早朝から関東地方は大雨に襲われ,列車遅延,運休,路上冠水,その他さまざまなトラブルが昼まで続きました.朝の9時台には晴れ間が広がり,午後には12月だというのに相模原市では最高気温が23 ℃まで上昇しました.
こういう状態だったのですが,履修者46名中43名出席.出席率94 %.
前回の講義に関する感想コメント質問その他なんでも
詳細は前回の講義録参照↓
化学トピック:イチョウの季節
イチョウの葉が緑色から黄色に変わりました.これは葉に含まれる色素の含量が変化したためです.緑色はクロロフィル,黄色はルテインです.銀杏の実には独特の臭いがあります.この主成分は酪酸とヘプタン酸です.酢酸は料理にも使われているので慣れている匂いでしょうが,アルキル基が少し伸びると不快な匂いに変わります.
1年間かけて撮影した,旧L1号館前イチョウ並木の写真からつくったムービーを紹介しました.
●イチョウの写真おもしろかったです.色を出す化合物と考えるとすごいですね.
●先生の観察力 尊敬します.
●イチョウの木の365日がすてきでした.
●イチョウの話が面白かったです! N号館の周りもたまに変なにおいがするんですが,何の植物のなのか気になります.
植物っぽかったら植物学の先生にきいてみるのが一番.本学には薬用植物園があるので,まずはそこにGo!
●同じ場所で1年間も写真を撮り続けてすごいと思いました.今はどこか違う場所で写真を撮っているんですか?
こういうのやってます↓
●私の高校の駐輪場はこの時期になると銀杏がいっぱい下に落ちていてものすごく臭いがするんです.今日,酪酸とヘプタン酸のせいだと知りました.どうにか化学の力でこの臭いをどうにかできませんか?
がまんする.
●あんなにスライドを使って,イチョウの写真も撮って,先生は一日何時間寝ているのですか?
4時間半もしくは6時間.
窒素を含む有機化合物
教科書第16章「含窒素有機化合物」を扱いました.
(1)アミン,(2)アミド,(3)イミン,(4)ニトリル,について例を挙げて説明しました(イミンの詳細は省略).アミン,イミン,アミドはDNAや蛋白質のあちらこちらに登場する構成要素です.すべてのアミノ酸にはアミノ基が存在します.天然アミノ酸のうち4種類には側鎖に窒素が存在します.一方,DNAやRNAの核酸塩基にも窒素が含まれています.コリンやアセチルコリンは第四級アンモニウムイオンです.窒素を構成要素にもつ薬剤が多数利用されています.
これら化合物のなかにみられる特性と,主な反応,そして応用例を紹介しました.
●アンフェタミンが硫酸塩になることで体内に入って溶解しやすいということで医薬品には化学が深く結びついているなと思いました.
●窒素を含む化合物がこんなに医薬品として活躍していることにびっくりしました.
●窒素化合物の話は完全に高校の復習でした.なので,知らなかったイミンのところについて,かるーくでよいので次回やってほしいです.
じゃあ次回,かるーくやりましょう.
ナイロン66開発物語
ナイロン66は1935年に米国デュポンの科学者だったカロザースによって開発された,人類初の合成繊維です.論理的な分子設計,市場展開,カロザースの人生,そして現在の合成繊維について紹介しました.
●カロザースさんの話をきいて改めて科学者ってすごいなと思いました.発想もそれをやろうとすることも247パターンもあったりうんざりするほど地道なのに・・・リスペクトです!!
●ナイロンつくった人すごいですね.なんか・・・すごい自分を持った人ですね.
●ストッキングを発明するなんてすごいのに,結局最後は自殺しちゃうなんて,何が幸せで何が不幸か分からないと思った.
●ナイロン作った人の自殺には驚きました.
●ほどほどがよいということがわかった.
●化学の実験で液体と液体とを混ぜて沈殿ができる,というのだけではなくて,自分が今着ている服とかも化学が関係しているなんて,化学って面白いですね.
●高校のときに実験でナイロンをつくった覚えがあります.たしか,試験管に巻き付けていく感じの・・・.記憶があいまいだけれど,面白かったです.
●ストッキングとタイツの成分はいっしょですか?
●66ナイロン,高校で出てきたのでなつかしかったです.
●高分子って,何かよくわかりません.
●私の地元は「まゆと生糸日本一」と言われていたけど,今はすたれちゃってます.人工でつくれるようになったからですかね・・・?
そうです.高級素材は別として,一般的には安価なナイロンにはかなわないのです.
●まゆをいっぱい使ったら,その中に入っている幼虫はどうなるんですか?捨てられる?
カイコの状態になったら茹でて幼虫は殺して処分です.
●ナイロン66と6,6ナイロンは一緒のものですか?
●66ナイロンとナイロン66って同じですか?
同じです.
瞬間接着剤の化学
一滴で重量物を持ち上げることもできる瞬間接着剤.瞬間接着剤の威力を示すTVCMの動画も紹介しました.
