^o^)/●ねねねねむーいポポポポーン●復習する!●ふくしゅうします●復習してきます●手帳から紙のにおいがしました.●昨日けいたい無くしました.泣きそうです●
質問
●温度が高くなると溶質が多く溶けるのはなぜですか?
温度を高くすると溶けにくくなる物質もあります.一概になんとも言えません.
●プールいっぱいにスクロースをとかしたら,電気をプールいっぱいにつっこんでも感電しませんか
大丈夫です.ただし身体から電解質がプールにしみ出すので,これによって電気が通り感電するかもしれません.
●アイスつくるときに冷やすために塩入れるのどーして?
凝固点降下のため.氷水と塩を混ぜておくと温度が最大でマイナス20 ℃付近まで下がります(そのしくみは一般教育化学の範囲を超えているのでここでは説明しません).これを利用してミルクの温度を下げるのです.冷凍庫が普及するまではこうやって作っていました.
次回予告
浸透圧と透析について学びます.医療との関連性がさらに濃くなります.
↓次回講義内容配布資料
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