ここでは,ニトリル基とカルボニル基という2つの電子吸引基をもつビニル系モノマーのアニオン重合反応が用いられています.この機構を解説しました.
●アロンアルファの仕組みがちょっとわかりました.
●ヒフ用接着剤も化学式がある上で作られていて,化学は医療現場で大活躍してるんだなと思いました.
●ヒフ用接着剤を使用したら,縫合する必要が低減できますか?実際臨床では外科手術で使用されているんですよね?
使われていますが,縫合の方が都合が良い場面もあるのでしょう,使い分けられています,なぜかは外科医にお尋ねください.
●アロンアルファの話なんですが,空気中の水と結合するということですが,乾燥したところと湿度の高いところでは,やはり効き目が違うのでしょうか?
経験上,あまりかわりありません.それよりは保管に影響します.
その他
●前回も今回の授業も生活に欠かせないものを扱っていて,改めて化学の重要さを思いました.あと,何事もほどほどにって良いことばだなって思いました.
●何気なく開いた教科書に食べ物によって眠気とか集中力とかがかわるって書いてありました.甘い物って集中力高くなるかと思ってたんですけど,炭水化物含量が多いとのんびりした気分になって眠気を生じてしまうんですね!! 教科書 使えますね!! (笑)
●普通にベンゼンとか原子記号で構造式があると分かりやすいけどアンフェタミンのように線だけみたいな表記を見るとなぜか難しく見えます.でも前より慣れてきました.
●今回も式たくさん書きました・・・.毎回,医療と関連したものが出てくるので,とてもためになっています.
●今日 久しぶりに集中して聞けました.
●今日は雨がヤバくて起きちゃいました-.なんで今年の冬はあたたかいんですかねー.
●今日ずぶぬれになりながら学校に来たのに学校に来たら雨が止んでいてテンション下がりました.
●今日の朝,風の強さと雨で大学に来るかとても悩みました.後期になってからたくさんプリントをもらって,どれがどうなっているのかよくわからなくなってきました.
●後期のテストも頑張りたい.中央線と横浜線が大雨ですごい遅延してて,遅刻してしまいました(>_<)
●化学かなりヤバいです.アロンアルファおもしろかったです.
●Testやだな.有機と先生のじゅぎょうは好きです
●今日すごく眠くて,ノートをとるのに必死だったので,ちゃんと復習しておきます.テスト頑張ります!
●化学は生活の中でいろいろなものに使われているんだと思った.
●前回は生分解性の縫合糸で,今回はヒフ用接着剤で,医療の分野で化学は便利なものをたくさん生み出していて改めてすごいなと思いました.
●少し分子を換えるだけで違う物質ができるんですね.まるでパズルみたいで面白いです.
●反応式難しかったです.しっかり復習しておきます.
●石油から衣服ってどうやって作るんですか?
●左足しびれてます・・・.
●授業スピードがはやくてはやくて・・・理解しがたかったです.もう少しゆっくりしてくれると嬉しかったです(泣)
●あと2回なんてあっという間ですね・・・(>_<)
●おたんこナース見たいです!!
●先生ってもしかして なで肩 ですか?
●次々回が楽しみです.
●手がつかれました.テスト難しいですか?いろいろ覚えないとですよね?どうやって勉強すればいいですか?
●化学反応式がたくさん出てきて覚えられません.覚える必要のある化学反応式や化学式はありますか?
●今回はテスト対策プリントなしですか?
覚えるべき事項は配布ずみ.試験対策も今回公開しました.
●はやぶさの影響でプラネタリウムがはやっているらしいです.六本木の歩くプラネタリウムに冬休みに行く予定です.そういえばこの前,上野の国立科学博物館に行ってきました.ミイラがあったのですが,普通,くさってしまうはずなのに,あれはどうしてあんなにきれいに残っているのでしょうか?
乾燥状態,細菌の活動を抑制する薬品の使用.通気状態,その他いろいろ.
●今年もあと少し.先生は年末はどのように過ごされるんですか??
未定.
●今日ニュースで見たNASAの地球外生命体発見したって話,何がスゴいのか良くわかりません笑
●NASAが記者会見しましたね.詳しく知りたいです.
●NASAからの発表ありましたね.リンの代わりにヒ素で生きている細菌だそうです.私たちにとっては有害だけど,その細菌にとっては違うんですかね.まだまだ未知のことがいっぱいあるんだなーと思いました.先生は宇宙人はいると思いますか?
次回解説予定.宇宙人はいてもおかしくないし,いなくてもおかしくはありません.「人」かどうかは別として.
次回予告
次回は,化学がどのように医療や生命科学の発展に応用されているのかを考えます.バイオテクノロジー支援化学の今を紹介します.ペプチド合成,DNA合成,DNA増幅(PCR),DNA塩基配列解読など.
リンク
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